お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

あきはアート

2009-11-05 | about 英語の絵本

Red Leaf, Yellow Leaf

今日の絵本はロイス・エイラト(Lois Ehlert)の"Red Leaf Yellow Leaf"(邦訳:あかいはっぱきいろいはっぱ)です。表紙をご覧になっておわかりのとおり、大変にきれいな絵本です。

色鮮やかなので赤ちゃんも大喜びで眺めます。私も大好きです。色が美しいだけでなく、切り紙のコラージュなどの仕掛けや作りも楽しい絵本です。表紙の裏に貼りつけてあるサトウカエデの葉っぱなど、何度も何度も撫でてみたくなる手触り!子どもも大人もいつまでも見飽きないきれいな仕上がりです。作家が大いに楽しんで作ったであろう、その思いがそのまま伝わって来るような絵本です。

アートとして素晴らしいだけではありません。そっけないくらいシンプルでわかりやすいテキストは、細部まで科学的にも正確で、安心して読めます。小学校の理科の先生がこの絵本を副教材に使っていると聞いて、なるほどとすんなり納得できました。

でも、だからと言って面白みのないお話ではありません。ストーリーは、植木屋さんで買われて子どもの家にやってきた木の"生い立ち"と“成長”の物語。種を植え、水をやり、大きくなったら移植してさらに育て、十分に育ったところで植木屋さんに運ばれたサトウカエデ。たくさんの人の手を借りて育てられました。そして買われて庭に植えかえられてからも、なお、すくすくと育ち、夏には緑豊かな葉を繁らせて鳥たちに楽園を提供し、そして秋。葉っぱたちは見事な紅や黄に染まって、私たちの眼を楽しませてくれます。

大きな文字でお話の本文を書き、小さな文字で、邪魔にならないように科学的な注釈がつけられています。それでもなお飽き足らず、作者は巻末や表紙裏に"おまけ"の解説までつけてくれていて、木陰を求めて集まる鳥たちにあげる餌のレシピまで載っています。

情報満載で科学的・教育的なのに全然教科書臭くありません。読み物としても、読み手の年齢に合わせてだんだん深読みしていける構造になっていますので、毎年秋が来るたびに読み返してみたい絵本です。そして、なにより、大変に鮮やかで美しい色なので、だんだん寒く、暗くなり、朝がたは深い霧に包まれるようなこの季節には、眺めるだけで楽しい絵本です。




コメント
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