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うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#98 【信頼関係】

2009-04-17 | #05 海南 選抜編
海南 3
秋月 2




ボールは、SG渋谷からPF立川へ、そしてSF大和へと渡る。


試合開始早々だが、会場のボルテージは高い。

第1試合から第6試合までに沸いた興奮がいまなお持続している。




『キュ!』


品川が高砂を抑え、裏のパスを要求。

大和は清田の上からパスを供給した。


『シュパ!』


品川は大和のパスをダイレクトにゴールに入れる。




「いいぞ!いいぞ!品川!品川!」




「息のあったプレーね。品川君は、大和君からの絶妙なパスを見逃さない。固い信頼関係ね。」

と記者席の弥生。




「ぐっ。高すぎる。」

悔しそうに高砂がいう。

「大丈夫だ。スクリーンアウトをしっかりして、2次攻撃を防いでいこう。
練習どおりやれば、結果は自ずとついて来る!」

牧が励ます。




「大和はなかなかの選手だな。」

高頭の表情はまだ明るい。




「大和が動いたぜ。」

「神には徹底マークが必要っす。でも、大和で止められますかね?」

「翼はとめられなかったもんね。」

「虎は一言多いぞ。」

諸星ら、愛和の選手が話をしている。




海南のオフェンス。

秋月が早くもディフェンスを変えた。

海南のオフェンスを封じる定石といってもいい、神へのボックスワン。

マークは、大和がついた。


「もう打たせないよ。」

「それはどうかな。」


「このパターンはもう攻略済みさ。」

牧がつぶやく。



『キュ!』


牧が、渋谷と西の間、中央突破を図った。




「牧さんが、突っ込んでいきおった!!」

「さすが、全国大会。牧君のエンジンのかかりも早いわね。」




『ダム!』


『ガシ!』


牧と渋谷の体が触れるが、笛はならない。


(なんて体してるんだ!)

接触した渋谷が驚いている。


『キュ!』


(通さない。)

牧の正面には、205cmの巨体品川が立ちはだかった。

渋谷、西、品川の3人に囲まれる牧。




「つかまったーー!!」

「神は、大和がしっかり守っている!!」




(練習どおり、こいよ。)

牧は、ドリブルをしながら、ノールックで真後ろにバウンドパスを放った。



そこには、清田。

「練習どおり!」

キャッチした清田は、ゆっくりと3Pシュートを放った。



『ガン!』



『スパ!』



リングに跳ねたボールは、かろうじてネットを通過した。




「見たか、今のパス?」

「牧は、後ろにも目があるのかーー?」




「アンビリーバブルや!牧さん、一瞬たりとも清田君を見てへんで!」

「うっうん。僕も見てないと思います。」

「これはセットプレーね。」

「セットプレーやて?」

「神がボックスワンでマークされたときの対応策の一つよ。
牧君がペネトレイトで突っ込んで囲まれた場合、牧君の真後ろに清田君がフォローに回るんだわ。」

「でも、タイミングが少しでもずれたら、パスミスになってしまいますよ。」

「ええ、だから、きっと何回も何回も反復練習をして、
牧君がパスを出すタイミング、清田君がフォローに行くタイミングをはかっていたはずよ。」

「すごいでー!牧君と清田君。」

「ただ、清田君の3Pはラッキーだったかもしれないけどね。」

「秋月に、大和君と品川君の信頼関係があるように、海南にも牧君と清田君の信頼関係があるんですね。」




「ナイスパスです!」

「ナイッシューだ。」

牧は清田の頭を掴んだ。

「よし、こことめるぞ!」

「はい。」



だが、今度は大和がミドルシュートをあっさりと決め、同点とする。




「さすが、大和君、清田君が間合いを空けた一瞬をつき、自ら得点を奪いにいったわ。」

「僕には、その間合いの差はわかりませんでしたけど・・・。」



(10cm下がっただけで、打ってきやがった。こいつ、本物だぜ・・・。)



海南 6
秋月 6







続く。

#97 【海南対秋月】

2009-04-16 | #05 海南 選抜編
--東京体育館--

コートでは、今まさに海南対秋月の試合が行われようとしていた。


-----------------------------------------------

【海南】青

PG…#4 牧 紳一 184cm/3年
SG…#10 清田 信長 179cm/1年
SF…#6 神 宗一郎 189cm/2年
PF…#9 武藤 正 184cm/3年
 C…#5 高砂 一馬 191cm/3年


【秋月】白

PG…#6 渋谷 登 169cm/3年
SG…#13 西 京太郎 171cm/2年
SF…#4 大和 統 185cm/3年
PF…#7 立川 潤一 183cm/3年
 C…#5 品川 祥司 205cm/3年


-----------------------------------------------




「もう試合が始まるのに、彦一はどこ行ってるのよ!!」

「えーと、トっトイレ行くっていってました。」

(何しているんだ!?彦一君、早く来ないと相田さんがブチ切れちゃいますよ。)




両校がセンターラインを境に整列している。


「でっでけーー。」

清田は、品川を呆然と眺める。

(このでかさは脅威だな。)

牧も品川の大きさに驚きを隠させない。

それはまた、高砂も武藤も同じであった。


「牧。よろしくな。」

優しく声をかけたのは、秋月キャプテン大和統。

長髪を後ろで結わき、物腰の柔らかい穏やかな顔をしている。

#5品川は、短髪で目が大きく、愛嬌のある顔をしている。

どちらも、第1印象は、優しそうと思われる容姿をしていた。


「あぁ。フェアプレーで。」

牧も軽く答えた。




「ふーー。間に合ったでーー。」

椅子に腰をかける彦一。

「何が、間に合ったでーーよ。もう試合が始まるじゃない!遅刻は厳禁よ!!
ほんま、このルーズさはあかんわ。」

「弥生さんだって、よく遅刻するくせに。」

中村が小声でつぶやく。

「ん!?中村君、なんかゆうた?」

「いえ、何もっ。」


「おうー。品川さんは、でっかいなーー。高砂さんが小さく見えるで。
それに比べ、えーっと、渋谷さんと西さんは、えらく小っさいな。」

「あんたより5cmも高いわよ。」

(バックコート陣は、牧君、神君のサイズがはるかに上回っている。
反対に、フロントコート陣は、秋月が断然有利ね。)

「この試合のキーポイントは・・・、ミスマッチにどう対応するかですね。うんうん。」

「見れば誰だってわかるでしょ!?」

(あとは、大和君がどれだけの動きを見せるかで、大きく変わるわね。)




『ビーーー!』


3回戦 第8試合 海南大附属高校 対 秋月高校の試合が開始された。



ジャンプボールは、当然品川。

しっかりと、秋月PG渋谷がボールをキャッチする。


海南は引いて、2-3のゾーンを敷いた。




「当然だワン。」

「品川をマンツーで押さえられるのは、俺か赤木、新庄くらいしかいないだろう。んっ!?」

(あいつもいたか・・・。)

河田は、森重をそっと思い出した。




牧と清田が前列、後列は左右に神と武藤、センターには高砂がついた。


PG渋谷がボールをつきながら、トップで様子を伺う。

左にSG西、右には秋月のキープレイヤーSFの大和が位置づいた。

PF立川はハイポに、ローポには205cmの長身C品川が陣取る。


渋谷から右の大和へ、ボールが渡る。




「大和だーー!!」

「ミスタートリプルダブル!!まずは、得点か?アシストか?」




『キュ!』


(簡単には、やらせねぇ!)

清田がすかさずタイトについた。


(いいディフェンスだ。)

大和は、トップの渋谷にパスを出そうと腕を伸ばす。

だが、すぐにボールとともに腕を引っ込めた。


(フェイク!)

清田は、一瞬の隙も見せない。


だが、大和はそのままボールをバックビハインドパスで、ゴール下にループパスを放つ。


(!!)

思わぬ角度から放たれたパスに清田は反応することができなかった。


ボールは、武藤を越え、品川へ。



『ドガァ!!』



挨拶とばかりにアリウープを決めた。



『ギシギシ・・・。』



海南ゴールが軋んでいる。




「すげーパス!!品川もすげーダンクだーー!!」

「先制点は、秋月!!」

「背中を通して、あんなパス通せるのか!?」




(大和統、こんないい選手が埋もれていたとはな。)

牧に見られているのに気付いた大和は、にこりと微笑んだ。



「しな、ナイスダンクだ。」

「おう。」




「大和君はまずはインサイドを選択したわね。」

「海南は、あの2人を止められるんでしょうか?」

「当たり前や!!陵南を破った海南や、勝ってもらわなきゃあかん!!」




「よし、取り返すぞ。」

牧がボールを運ぶ。


秋月も2-3を敷く。

前列には、170cmの渋谷と西。後列に大和と立川。センターを品川が守る。


(インサイド勝負は難しそうだな。)

牧、清田、牧、神とボールを回す。


3P1m遠め。

神が全国大会初の長距離3Pシュートを放った。

あと50cmの余力を残して。




「遠いーー!!」

「あんなに遠いところから打てるのかーー!!」




(悪くない。)



『シュパ!』



難なく、ネットを揺らす。



「プレッシャーも少ない。楽に打てます。」

「了解だ。」




両校ともに、ファーストオプションで得点を奪う。

それは、相手の弱点をつくオフェンスでもあったが、自分たちをのらせるオフェンスでもあった。

だが、秋月は早い対応で、海南のファーストオプションを防ぎにかかる。



海南 3
秋津 2







続く。

#96 【彦一チェック】

2009-04-15 | #05 海南 選抜編
記者席から観客席に走る彦一。

目指すは、もちろんベスト8を決めた6校の選手に会うため。


「えらいこっちゃ!えらいこっちゃ!」


『ダッダッダッダ・・・・。』

『キュ。』


「ぜぇぜぇ・・・。信じられへん!!やっぱり、そうや!!」



振り返る6校の選手たち。


「ん!?お前は?」

「もっ諸星さんや!
あっ、申し遅れましたが、わいは神奈川県の陵南の彦一とゆうもんです。
今度ともよろしゅうお願いします。」

「神奈川?陵南?」

陵南高校は、全国での知名度は無に等しいので、ピンとくるものなど誰一人いない。

「はい。陵南高校です。来年のIHでは、必ず全国に出場するチームです。」


笑うものもいた。


「海南や湘北に勝てるのか?」

「はい。うちには、天才仙道さんってゆう選手がおるんです。
海南の牧さんと同等、いやそれ以上の方なんです。」


「仙道?」

「牧と同等?」

「そんな選手がいるのか?」

「陵南・・・?」


選手たちがザワつきだしたが、何人かの選手が思い出し、口にした。


「週刊バスケットボールに書いてあったような。」

「それなら、読んだことがある。」

「あいつのいる高校か。」


弥生の記事を読んだ選手の中には、豊玉の岸本のように、
全国にも出れないやつの記事なんてとあざ笑う選手もいた。

牧と同等?ふざけるなという選手もいた。

そんな選手なら1度見てみたいという選手もいた。

だが、結果的には、大した選手じゃないだろう、強い高校じゃないだろうという意見でまとまっていた。

全国という同じ土俵に上がらなければ、自分らと同等とは見てくれない。

彦一が悔しい思いをしている中、ある選手が後ろのほうから、彦一に声をかける。



「彦一君っていったな。仙道って、仙道彰のこと?」


「そっそうです。ご存知なんですか?」


その声の主は、沢北であった。


「彦一君がいっている仙道が、俺の知っている仙道なら、全国に出てもおかしくない。」

「さっ沢北さん!ご存知なんですか?仙道さんのこと?」

「全中で一回試合をしたことがある。もちろん、俺が勝ったけどな。」


「そんなにいい選手なのか?」

と河田が沢北に尋ねる。


「あのまま、順調に成長し、上手くなっていたとしたら、流川以上の選手になっていてもおかしくない。」

選手が再び騒ぎ出す。


「流川ってジュニアの流川か?」

「沢北がいっているんなら、本物だぜ。」

「陵南高校の仙道、一応はチェックか。」

「でも、国体にも出場してなかったぜ。」

「沢北の知っているやつとは違うんじゃないか。」


ザワザワ・・・。


(ちゃうんや!仙道さんはチームのため、国体を辞退したんや!!
選抜出れへんかったのは、わいらがしっかりしとらんせいなんや!!)

彦一は、叫びたい心を必死にこらえていた。



そのとき、沢北が再び彦一に声をかける。



「彦一君、仙道に会ったら、いってくれ。沢北が来年の選抜で会おうっていっていたと。」

「はい!!必ず伝えときます!」


(えらいこっちゃでーー!!仙道さんと沢北さんが知り合いだったとは!!
さすが仙道さんや、やっぱり全国にいかなーいけへん人なんや!!
そのためには、わいらももっともっと頑張らなきゃーあかんのや!!)


目をつぶり、拳を握り締める彦一がはっと我に返る。



「ちゃう!わいはそない話をしにきたんやない!」


『キョロキョロ!』

選手たちを見回す。


「やっぱり、すごいで!すごいで!!全日本ジュニアが揃い踏みや!!」

彦一は、嬉しそうに選手たちの顔を確かめている。

(沢北さんに深津さん、河田さんはごっついなー。美紀男君は、この中でも1番デカい!
諸星さんも徳永さんも新庄さんもおるでーー!
つっ土屋さんには、サインもらっておこ。おない大阪やし、くれるやろ。
延北の真壁さんもデカいな!)


再び、彦一が口を開き、こんな質問をした。

「お聞きしてよろしいですか?みなさんは、次の試合どっちが勝つと思ってはりますか?」


各校の主力選手は、親切に彦一の質問に答えた。

「牧だワン。」

「海南。」

「俺。」

深津、河田、沢北の順に答えた。


「海南や。」

「俺は秋月。」

土屋のあとに、徳永が答えた。


こうして、彦一は準々決勝の組み合わせを記載したノートの隣に、質問の回答の集計、結果を記入した。


「全国には、おもろい人がぎょうさんおるんやなーー。」




-----------------------------------------------------------------------


第1試合

愛和学院 × 浦安工業



第2試合

山王工業 × 延北商業



第3試合

洛安 × 博多商大附属



第4試合

大栄学園 ×







海南--------------- 11票

秋月---------------- 5票

どっちでもいい--------- 3票

ノーコメント------------ 2票

はらたいら------------ 2票

俺------------------ 2票

井森美幸------------- 1票

オグリキャップ--------- 1票

ピーター・アーツ-------- 1票

河田雅史------------- 1票


-----------------------------------------------------------------------



『ビーーー!!』



海南戦開始5分前のブザーがなった。



「のわーー!!こうしちゃおれん!姉ちゃんにどつかれるーー!!」

記者席に戻る彦一。


「結局、あいつは何がしたかったんだ?」

各校の選手は、不思議そうに彦一の背中を見ていた。





いよいよ、海南戦が始まる。








続く。

#95 【ベスト8】

2009-04-14 | #05 海南 選抜編
大会4日目、ベスト8が決定する。




最初に勝ち名乗りを上げた高校は・・・




「よっしゃー、ベスト8だーー!」

「これくらいで喜んでもらったら困るぜ、翼。」

と諸星。

「荻野さん、お疲れ様でした。
PGとしていわせていただくと、荻野さんの攻守を問わない安定感が、チームを支えていると思っています。
あと3試合頑張りましょう!!」

「ありがとな。それにしても、相変わらず織田は褒め上手だな。」

荻野は笑いながら、織田の頭を掴んだ。




続いて・・・。




「3回戦も問題なし!!」

「いつまで沢北はベンチなんだ!!」

「2試合連続の100点ゲーム!!」



「IHのような波乱はなしだワン。」

「敏も美紀男もいいぞ。その調子だ。」

『コク。』

「ごむぇん。おにいちゃん。」

「謝るな!!!」

「ごむぇ・・・。」


「本当に、俺の出番はなさそうだ・・・。」

沢北は、少し寂しそうであった。




『カリカリカリ・・・。』


「大栄は、陵南が目指すチームや。一瞬たりとも見逃したらあかん!全て要チェックやーー!!」

「2試合連続、40点以下に抑えましたね。」

「予想通り、ディフェンスは鉄壁ね。
そして、誰からでも得点の取れるバランスオフェンス。海南は勝てるのかしら。」



「ふー。先に勝たせてもらったでー、牧。必ず勝ち上がって来いよ。」




博多商大附属もあっさりと勝ち上がり、第4試合までは、評価通りの勝ち上がりとなっていた。




だが。




「・・・。」

(ノーマークだったが、強い・・・。何より、勢いがある・・・。)

御子柴は、呆然とスコアボードを眺めていた。


常誠 73
延北 81


下馬評を覆す宮崎の新鋭が強豪常誠を降した。


「公平のスピードに敵うやつなんていないさ。」

「香よりも高く飛べるやつもいるわけない。」

「さぁ、いよいよ山王だ。河田も弟もまとめて俺が片付けてやる!!」


常誠高校キャプテン御子柴武彦が引退。

全国制覇の夢は、大学へと持ち越されることになった。


そして、山王工業と延北商業の対戦が決まった。




「これで、100点目だーーー!!」

『ドガッ!』


「市原さんらしいですね。100点目をダンクで決めるとは。」

「けっ、派手好きなだけよ。だが、華がない!」

「俺みたいに!!」

諸星と今村の声が揃う。

「かぶるな!バカサ!!」

「大さんこそ!!」

「ふー。」

織田は諦めの表情で2人を見ていた。




「出たーー!!小関のミラクルパス!!」

「どうしたら、あんなパスできるんだ!!」

「瀧川のやつ、この試合だけで3本のアリウープを決めてるぜ。」

「林が堀のスコアラーを完璧に抑えている・・・。
あいつのディフェンスは、山王の一之倉並じゃねぇのか!」


ディフェンスの名手SG林が相手のエースをきっちり抑え、
小関が瀧川にアシストするというシンプルなバスケで、京都府代表洛安が全国の常連校福井県代表の堀に圧勝した。

だが、いまだラン&ガンオフェンスは封印している。

一番の不気味さを誇っていた。




3回戦、最後の試合は、海南大附属対東京都代表秋月。


隣で試合をしている洛安を除くベスト8進出チーム6校が、海南の試合を見るために観客席に座った。

全国の常連校が多くを占めていたため、各選手は顔見知りでもあった。

中には、全日本ジュニアでともに汗を流したものたちもいた。



「ひしぶりだワン。」

「元気だったか。」

挨拶を交わす選手たち。


だが、すぐに会話は海南の試合のこととなる。

「大波乱があるとすれば、この組み合わせか。」

「2回戦では、牧も大和もトリプルダブルを記録している。
実力は互角、あとはリーダーシップと精神力。」

「神がいる分、海南が一歩抜けている。」

「いや、品川の成長は脅威だ。高砂がどこまで抑えられるかが鍵になってくる。」




その頃、記者席の彦一は・・・。


「ぬあ!あないなところに!!なんてことやーー!!」

準々決勝に進出する6チームを観客席で見つけ騒いでいた。









続く。

#94 【初陣】

2009-04-13 | #05 海南 選抜編
IHの覇者 名朋工業が出場していないこの選抜において、夏の実績からいえば、海南がNo.1である。

しかも、山王工業を破った湘北を退いての県代表ということもあって、なお一層、注目度は高くなっていた。




「いよいよ、海南のお出ましだ!!」

「今度こそ全国制覇だ、牧!!」

「神、No.1シューターってところを見せてやれーー!!」




「まるでホームみたいだね。」

と宮益がいう。


『キョロキョロ』

「あいつら、誰一人も応援に来てねぇじゃねぇか?練習試合のときは来るっていったのに。」

観客席を見回す清田。


「応援するまでもないってことじゃないかな。」

「神のいうとおりだ。藤真たちなりの信頼の証さ。」

と牧。


『パタ!』

「さぁ。作戦タイムだ。」

扇子を閉じ、高頭が続ける。

「一番厄介なやつは、#7のバラック・オズマ。アメリカからの留学生だ。
上松商業の半分以上の得点をやつ一人で獲得している。リバウンドも強く、ハイレベルのスコアラーだ。
だが、他のプレイヤーは、それについていけてない。つまり・・・。」

「オズマ一人のワンマンチームってことっすね。」

と清田。

「あぁ。オズマが好き勝手やっている、チームプレーとは程遠いチームだ。」

「オズマさえ抑えれば、獲るに足らんチームってことですね。」

「そういうことだ。」

「どうだ、清田いけるか?」

「エース封じの信長とは俺のことですよ。任せておいてください!」

「誰がそんなこといったんだ?」

と高砂。

「今日から、こういわれるってことっすよ。かっかっか。」

I don't knowのジェスチャーをする海南選手の真ん中で高笑いをする清田であった。


「初戦の入り方が一番大切だ。この試合で、勢いに乗るぞ!いいな?」

「おう!!」


「最後に笑うのは、海南だ!」

「おう!!」


「いくぞ!!」

「おう!!」




一方、長野県代表上松商業。


「カイナン?It's unrelated. Leave it to me!」(海南?関係ない。俺に任せておけ!)

「よし、1回戦同様オズマにボールを集めていけ!」

「・・・、はい。」

監督の指示が飛ぶが、選手は浮かない。


(確かに、オズマのおかげでここまでこれたが、俺たちはこんなバスケがしたいんじゃない。)


オフェンスはオズマ1人、ディフェンスは4人という、このスタイルに上松商業の選手は、うんざりしていた。


(だが、やるしかない。)


一応の気合は込めるが、中途半端な気持ちで試合に臨んでも、固い思いで結ばれた海南相手に勝てるわけがなかった。

しかも、頼りのオズマは、清田に完璧といっていいほどに抑えられていた。




「God damn!コンナハズジャナイ!!」(ちくしょう!こんなはずじゃない!!)

「お前がどう攻めてこようが、俺は抜けないぜ。俺を抜けるのは、超一流のPGだけだ!!」


『バシ!』


オズマのドリブルをカットした清田は、そのままワンマン速攻から、上松ゴール前で舞った。


「20点目ーー!!」


『ガッシャーーン!!』


この試合自身20点目となる得点を豪快なワンハンドダンクで飾る。

(仙道や藤真さんに比べれば、足元に及ばねぇよ。お前なんて。)



『シュパ!』


『スポ!』


「宮さん、ナイッシュ。」

「神には負けないよ。」


宮益が3Pでネットを揺らせば、神も上松リングを射抜いた。

2人が沈めた3Pは、実に11本にも及んだ。


高砂は、ダブルダブルを記録、武藤は、5つのオフェンスリバウンド、4つのスティールを奪った。


そして、誰よりも圧巻だったのは、もちろんこの男。




「牧が自分でいったーー!!」

「ペネトレイトだ!!」

「うめー。あんなところにパスを通せるか?普通。」




格下相手ということあったが、牧のプレーは冴えに冴え渡った。

それは、清田の22得点、神の24得点、高砂の12リバウンドも霞むほどであった。




32得点15リバウンド11アシスト。




「すげーー。」

「牧は、高校生のレベルを超えている!!」

「MVP!」


そのプレーに、早くも「MVPは牧」と声が上がるほどだった。




オズマ一人で攻める上松商業に対し、海南はバランスオフェンスを展開し、
出場選手7名全てが2桁得点を叩き出すという最高の形で初陣を飾った。




「GOOD JOB!!」

なんとなく、英語でいいたくなった高頭であった。




「アンビリーバブルやーー!ミラクルやーー!!」

「県大会のときよりも数段レベルがUPしている・・・。この1ヶ月間に何があったんだ・・・。」

「牧君だけじゃない、神君や宮益君の3Pの確率も、清田君のディフェンス力も、インサイドの粘り強さも、
高砂君も武藤君も小菅君もみんながみんながレベルアップしているわ・・・。
この短期間に・・・、想像を超えているわ・・・。」

弥生らは、神奈川3年生混成チームと練習試合をしたことなど知らない。



あの練習試合のあと、各々長所を伸ばし、短所を克服する練習を積んだ。

自分を見つめなおし、ただ純粋に、ただひたむきに、練習に取組んだ。

その結果が、今日の海南の姿であった。



『常勝 海南』



いつもより観客席の旗が大きく見えていた。




「神奈川のサウスウェーブが上松商業を呑み込んだでーー!!」

彦一のこの言葉、後日、選抜優勝大会を特集した弥生の記事にこっそり使われていた。

(サウスウェーブ・・・、なかなかええネーミングやないか。彦一。)



上松 53
海南 142






続く。

#93 【順調なシード校】

2009-04-11 | #05 海南 選抜編
大会3日目、各シード校がコートに姿を現し、順調に勝ち上がる。



「山王、強すぎる!!」

「沢北、温存でもこの強さ!!」

「間違いなく、優勝候補筆頭だ!!」



後半から、深津、河田、野辺、松本ら3年生を温存させた山王工業であったが、
圧倒的な力の差を見せつけ、石川県代表星川実業を粉砕する。

なお、沢北の出場はなく、チーム得点王は1年生の柳葉、リバウンド王は同じく1年生の河田弟となっていた。



「格下とはいえ、この圧倒的な強さは、本物だわ。」

「主力も温存してますから、まだまだ余裕な感じですね。」

「アンビリーバブルやーー!!柳葉君は、流川君のライバルとなる人やーー!!」

彦一のマル秘ノートは、すでに3冊目となっていた。

興奮のあまり折ったシャーペンも3本となっていた。



山王のその圧倒的なチーム力を目の当たりにし、多くの選手が、諦めにも似た表情を見せていた。

だが、この男たちは違う。


「このくらいの強さを見せてくれないと、倒しがいがないですよね、牧さん?」

「そうだな。」

(神の穏やかな心にも火がついたというわけか。)

牧が少し笑う。

「山王の3連覇を阻止して、この清田信長が、今年から3連覇だぜ!!」

清田に一層の気合が入る。



「まずは、上出来だ。」

と堂本が選手に一声かけた。



山王工業 128
星川実業 43




隣のコートでは、博多商大附属の試合が行われていた。


「ビッグ3が凄すぎる!!」

「あの3人、山王の三銃士より凄いんじゃないか!!」

「博多の決勝進出間違いなし!!」



『ピクッ!』

「決勝はうちだぜ!わかってねぇなー。」

と観客の声に反応した諸星が観客席でつぶやく。


『ピクッ!』

更に、その諸星の声に反応する男が一人。

「お前は、ベスト4にも残れないぜ!」


「その声は!!」

諸星が、視線を横にずらすと、そこには千葉の朝日こと、浦安工業の市原朝日が立っていた。


「よっ!諸星。」

「朝日!」

「お前は、準々決勝でこの朝日に負けるのよぉ!」

「けっ、IHでは負けたくせに。二度と朝日が昇らないようにしてくれるよ。」

「2点差で勝ったと思うなよ。お前こそ、流れ星となって、散りやがれ!」

「なにをーー!」

「なんだよーー!!」


「兄貴も諸星さんも、みっともないから、やめてくださいって。」

と市原の弟、1年生の夕が2人の間に割ってはいる。

「勝負はバスケでつけましょうよ。」

と織田もいう。

「それもそうだな。」

「明後日、勝負だ。」

と納得の表情を見せる諸星と朝日。


「織田さん、試合楽しみにしています。」

市原夕が声をかけた。

「ん!?君は確か・・・。」

「はい。市原の弟夕です。控えのPGやらさせてもらっています。」

「そうか。こちらこそ。宜しく。」

握手を交わす織田と夕。



そして・・・。

『ブーーーー!!』

博多商大附属の試合終了を告げるブザーが聞こえた。


博多のビッグ3と呼ばれる、シューターSG牧瀬篤弘、
パワースコアラーSF徳永保、スピードPF新庄雄銀の3人が試合を支配。

牧瀬は、8本の3Pを含む31得点、キャプテン徳永は、26得点、10リバウンドのダブルダブルを記録、
新庄にいたっては、29得点、15リバウンド、7ブロックの驚異的な数字を残した。

博多の9割以上の得点を奪ったこの3人の活躍により、茨城県代表樫村第一に圧勝した。



「うちなら、100点ゲームだ。」

「この朝日なら、樫村相手ならば、軽く50点は獲っていたぜ。」

「俺は、60点だ!」

「俺は、70点だ!」

「2人はほっておきましょう。」

と織田。

「そうしましょう。」

と夕。

「類は友を呼ぶってこういうことっすね。」

と今村が締めた。



博多 93
樫村 51




各シード校が、順調な勝ち上がりをみせ、観客もヒートアップする。



「愛和の諸星が、45得点だってよ。」

「いやいや、浦安の市原も負けてない。43点獲ったらしいぜ。」

「大栄が、北大清水を36点に抑えたらしい。」

「秋月の大和が凄い。今全国大会初のトリプルダブルだってよ。」

「常誠も御子柴を中心にまとまったいいチームにしあがっている。」

「洛安が阿蘇南相手に、140点ゲームだとよ。」




どの校も3年生が主力となり、チームを引っ張っていた。

さすが、黄金世代といわれる世代だ。

誰もがそう思う大会となっていた。




そして、いよいよ。




神奈川県代表 海南大附属高校がコートに姿を現す。








続く。

#92 【全国開幕】

2009-04-10 | #05 海南 選抜編
第38回全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会

12月下旬の1週間ほどで行われる全国大会であり、高校バスケ3冠最後の大会である。




--全国大会会場 東京体育館--


開会式



各都道府県の代表校が会場に集まっている。


山王工業の深津や河田

愛知の星 諸星

オールラウンダー 土屋

九州の雄 博多商大の徳永と新庄

そして、

最強PG 牧

など


高校3年生の最後の大会とあって、その勇姿を一目見ようと開会式から観客席も埋まり、
例年以上の盛り上がりを見せていた。




関係者席には、大学関係者などの姿もあった。


(牧君、君は必ずうちに来る。信じているぞ。)

牧を見つめている30代中ごろの男の名前は、西野新太郎。

現在 関東一部リーグ第4位の強豪大学 白金学院大学の監督である。

IHベスト8の大栄・土屋、同じくベスト4の愛和のサブキャプテン・荻野を獲得し、
牧にも触手を伸ばしている張本人である。




記者席には、あの2人とあの男。

「こんな間近で、全国の選手を見れるとは、アンビリーバブルやーー!!」

「本当だよ。嬉しいねー、彦一君。」


『バシ!』

『バコ!』


「2人とも騒ぐな!」

「姉ちゃん、そないすぐに叩かんでもいいやろー。」

「そうですよ・・・。」

「彦一!あんたは、編集長のご好意があって、座らせてもらっているんやからね!
ちゃんとレポート書いて、社に貢献するのよ!」

「わかってるって。」

「僕も彦一君に負けないよう頑張らなければ!」

「はぁーー。中村君は、一応プロなんだから、彦一なんかと競ってどうすんのよ。」

(先が思いやられるわ・・・。)

深いため息をつく、弥生であった。




優勝カップを返還するのは、選抜2連覇中の山王工業のキャプテン深津。

選手宣誓の大役を終え、秋田県代表山王工業の列の先頭に戻る。


「さすがに、ニャンはいわなかったな。」

と笑う河田。

「ニャンは、卒業だワン。」

「猫の次は、犬かよ。」

と小声で沢北。

「なんかいったかワン。」

「いっいえ、何も。」

(聴力まで犬並かよ・・・。)



開会式も終え、解散する各校の選手たち。

やはり、話題の中心は、あの男。




「沢北がいるぞ!」

「予選は、姿さえ見せなかったのに・・・。」

「やっぱ、全国大会から出場するって話は本当だったらしいな。」


(沢北・・・。)

(さわきた。)

(けっ、いやがるぜ。)


強豪校の選手も同様に、沢北に視線を向ける。




「みんなが、お前を見ているぞ。」

「関係ないっすよ。」

「なんか、気に入らないワン。」

「自分のこと、アイドルにでもなったかと思ってんだろ。」

「そっそんなことないっすよ。」

(まぁ、エースたる証明とは思っていますけど。)

とにやける沢北。

「ん!?なんかいったか、沢北?」

「えっ!?なっ何もいってないっすよ。」

「なんかいいたいって顔に書いてあるワン。」

「うっうそ!?」

「さーわーきーたー。」


『ガシガシ!』


「うぐ・・・。」

河田に関節技をきめられる沢北であった。


「ヘルプーーー!!」




深津が牧を見つけ、声をかける。

「牧。」

「深津。」

静かに見合う2人。


「神奈川代表は、てっきり湘北かと思ったぜ。」

と河田。

「なにをーー!!」

河田の前に歩み寄る清田。

「威勢がいいな。赤木と、そして桜木ともう一度勝負したかったんだけどな。」

にやける河田。

「山王が負けた湘北は準決勝で負けたんだ。
海南のほうが、山王より強い!この大会で証明してやるよ!!」

清田が声を荒げる。


「赤木も桜木もいなかったんだろ、県予選は?」

沢北が横から、牧に尋ねた。

「あぁ。」

「それじゃ、真の神奈川王者とはいえないな。清田君。俺は、あいつとやりたかった。」

清田の顔を見る沢北。

「流川か・・・。くそっ。」

と清田は拳を握った。

「ぜってー、ぶっ倒す!!」



「大栄は強いワン。」

「わかっている。」

(今度は、ワンか。おかしなやつだぜ・・・。)

深津と牧は、静かに話をしていた。




5分後・・・

体育館ロビー。



山王工業と愛和学院の選手がすれ違った。

「黒星。」

「いや、白星だワン。」

「諸星だ!何度いわせやがるんだ。」

と諸星が笑った。


「よく名朋を倒してきたな。」

「当たり前だ。俺の敵は、森重じゃねぇ。お前と深津と、そして沢北だ。」

(正直、自信はねぇけど・・・。)

「国体のリベンジはさせてもらうぜ。決勝で待ってるぞ。」

「牧の応援じゃないのかワン。」

「今度はワンか、ポン吉。」

と笑う諸星。

「うるさいポン。」

「誰が相手だろうといいんだ。俺たちが優勝すれば。優勝したやつが、1番だからな。」


「その通りっす。」

沢北と今村の声が揃った。




その頃・・・。

大きく張り出されたトーナメント表の前では、博多商大と大栄学園の選手が顔を合わせていた。


「おひさしゅうやな。徳永。」

「元気しているようだな、土屋は。」

「おう。相変わらず、九州には敵なしのようやな。」

「あぁ。だが、俺たちには未だ全国優勝がない。最後のチャンス、死に物狂いで優勝を奪いにいく。」

「それは、わいらも同じや。国体の借りを返させてもらうで。」

「おう。決勝で会おうぜ。」




それから、10分後・・・。

体育館では、オープニングゲームが行われていた。








続く。

#91 【再会、そして・・・】

2009-04-09 | #05 海南 選抜編
全国大会前日、宿泊先のホテルにチェックインするため海南メンバーはロビーにいた。



「高校から1時間ちょっとなので、何も宿泊でなくていいんじゃないですかね?」

「試合に集中できるようにと、学校からの配慮だ。」

扇子を仰ぎながら、高頭が答えた。

「さすが、うちの学校だぜ!」

清田の声はでかい。

「手ぶらでは帰れないぞ。」

「わかってますよ、牧さん。目標は優勝のみ!」



そのとき・・・。



「牧!」

海南メンバーの後ろから、牧を呼ぶ声が聞こえた。


「ん!?」

振り返る牧。


牧よりも先に、清田が声をあげる。



「愛知の星!!」



海南メンバー全員が振り返ると、右手を軽く上げた3人の男が立っていた。



一人は、愛知の星こと諸星大。

「よっ。牧、お前と同じホテルとはな。俺らは、昨日チェックインさせてもらったよ。」


もう一人は、愛知の翼こと今村翼。

「神。元気そうだな。肌つやがいい。」

笑う今村。

「翼も元気そうだな。口が滑らかだ。」

つられて神も笑う。


そして、最後の一人は、愛知の虎こと織田虎丸であった。

「高頭監督。お久しぶりです。」

ぺこりと頭を下げる。

「愛和は、調子がいいと聞いているぞ。」



牧が口を開く。

「全国大会出場おめでとう。」

「けっ、当然よぉ!」

「名朋にはてこずったんじゃないか?」

「同じチームに2回も負けてられるか。しっかり対策さえ練っておけば、名朋なんてどうってことないぜ。」

「IH覇者相手にでかく出たな。」

笑う牧。


「お前らも、激戦区神奈川でよく勝ちあがってこれたな。」

諸星も笑う。

「当然よ!」

誰もよりも早く清田が答えた。

「清田か。流川には、勝てたのか?」

「当然よ!」


清田は、大きな声で答えたが、牧は微笑みながら、清田の視界に入らないところで首を横に振っていた。

「はははぁ。そうか、そうか。んじゃ、お前が神奈川のNo.1一年生を証明したってことだな。」

「そうだ!そして、俺が土屋も沢北もあんたも全員倒してやるぜ!」

「おう、楽しみだ。だが、決勝まで来れたらの話だぞ。」

「もちろん、大栄にも山王にも負ける気がしねぇ!そっちこそ、勝ち上がって来いよ!」

「あぁ。」



終始笑顔がこぼれていた諸星の後ろから・・・。



「それは聞き捨てならへんで。」



「んっ!?」



「そうそう忘れてた。あいつも同じホテルだ。」

諸星が右手の親指を後ろへ振った。


「ふっ、賑やかな宿泊先になりそうだな。」

と牧。



「つっ土屋っ!!」

清田が声があげる。



「牧、ひさしゅうやな。」

「あぁ。同じホテルになるとはな。」

「いよいよ、今回は初対決となりそうや。」

「お互い順調にいけばな。」


一呼吸おいた後、土屋が牧に向かって話す。

「西野監督から聞いとるで。」

「俺もだ。」

そこにいた高頭以外のものは、2人が何をいっているのかわからないでいた。


「最初で最後の戦いになるっちゅうわけやな。」

「ふっ、まだそうと決まったわけじゃない。」

「そやな。せやけど、大栄は必ず海南と戦い、そして、わいはあんたとチームメイトになる。
一緒に、深体大を倒すんや!」



「!!!!」



神も清田も、武藤も高砂も、海南メンバー全員が驚いた。

牧は深沢体育大学に進学するものと思っていたからだ。



そして、この男は誰よりも驚いていた。

(牧は、深沢じゃない!西野監督ってどこの大学だ?しかも、土屋と同じ大学?)


諸星が混乱していたところ、

「土屋さんは、白金学院に決定ですか。」

愛和の織田が、さらっといった。



「!!!!」



再び、全員が驚く。

(虎は、なんで西野ってやつが白金の監督ってこと知っているんだ??)

更に、諸星は混乱。



「そうや。」

「牧さんもですか?」

「・・・。」

少しの沈黙の後、牧が重い口を開いた。


「まだ、決めていないが、その可能性もある。」



ホテルにロビーが、ざわざわと騒ぎ出す。


「牧と土屋が同じチームだってよ。」

「大栄の土屋は、白金学院決定らしいぞ。」

「土屋さんが、海南の牧と同じ大学やて?」

「牧は、深沢じゃないみたいだぞ。」

「あれ!?荻野さんも白金じゃなかったっけ?」



空気の読めない今村がいきなりいう。

「うちの荻野さんも白金ですよ。」


「そういうことだ。土屋、よろしくな。」

「そうか。こちらこそ、よろしゅう。」

握手を交わす土屋と荻野。


更に・・・。


「そして、大さんは、慶徳に決まってるんすよねぇ、大さん?」

「まっまぁな。」

(ここでいうかよ。バカサ!空気読め!)

と苦笑いの諸星。



「諸星は、慶徳だってよ。」

「愛知の星は、慶徳。」

「土屋と荻野が白金、諸星が慶徳らしい。」

「どっちも関東一部だぜ。」



また、ロビーが騒ぎ始めた。



(!!!)

牧が驚くと同時ににやけた。


「牧、何がおかしい?」

諸星が尋ねる。


「いや、諸星は慶徳か。強くなるぜ、慶徳は。」

「おっおう、当たり前だ。」

思ってもいない答えが返ってきたので、諸星は少し戸惑った。



(慶徳義塾・・・、SG諸星・・・、そして、PGは必ずあの男になる・・・、このバックコートは強くなるな。)

と牧。


「慶徳は、他には決まっているのか?」

「んー、聞いたところだと、あとは山王の野辺くらいかな。」

「そうか。野辺もリバウンドにおいては、超一級だな。
だが、もう一人、超大物が慶徳に入るぞ。」

「んー、誰かいたかな・・・??」

「俺が保証する。楽しみにしてろよ。」

納得のいかない表情の諸星の一方で、牧の気持ちは晴れていた。



(あいつなら必ず一般組から、入部するはず!慶徳義塾大学、楽しみな大学となったな。)



この日、海南、愛和、大栄が宿泊したホテルでは、3年生の進学について、どの校も異様な盛り上がりを見せていた。




「バカサ!ばらすな!!」

「いいじゃいっすか?減るもんじゃないし。」

「ヒーローは、遅れて登場するからかっこいいんだよ!」

「なんすか、それ??」




「結局、牧はどこいくんやろか?牧のゆうてた慶徳のやつも気になるな・・・。」




「土屋も諸星も、俺が絶対ぶっ倒す!そして・・・、俺も大学生・・・。むにゃ。」


『ビクッ!』


「うるさい!清田!!」

「むにゃむにゃ・・・。」

「寝言かよ。ったく、寝てまで、騒がしいやつだ。」

と相部屋の2年生。





その頃、別室の牧は、星空を見ながら、思い出していた。

(深津と河田、

土屋と荻野、

そして、諸星と野辺、・・・・・・と藤真。

・・・

・・・

・・・

・・・

決めたぜ。

俺はこの大学で全国制覇を目指す!)




それぞれの想いを胸に、全国大会当日を迎えた。








続く。

#90 【トーナメント表】

2009-04-07 | #05 海南 選抜編
藤真たちとの練習試合の翌日・・・。


--海南大附属高校 体育館--

高頭は、第38回全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会トーナメント表と書かれたコピー用紙を持っていた。

海南では、対戦相手は監督からの報告を待つのが伝統となっている。


「今から配布する。」


また、配布物は全て背番号順、そして、2軍、3軍へと配布されるのも海南の伝統の一つであった。


「牧。」

高頭の手から一枚一枚手渡される。

「うむ。悪くないな。」


「高砂。」

「まずは、秋月の品川か・・・。」


「神。」

「初戦は、湖谷南と上松商業の勝者とですね。」


「真田。」

「準決勝で、山王と対戦か。」


「小菅。」

「その前に、大栄とやることになりそうです。」


「武藤。」

「愛和と博多は逆ブロック。」


「清田。」

「山王さえ倒せばってところっすね。」







「宮益。」

「はい。」

メガネを掛け直した。



「よし、手元にトーナメント表は渡ったか?これが、選抜のトーナメント表になる。
うちは、鳥取の湖谷南と長野の上松商業の勝者と25日にやることになった。
初戦の入り方がトーナメントを勝ち抜いていくことで、どれだけ重要なことか、わかっていると思うが、
油断は大敵だ。」

「はい!」


「実績からすると、2回戦の相手は上松商業になりそうですね。」

と神。


「いい勝負だと思うが、十中八九、上松だと思っている。」

と扇子を仰ぐ高頭が続ける。

「3回戦は、おそらくホームの利で、勢いに乗ってくる東京の秋月になるであろうな。
秋月に勝てば、ベスト8となり、ここからが本当の勝負といっていい。」


「順当にいけば、準々決勝では土屋のいる大栄学園とあたることになる。」

と牧。


「やりづらい戦いになりそうだ。」

「ディフェンスをどう崩すかが勝利の鍵だな。」

と武藤は高砂の顔を見る。


「大栄の土屋か・・・。俺が、とめてやる!」

清田の気合が入る。


(土屋淳・・・、一度しっかりとプレーをみておきたいな・・・。)

と牧が思った。


「そして、今大会の1番の山場が、準決勝であたるであろう山王工業戦だ。」

高頭は扇子を仰ぐのをやめた。

「去年のリベンジですね。」

「あぁ。だが、メンバーは、昨年よりも強い。」

と神の言葉に、静かに返す高砂。

「でも、赤毛猿たちでも勝ったんだから、うちだって勝てますって、ねぇ、牧さん。」

「清田のいうとおりだ。初めから、臆していたら、それこそ山王の思う壺だ。
海南が優勝する!その気持ちを強く持つことが大切だ。」

「はい!!」


(諸星とは、決勝か。もう一度、あいつともやりたいんだけどな。)

牧が静かに思った。




愛知では・・・。

トーナメント表を手に取り、諸星、織田、今村が話をしている。


「悪かねぇな。」

と第一声は諸星。

「はい。余裕っす。」

と今村は軽い。

「準々決勝の相手は、浦安工業になりそうですね。」

と真剣な織田。


「浦安の市原か。それより、牧は山王と同じ反対のブロックか。正直、厳しいよな。」

「IHのリベンジは、大学までお預けってことですかね?」

「そういうことになりそうだ。ただ、牧がどの大学に行くのか、情報が入ってこねぇんだよ。」

「大さんと一緒で慶徳だったりして。」

「あいつと一緒にやるのも悪かねぇ。牧は、お前よりも数段上のPGだからよ。」

「今はそうですけど、選抜が終われば、その評価も変わりますよ。」

と笑う織田。

「いうよねー。」

と軽く笑う今村。

「まぁ、少しも期待していねぇけどな。」

と諸星も笑った。




秋田では・・・。

「神奈川は、やはり海南のようだな。」

「海南と同じブロックか。IHでも、国体でも牧と対戦できなかったから、
いよいよNo.1PGを決める頂上決戦となりそうだな、なっ、深津?」

河田が深津に目を向ける。

「牧なんて関係ないニャン。もともと俺がNo.1ニャン。」




その頃、海南体育館・・・。


『ピクッ!』


「ニャン?なんか、後ろから猫の鳴き声が聞こえたような・・・。」

なんとなく、後ろを振り向く牧。

(猫に怨まれるようなことはしていないぞ・・・。)

何かを感じた牧であった。




「決勝は、おそらく愛和だろうな。」

「毎回全国で会うんだが、対戦がないんだよな。あいつとは・・・。」

「縁がないニャン。」


(河田さんと女関係みたいだな。)

とにやける沢北。


「ん!?なんかいったか、沢北?」

「えっ!?なっ何もいってないっすよ。」

「なんかいいたいって顔に書いてあるニャン。」

「うっうそ!?」

「さーわーきーたー。」


『ガシガシ!』


「うぐ・・・。」

河田に関節技をきめられる沢北であった。


(この2人は超能力でももっているのか・・・。)




大阪の土屋。

「海南か。初対決やな。」

(牧の実力、確かめさせてもらうで。)




「山王工業・・・。」

常誠の御子柴の声は少し落ちていた。




千葉の浦安工業。

「おっ!愛和と同じブロックだ!IHの借りは、利子をつけて、返してやるぜ!持ってろよ、諸星!!」

千葉の朝日こと市原朝日が叫ぶ。




そして、各校、各選手が様々な思いを胸に秘め、大会前日を迎えた。








続く。