熱気と歓声に包まれた体育館。
いうまでもなく、今大会最高の盛り上がりを見せている。
山王ベンチ。
堂本を中心に、選手たちが作戦の最終確認をしている。
「沢北、昨年の夏以来だな。」
「はい。」
今年のIH、国体と出場していない沢北は、実に1年半ぶりの湘北との対戦であった。
「荒削りだった1年前の湘北とはわけが違うぞ。」
「わかってますよ。監督。でも、俺だって、ムラだらけの1年前とは、全く違いますから。」
「そうだったな。」
堂本は続ける。
「昨夜話したとおり、最初から全力を出して戦え。先輩たちが歩んできた道に新たな道を加える。
お前たちならそれができる!」
「はい!!」
「初めから、飛ばしていけ!!お前たちがベストだ!!」
「はい!!」
山王ベンチは、今までないほどの気合を見せていた。
かたや、湘北ベンチ。
「・・・。」
静かに安西の下に集合していた。
決して、臆しているのではない。
込み上げて来る闘志を抑えていたのであった。
「リョーちん、もう限界だぜ!!」
「まぁ待て。あと少しの辛抱だ。その思い、コートで思いっきり爆発させろ。」
流川の眼は、炎と変わっている。
柳は淡々とストレッチをし、白田は汗を拭っている。
1年生ながら、この大舞台で緊張しているようには見えなかった。
彼らには、決勝まで勝ち進んできた自分たちの実力に自信があった。
その自信を植え付けたのは、いうまでもなくキャプテン宮城であった。
準決勝、巧みな話術と指示により、ベンチから彼らをサポート。
結果、彼らは最高レベルのプレーを記録して、これ以上ないモチベーションで決勝戦を迎えたのであった。
(あとは、山王を叩くのみ。)
(ここまできたら、やってやるしかない!)
「オヤジ!一言ねえのか?」
安西の口に注目する。
「・・・・・・。」
少し溜めた安西の口が開く。
「多くの人たちに支えられ、私たちはここにいる。」
選手らは、先輩やライバル、友人らを思い出した。
(ダンナ・・・。)
(仙道・・・。)
(あいつら・・・。)
(三井さん・・・。)
(ハルコさん。)にや。
目まぐるしく、脳裏に神奈川の仲間たちの顔が浮かぶ。
「さぁ、今度は君たちが彼らの想いに応える番です。」
『キラ。』
眼鏡が光る。
「優勝あるのみです。」
「おう!」
「うす。」
『コク。』
「はい。」
「只今より、両校のスターティングファイブの紹介をいたします。」
「うおぉぉーーーー!!」
「始まるぞーーー!!!」
「いよいよだーー!!」
アナウンスと同時に、大歓声が起こる。
会場は多くの観客で埋め尽くされ、始まりのときをまだかまだかと待ち侘びていた。
「神奈川県代表神奈川県立湘北高校 #4!宮城リョータ選手!」
静まることのない大歓声のなか、宮城がトップバッターとして、コートに足を踏み入れた。
(ダンナ、三井サン、木暮さん、しっかり見ててくれよ!
ぜってー、優勝カップを湘北に持ち帰ってやるから!そして・・・。)
ベンチを振り返る宮城。
彩子が右手の親指をあげている。
『コク。』
うなずく宮城。
(アヤちゃんに最高の笑顔を!!!)
「#7!流川楓選手!」
「ルカワ!ルカワ!ルカワ!」
「ルカワ!ルカワ!ルカワ!」
「ルカワ!ルカワ!ルカワ!」
『パン!』
リストバンドを小さく弾いた流川が静かにコートに向かった。
「流川君。決めてきなさい。」
「うす。」
安西の言葉の真意を悟った流川からは、とてつもないオーラが放たれていた。
流川に視線を注ぐ沢北。
「勝負だ。流川。」にこり。
そして、もう一人。
(勝てよ。)にこり。
観客席の仙道であった。
「#9!柳春風選手!」
「春風ーーー!!!」
珍しく叫ぶ上杉と黒川。
『ドクンドクン。』
(やべっ。初めてだぜ、こんな気持ち・・・。)
天井を見る柳。
「これが、武者震いってやつか。」
山王ベンチの福原をみる。
(快、今回は勝たせてもらう!そして、ちゃんと向き合おうぜ!)
柳葉に眼を向ける。
(そして、あんたにも!!)
「#10!桜木花道選手!」
一際大きな歓声。
「待ってました!赤頭!!!」
「今日は何本のリバウンドを奪うんだーーー!!!」
「オヤジ。」
「ん。」
「俺の全盛期はもっと先だ。だから、今日の俺が最高だと思うなよ。」
「わかってますよ。」
安西は、桜木が#10の背番号をつけ、全日本のユニホームを着ている姿を想像し、微笑んだ。
「ハルコさん。」
「頑張って。」
「ハイ!」
「桜木さん、思ったより大人しいやないですか?」
「実力だけじゃなく、精神も成長したかもな。」
と仙道。
「それはありえない。」
福田がいった。
「#14!白田豊選手!」
『パンパン!!』
両手で顔を叩く白田。
「おっ、珍しいな、白田?」
潮崎が声をかける。
「この舞台に立つことを夢見ていました。
まさかと思って、思いっきり叩いてみましたが、俺はここに立っている。夢じゃないみたいですね?」
「あはは!当たり前だろ!」
「俺も夢かと思ったけど、紛れもなくここは決勝の舞台だ。」
「お前の力で辿り着いた場所だ。」
「潮崎先輩・・・。いや、チームのみんなの力で辿り着いた場所です。」
「白田・・・。」
「絶対に勝ちましょう!!」
「あぁ!ゴール下を任せたぞ!」
湘北の5人が、センターラインを境に整列した。
「みんな、ただ楽しめ。そしたら、自ずと結果はついてくる。」
「はい。」
『コク。』
「わかってるぜ!」
まもなく、決勝戦が開始される。
続く。
いうまでもなく、今大会最高の盛り上がりを見せている。
山王ベンチ。
堂本を中心に、選手たちが作戦の最終確認をしている。
「沢北、昨年の夏以来だな。」
「はい。」
今年のIH、国体と出場していない沢北は、実に1年半ぶりの湘北との対戦であった。
「荒削りだった1年前の湘北とはわけが違うぞ。」
「わかってますよ。監督。でも、俺だって、ムラだらけの1年前とは、全く違いますから。」
「そうだったな。」
堂本は続ける。
「昨夜話したとおり、最初から全力を出して戦え。先輩たちが歩んできた道に新たな道を加える。
お前たちならそれができる!」
「はい!!」
「初めから、飛ばしていけ!!お前たちがベストだ!!」
「はい!!」
山王ベンチは、今までないほどの気合を見せていた。
かたや、湘北ベンチ。
「・・・。」
静かに安西の下に集合していた。
決して、臆しているのではない。
込み上げて来る闘志を抑えていたのであった。
「リョーちん、もう限界だぜ!!」
「まぁ待て。あと少しの辛抱だ。その思い、コートで思いっきり爆発させろ。」
流川の眼は、炎と変わっている。
柳は淡々とストレッチをし、白田は汗を拭っている。
1年生ながら、この大舞台で緊張しているようには見えなかった。
彼らには、決勝まで勝ち進んできた自分たちの実力に自信があった。
その自信を植え付けたのは、いうまでもなくキャプテン宮城であった。
準決勝、巧みな話術と指示により、ベンチから彼らをサポート。
結果、彼らは最高レベルのプレーを記録して、これ以上ないモチベーションで決勝戦を迎えたのであった。
(あとは、山王を叩くのみ。)
(ここまできたら、やってやるしかない!)
「オヤジ!一言ねえのか?」
安西の口に注目する。
「・・・・・・。」
少し溜めた安西の口が開く。
「多くの人たちに支えられ、私たちはここにいる。」
選手らは、先輩やライバル、友人らを思い出した。
(ダンナ・・・。)
(仙道・・・。)
(あいつら・・・。)
(三井さん・・・。)
(ハルコさん。)にや。
目まぐるしく、脳裏に神奈川の仲間たちの顔が浮かぶ。
「さぁ、今度は君たちが彼らの想いに応える番です。」
『キラ。』
眼鏡が光る。
「優勝あるのみです。」
「おう!」
「うす。」
『コク。』
「はい。」
「只今より、両校のスターティングファイブの紹介をいたします。」
「うおぉぉーーーー!!」
「始まるぞーーー!!!」
「いよいよだーー!!」
アナウンスと同時に、大歓声が起こる。
会場は多くの観客で埋め尽くされ、始まりのときをまだかまだかと待ち侘びていた。
「神奈川県代表神奈川県立湘北高校 #4!宮城リョータ選手!」
静まることのない大歓声のなか、宮城がトップバッターとして、コートに足を踏み入れた。
(ダンナ、三井サン、木暮さん、しっかり見ててくれよ!
ぜってー、優勝カップを湘北に持ち帰ってやるから!そして・・・。)
ベンチを振り返る宮城。
彩子が右手の親指をあげている。
『コク。』
うなずく宮城。
(アヤちゃんに最高の笑顔を!!!)
「#7!流川楓選手!」
「ルカワ!ルカワ!ルカワ!」
「ルカワ!ルカワ!ルカワ!」
「ルカワ!ルカワ!ルカワ!」
『パン!』
リストバンドを小さく弾いた流川が静かにコートに向かった。
「流川君。決めてきなさい。」
「うす。」
安西の言葉の真意を悟った流川からは、とてつもないオーラが放たれていた。
流川に視線を注ぐ沢北。
「勝負だ。流川。」にこり。
そして、もう一人。
(勝てよ。)にこり。
観客席の仙道であった。
「#9!柳春風選手!」
「春風ーーー!!!」
珍しく叫ぶ上杉と黒川。
『ドクンドクン。』
(やべっ。初めてだぜ、こんな気持ち・・・。)
天井を見る柳。
「これが、武者震いってやつか。」
山王ベンチの福原をみる。
(快、今回は勝たせてもらう!そして、ちゃんと向き合おうぜ!)
柳葉に眼を向ける。
(そして、あんたにも!!)
「#10!桜木花道選手!」
一際大きな歓声。
「待ってました!赤頭!!!」
「今日は何本のリバウンドを奪うんだーーー!!!」
「オヤジ。」
「ん。」
「俺の全盛期はもっと先だ。だから、今日の俺が最高だと思うなよ。」
「わかってますよ。」
安西は、桜木が#10の背番号をつけ、全日本のユニホームを着ている姿を想像し、微笑んだ。
「ハルコさん。」
「頑張って。」
「ハイ!」
「桜木さん、思ったより大人しいやないですか?」
「実力だけじゃなく、精神も成長したかもな。」
と仙道。
「それはありえない。」
福田がいった。
「#14!白田豊選手!」
『パンパン!!』
両手で顔を叩く白田。
「おっ、珍しいな、白田?」
潮崎が声をかける。
「この舞台に立つことを夢見ていました。
まさかと思って、思いっきり叩いてみましたが、俺はここに立っている。夢じゃないみたいですね?」
「あはは!当たり前だろ!」
「俺も夢かと思ったけど、紛れもなくここは決勝の舞台だ。」
「お前の力で辿り着いた場所だ。」
「潮崎先輩・・・。いや、チームのみんなの力で辿り着いた場所です。」
「白田・・・。」
「絶対に勝ちましょう!!」
「あぁ!ゴール下を任せたぞ!」
湘北の5人が、センターラインを境に整列した。
「みんな、ただ楽しめ。そしたら、自ずと結果はついてくる。」
「はい。」
『コク。』
「わかってるぜ!」
まもなく、決勝戦が開始される。
続く。