「17点差ですか・・・。」
「陵南は翔陽に25点差、海南は17点差、一概に計算できるものじゃないけど、
海南に2点差で勝った湘北と陵南を比較すると、数字の上では陵南のほうが上ね。」
第3位決定戦
翔陽 76
海南 93
2年前までは、神奈川県の2強と呼ばれ、優勝を争うこのカードも、
今年は第3位を争うカードとなっていた。
翔陽は、県内最高身長のC宮田を中心にインサイドで攻めるも、
海南C大泉も踏ん張りもあり、思うように得点をあげることは出来なかった。
対する海南は、神のシュートが面白いように決まり、3P8本を含む38得点を記録し、福田を抜き、
得点ランキング1位に躍り出た。
自身キャリア最高得点をあげた神は、この日を持って、高校バスケ界から引退。
牧のいる白金学院大学への進学も決まっており、名実ともに高校生最強シューターは、
来年4月から新しい門出を迎える。
「神。3年間お疲れ様。」
「壮太もな。」
神とともに1年間海南をまとめてきた真田は、プレーヤーから引退し、
スポーツトレーナーを目指して、進学する。
これからの海南をまとめることとなるPG清田も、この日、14アシストとパスワークが抜群に冴え、
宮城を抜いて、仙道に次ぐ、アシストランキング2位となった。
また、今大会、3Pも安定し、得点、アシストのダブルダブルを記録するパフォーマンスも見せた。
この部門のダブルダブルは、清田のほか、仙道しかいない。
「神さん。真田さん。3年間お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。」
ベンチでは、3年生らに清田が深々と頭を下げていた。
「あの横断幕のように頑張れよ。」
と真田。
そこには、『常勝』ではなく『挑戦』と書かれた横断幕があった。
「キャプテンとして、プレーだけじゃなく、精神的にも、強くならなくちゃな。」
笑う神。
「はい。」
いつまでも顔を上げない清田の足元は、涙で濡れていた。
(神さん・・・。真田さん・・・。ありがとうございました・・・。)
「清田のやつ、だいぶ成長したな。」
その光景を嬉しそうに眺める三井。
「あいつも知り合いか?」
「神奈川のやつらは、みんな知り合いみたいなもんだ。」
「いい仲間たちだな。」
やがて、清田は、導かれるように三井のいる横浜学芸大学に進学するのだが、それはまた別の話。
陵南と湘北の選手がコートに現れた。
「この好カードが、予選で見られるとは!!」
「なんとももったいない!!」
「どっちも全国に行ってほしい!!!」
一昨年まで、陵南と湘北で優勝を争うなど、予想をしたものがいたであろうか。
会場内に詰め掛けている大勢の観客の中に、予測できたものは数少ない。
「陵南!!冬も全国制覇だーーー!!」
「リョ!リョ!リョーナン!!リョ!リョ!リョーナン!!」
IHを制し、夏・冬完全制覇を目指す、陵南。
キャプテン越野に続き、夏の王者たちが、姿を現す。
その堂々とした振る舞いは、強さの表れでもあった。
最後尾に仙道。
会場のボルテージが一気に沸く。
『パシャ!』
記者席では、レンズ越しに、仙道の表情を奪う。
「仙道ーー!!この試合も任せたぞーー!!」
「高校生No.1プレーヤーの力を見せてやれ!!」
「さすが、仙道君ですね。流川君や桜木君を抑えての1番人気です。」
「いまや、沢北君以上といわれているし、パスして良し、点を獲って良しと、
スーパーオールラウンダーとして、東西20の大学から推薦の話が来ているという噂よ。」
「20の大学??凄すぎますね・・・。」
「まぁ、本人はあまり関心がないみたいだけどね。」
記者席の弥生は苦笑いをした。
(なぜ、仙道ばかり・・・。)
少し仙道に嫉妬している福田。
それに気付く仙道。
「うちの点取り屋は、お前だ。今日も頼むよ。」にこり。
「おう。」
(さすが、先輩たちや。この、全国の決勝並みに盛り上がった会場でも、
誰一人、緊張している方は、おらへん。)
そして、反対コートには、嫉妬するもう一人の男。
「センドーめ!偉そうに!!
VIPだが、MNPだが、なんだか知らねぇが、俺はリバウンド王とタップ王の2冠だぜ!!」
大腕を振って歩く桜木。
(MVPだ、どあほう・・・。)
(なんだよ、2冠って・・・。)
柳も呆れている。
「湘北だーー!!」
「負けるな!!湘北が全国だーー!!!」
「いけーーー!!今日も派手なの見せてくれーー!!」
IH第4位の実績を引っさげて、予選で全国覇者を相手にすることになった湘北。
県予選決勝で対戦するには、豪華すぎる組み合わせであったが、全国への切符は、1枚。
勝者と敗者しか存在しない。
(センドー、ぜってー倒す!)
流川の闘志は、すでに最高潮であった。
「陵南戦は、あくまでも通過点!!うちが勝って、全国制覇だ!!」
「おう!!!!」
「おうよ!!!」
湘北ベンチ前では、宮城が気合を入れる。
「勝つのはうちだ!!湘北に勝って、そのまま突き進むぞ!!」
「おう!!!」
陵南は、円を作り、越野が檄を飛ばした。
「心臓が止まりそうですね!!どっちが勝つんでしょう!!」
試合前から、興奮状態になっている中村。
「難しいわね。でも、勝ったほうが、全国大会の優勝候補になることは、確実よ。」
ペンを握る弥生の手には、じわーと汗が滲み出ていた。
「三井は、どっちを応援するんだ?やはり、母校の湘北か?大学入学の恩師がいる陵南か?」
「俺が応援するのは、ただ一人さ。」
笑う三井。
「ただ一人?桜木?宮城?流川?」
「いいや。あの人だけだよ・・・。」
(俺はぜってー諦めない。必ず、学生チャンピオンになります!だから、あいつらを全国制覇させてやってください。
・・・・・・安西先生。)
『ピィーーー!!』
ブザーとともに、両校のスターティングファイブが、アナウンスされる。
「青!陵南高校、スターティングファイブを紹介します!!」
「リョ!リョ!リョーナン!!リョ!リョ!リョーナン!!」
「リョ!リョ!リョーナン!!リョ!リョ!リョーナン!!」
「#4!越野宏明!」
「いけ!越野!湘北の勢いを止めるのは、お前だ。」
「はい!!」
とベンチの田岡が越野を送り出す。
(俺は俺の仕事をするまでだ!!)
「#6!福田吉兆!」
「福田ーー!!今日も粘り強いオフェンスを見せてくれーー!!」
「陵南の勝利はお前にかかっているぞーー!!」
自分を応援する声に、福田は震えていた。
(もっと褒めてくれ・・・。)ぷるぷるぷる。
「#7!」
会場が唸りをあげる。
「わぁぁぁぁーーーー!!!」
「せんどーーーー!!!!」
「仙道彰!」
アナウンスの声は、声援でかき消されていた。
(センドー・・・。)
「センドーめ。人気先行型のくせに!!」
睨みをきかす湘北2年生コンビに気付く仙道。
仙道は挑発するように、微笑む。
(2人まとめて相手しやるよ。)にこり。
「ジョートー!!」
桜木と流川の声が揃う。
顔を見合わせる2人。
『プイ!』
視線をそらした。
「#9!山岡拓真!」
「上杉ちゃんの分まで、頑張るよ。」
「春風のスピードは尋常じゃありません。気付いたら、前を走っています。
決して、見失わないように。」
「おっけ~。」
(ホントにわかっているのかな?この人は・・・。)
「#12!黒川大蔵!」
「白田。花道には、福田を当たらせる。あのセンターは、お前に任せたぞ。」
「はい!!」
続いて、湘北のスターティングファイブが紹介された。
続く。
「陵南は翔陽に25点差、海南は17点差、一概に計算できるものじゃないけど、
海南に2点差で勝った湘北と陵南を比較すると、数字の上では陵南のほうが上ね。」
第3位決定戦
翔陽 76
海南 93
2年前までは、神奈川県の2強と呼ばれ、優勝を争うこのカードも、
今年は第3位を争うカードとなっていた。
翔陽は、県内最高身長のC宮田を中心にインサイドで攻めるも、
海南C大泉も踏ん張りもあり、思うように得点をあげることは出来なかった。
対する海南は、神のシュートが面白いように決まり、3P8本を含む38得点を記録し、福田を抜き、
得点ランキング1位に躍り出た。
自身キャリア最高得点をあげた神は、この日を持って、高校バスケ界から引退。
牧のいる白金学院大学への進学も決まっており、名実ともに高校生最強シューターは、
来年4月から新しい門出を迎える。
「神。3年間お疲れ様。」
「壮太もな。」
神とともに1年間海南をまとめてきた真田は、プレーヤーから引退し、
スポーツトレーナーを目指して、進学する。
これからの海南をまとめることとなるPG清田も、この日、14アシストとパスワークが抜群に冴え、
宮城を抜いて、仙道に次ぐ、アシストランキング2位となった。
また、今大会、3Pも安定し、得点、アシストのダブルダブルを記録するパフォーマンスも見せた。
この部門のダブルダブルは、清田のほか、仙道しかいない。
「神さん。真田さん。3年間お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。」
ベンチでは、3年生らに清田が深々と頭を下げていた。
「あの横断幕のように頑張れよ。」
と真田。
そこには、『常勝』ではなく『挑戦』と書かれた横断幕があった。
「キャプテンとして、プレーだけじゃなく、精神的にも、強くならなくちゃな。」
笑う神。
「はい。」
いつまでも顔を上げない清田の足元は、涙で濡れていた。
(神さん・・・。真田さん・・・。ありがとうございました・・・。)
「清田のやつ、だいぶ成長したな。」
その光景を嬉しそうに眺める三井。
「あいつも知り合いか?」
「神奈川のやつらは、みんな知り合いみたいなもんだ。」
「いい仲間たちだな。」
やがて、清田は、導かれるように三井のいる横浜学芸大学に進学するのだが、それはまた別の話。
陵南と湘北の選手がコートに現れた。
「この好カードが、予選で見られるとは!!」
「なんとももったいない!!」
「どっちも全国に行ってほしい!!!」
一昨年まで、陵南と湘北で優勝を争うなど、予想をしたものがいたであろうか。
会場内に詰め掛けている大勢の観客の中に、予測できたものは数少ない。
「陵南!!冬も全国制覇だーーー!!」
「リョ!リョ!リョーナン!!リョ!リョ!リョーナン!!」
IHを制し、夏・冬完全制覇を目指す、陵南。
キャプテン越野に続き、夏の王者たちが、姿を現す。
その堂々とした振る舞いは、強さの表れでもあった。
最後尾に仙道。
会場のボルテージが一気に沸く。
『パシャ!』
記者席では、レンズ越しに、仙道の表情を奪う。
「仙道ーー!!この試合も任せたぞーー!!」
「高校生No.1プレーヤーの力を見せてやれ!!」
「さすが、仙道君ですね。流川君や桜木君を抑えての1番人気です。」
「いまや、沢北君以上といわれているし、パスして良し、点を獲って良しと、
スーパーオールラウンダーとして、東西20の大学から推薦の話が来ているという噂よ。」
「20の大学??凄すぎますね・・・。」
「まぁ、本人はあまり関心がないみたいだけどね。」
記者席の弥生は苦笑いをした。
(なぜ、仙道ばかり・・・。)
少し仙道に嫉妬している福田。
それに気付く仙道。
「うちの点取り屋は、お前だ。今日も頼むよ。」にこり。
「おう。」
(さすが、先輩たちや。この、全国の決勝並みに盛り上がった会場でも、
誰一人、緊張している方は、おらへん。)
そして、反対コートには、嫉妬するもう一人の男。
「センドーめ!偉そうに!!
VIPだが、MNPだが、なんだか知らねぇが、俺はリバウンド王とタップ王の2冠だぜ!!」
大腕を振って歩く桜木。
(MVPだ、どあほう・・・。)
(なんだよ、2冠って・・・。)
柳も呆れている。
「湘北だーー!!」
「負けるな!!湘北が全国だーー!!!」
「いけーーー!!今日も派手なの見せてくれーー!!」
IH第4位の実績を引っさげて、予選で全国覇者を相手にすることになった湘北。
県予選決勝で対戦するには、豪華すぎる組み合わせであったが、全国への切符は、1枚。
勝者と敗者しか存在しない。
(センドー、ぜってー倒す!)
流川の闘志は、すでに最高潮であった。
「陵南戦は、あくまでも通過点!!うちが勝って、全国制覇だ!!」
「おう!!!!」
「おうよ!!!」
湘北ベンチ前では、宮城が気合を入れる。
「勝つのはうちだ!!湘北に勝って、そのまま突き進むぞ!!」
「おう!!!」
陵南は、円を作り、越野が檄を飛ばした。
「心臓が止まりそうですね!!どっちが勝つんでしょう!!」
試合前から、興奮状態になっている中村。
「難しいわね。でも、勝ったほうが、全国大会の優勝候補になることは、確実よ。」
ペンを握る弥生の手には、じわーと汗が滲み出ていた。
「三井は、どっちを応援するんだ?やはり、母校の湘北か?大学入学の恩師がいる陵南か?」
「俺が応援するのは、ただ一人さ。」
笑う三井。
「ただ一人?桜木?宮城?流川?」
「いいや。あの人だけだよ・・・。」
(俺はぜってー諦めない。必ず、学生チャンピオンになります!だから、あいつらを全国制覇させてやってください。
・・・・・・安西先生。)
『ピィーーー!!』
ブザーとともに、両校のスターティングファイブが、アナウンスされる。
「青!陵南高校、スターティングファイブを紹介します!!」
「リョ!リョ!リョーナン!!リョ!リョ!リョーナン!!」
「リョ!リョ!リョーナン!!リョ!リョ!リョーナン!!」
「#4!越野宏明!」
「いけ!越野!湘北の勢いを止めるのは、お前だ。」
「はい!!」
とベンチの田岡が越野を送り出す。
(俺は俺の仕事をするまでだ!!)
「#6!福田吉兆!」
「福田ーー!!今日も粘り強いオフェンスを見せてくれーー!!」
「陵南の勝利はお前にかかっているぞーー!!」
自分を応援する声に、福田は震えていた。
(もっと褒めてくれ・・・。)ぷるぷるぷる。
「#7!」
会場が唸りをあげる。
「わぁぁぁぁーーーー!!!」
「せんどーーーー!!!!」
「仙道彰!」
アナウンスの声は、声援でかき消されていた。
(センドー・・・。)
「センドーめ。人気先行型のくせに!!」
睨みをきかす湘北2年生コンビに気付く仙道。
仙道は挑発するように、微笑む。
(2人まとめて相手しやるよ。)にこり。
「ジョートー!!」
桜木と流川の声が揃う。
顔を見合わせる2人。
『プイ!』
視線をそらした。
「#9!山岡拓真!」
「上杉ちゃんの分まで、頑張るよ。」
「春風のスピードは尋常じゃありません。気付いたら、前を走っています。
決して、見失わないように。」
「おっけ~。」
(ホントにわかっているのかな?この人は・・・。)
「#12!黒川大蔵!」
「白田。花道には、福田を当たらせる。あのセンターは、お前に任せたぞ。」
「はい!!」
続いて、湘北のスターティングファイブが紹介された。
続く。