
画像は、昭和49年に「入門百科シリーズ」より出た、
「ふしぎ人間 エスパー入門」です。
著者は、中岡俊哉氏なので、どのような内容か推測出来る方も
多いと思いますが、人間の潜在能力や霊性を目覚めさせ、最終的には
人の為になる事をしたり、曇りのない精神を持つようになるようにするという
方向で、色々な超能力や霊性の開発法について紹介されています。
時代が時代ですので、「ウルトラマンと超能力者の違いは何か」「三島
由紀夫の霊界通信」「日本の念写人間」などの当時らしい話題が並びます。
三島由紀夫氏の霊界通信と称されるものの中には、日本の主婦が突然
三島氏からのメッセージを自動書記する事になったというものがありましたが、
この本では、ブラジルの霊媒少女の協力を得て、三島氏からのメッセージを受け取った人の
話しが紹介されています。
わたくしは、この本が出た当時も未だ生まれてなかった為、三島氏の死がどれほど
社会に衝撃を与えたか、中々自分の実感として感じる事は出来ませんが、こうした話しを
読むと少しだけ、当時の空気について知る事が出来るように思います。
この本のシリーズは、小学生を対象にしたものであるため、「三島氏の言葉」というものも、
中岡氏が易しく書き直しているものと思われますが、中々興味深い内容となっています。
なお、この中で、命日が一日ずれ込んでいるのは、恐らく時差の為と思われます。
以下、抄掲です。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
■日系2世のジョージ・沖中は、作家の三島由紀夫のファンだった。
命日の11月24日、三島の霊は様々の事を語った!■
【ブラジルの少女が、三島の霊を招いた!】

「折角ですが、あの娘はもう、招霊を行っていませんので。」
1971年11月24日、ジョージ・沖中が、ブラジルのサンパウロ市に住むノビアを訪ねた時、
応対に出た少女の母親は、こう言って断った。
「何とかお願いできませんか。」
ジョージ・沖中はねばった。
それから数時間後、沖中のねばりに負けて、少女はこう言った。
「お母さん、やってみるわ。」
沖中は言った。
「ありがとう、ノビアちゃん。頼むよ。
呼んでもらいたい霊は、日本のユキオ・ミシマなんだ。」
日系2世のジョージ・沖中は、小説家の三島由紀夫のファンだったので、命日のこの日、
三島の霊を呼び、話しが聞きたかったのだ。
日本で死亡した日本人の霊が、ブラジル人に呼び出せるものだろうか。
「ユキオ・ミシマ……」
ノビアは、もちろん三島の事を何も知らなかったし、しかも日本語は全く知らなかった。
ノビアは正座すると、両手を胸に組み、じっと目をつむっていた。
【話し出す三島の霊】
一分、二分……かなり長い緊張の時間が過ぎた。
少女の母親も、ジョージ・沖中も、息をこらしてノビアを見守った。
やがて目を閉じたままのノビアが、首を右に左に動かし始めた。
「ああ、苦しいな……」
ノビアの口が動き、綺麗な、しかも男口調の日本語が飛び出した。
言葉の判らない母親は不思議な顔をしていたが、沖中は喜びと興奮に身を乗り出した。
「三島さん!」
沖中は、ノビアの体に降りてきている三島由紀夫に握手を求めた。
「あなたは、誰?」
三島の霊は、ジョージ・沖中の手を取りながら、話し始めた。
「三島さん、あなたは今、どんな所にいるのですか?」
「広い、とても綺麗な所だ。
作品の舞台に使いたいような、夢園とでも表現したい場所にいる。
草花がいっぱい咲いているよ。」
「なぜ、自殺したのですか。」
「切腹してはいけなかったかな……
でも、最も日本男児らしい死に方だと思ってやった。
その気持ちが判ってもらえれば、死んだ意味も判ってもらえると思うがなあ。」
「思い残している事は、ないのですか?」
「そうだなあ、ないと言えば嘘だ。
あるよ、いや、いっぱいあるんだ。
日本のこと、同士のこと、妻や子供のこと、みんな心配だし、思い残していること
ばかりだ。
特に、子供にはかわいそうなことをしたと思う。
どうか、強い立派な人間になってもらいたい。」
子供のことを話す三島の霊は、幾度も言葉につかえ、胸にこみあげて来るものを抑えて
いるのがよく判った。
「みんなに望むことは、何ですか?」
「現在のような、自由気ままな生き方では、日本は駄目になってしまう。
もっとしっかり、みんなが国のこと、自分達のことを考えて欲しい。
さもないと、日本に大混乱がやって来る……」
三島の霊は、ここまで話した時、突然お腹の痛みを訴え始め、激しく苦しみ始めた。
【腹痛を訴えた霊】
「三島さん、大丈夫ですか?」
ジョージ・沖中は、苦しみ悶えるノビアの体を抱きかかえようとしたが、不思議な事に、
小さなノビアの体は、大人と同じくらいの重さになっていた。
「みんなによろしく……」
やがて三島の霊は、苦しみながらノビアの体から離れていったが、三島の霊が去った時、
ノビアはけろりとした顔つきで、元通りの元気な少女になっていた。
「ノビアちゃん、ありがとう。」
ジョージ・沖中は、少女の手をしっかりと握り、会いたかった三島由紀夫の霊に会えた事の
喜びと、優れた霊能力者なら、外国人でも呼べるし、その霊の国の言葉で話せるという、
大発見の出来たことを感謝した。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
以下、中岡氏によって紹介された、「霊能体操」の一つです。
………………

(画像の)①から③の動作を行うのだ。
③のでんぐり返しを4~5回繰り返したら、今度はまたあぐらをかき直し、目を閉じて心を
落ち着けるのだ。
精神が落ち着き、統一が出来たなら、君が話しかけたい死者の霊に、「○○さん、お声を
聞かせて下さい。」と話しかける。
二、三度繰り返した方がよい。
しかし、何度やっても声が聞こえない場合は、君に未だ邪念があるのだから、初めから
やり直そう。
この体操も、根気強くやる事は、もちろんのことだ。
………………
*******
「演説 三島由紀夫」
http://www.youtube.com/watch?v=tzz1-ppIjOg
「1969年、カナダのテレビ局による、三島由紀夫の貴重なインタビュー 」
http://www.youtube.com/watch?v=hkM_1LX4hDI
これだけ整然と、日本のあるべき道のビジョンを、西洋人のインタビュアーに向けて
語れる人は、英語が話せるかどうかという以前にも中々いなかったと思いますが、
彼の言葉や語り方からは非常に気迫というものが感じられます。