Scarecrow Finds A Friend
最近の映画、特に子ども向けのアニメーションを観ると、タイトルバックのクレジットが長いのに驚かされますよね。文字通りチームワーク!単純な私は「こんなに大勢の人がアイディアと創造力を持ち寄って創っているんだなぁ…」とそれだけでいつも感激してしまいます。
絵本もチームワークの時代になってきたようです。今日ご紹介する絵本はそんなチームワークの成果。ブルーム・リフケン(Blume J. Rifken)がお話を書き、カール・ウェンツェル(Carl W. Wenzel )が素晴らしい水彩のイラストをつけ、ゲイル・カーンズ(Gail M. Kearns)が編集してまとめ上げた"Scarecrow Finds A Friend"(かかしのお友だち)です。
忙しかった収穫期までの仕事を終えて、畑でかかしがのんびりくつろいでいます。彼はハロウィンの夜に会った魔女のタリーのことをなつかしく思い出していました。タリーは善い魔女で、ハロウィンには、みんなの願い事を叶えて飛び回っていました。そして「ハロウィンの夜にTrick or Treatに行ってみたい!」というかかしの願いも叶えてくれたのです!
かかしはオバケの衣装で念願のTrick or Treatにまわり、生まれて始めてキャンディをもらうことができました。あのロリポップのおいしかったこと!ハロウィンはほんとに楽しかったなぁ…と思いだしていると、そこにタリーが現れたました。「やぁタリー、久しぶり!」
ところが、タリーの様子がおかしいではありませんか。彼女はうまく飛べなくなってしまったのです。何故って、みんなの願いを叶えてあげるために魔力を使い果たしてしまったからです。さぁ大変!
今度は僕がタリーを助ける番だ。かかしは必死で考えます。大丈夫!きっとなんとかなるから。そうして…
最後のハッピーエンドに至るまで、心配事はあっても、ずっと心安らぐ暖かい友情に満ちたやさしいお話です。
冬時間になると午後5時には真っ暗になってしまいます。夏にはまだ外で遊び回っていた時間なのに。寒いし、暗いし…なんだか邪悪なものでも出そうな長い夜。そんな季節にまだ身体が慣れないうちは、明るい灯の下で、暖かい湯気の立つホットチョコレートでも飲みながら、同時にちょっと心も温めたい気分。そんなときにお薦めの一冊です。
お話もなのですが、季節感あふれるオレンジ、黄、紫などの色彩だけを選んで描かれた上品な水彩画も素晴らしく、いかにも優しい友情に満ちた物語にふさわしいイラストです。この二人のコンビをプロデュースしたのが編集者のカーンズだとしたら、それもまた素晴らしい!こういう制作現場に居合わせてみたいもの…と思わせてくれます。