藤真たちとの練習試合の翌日・・・。
--海南大附属高校 体育館--
高頭は、第38回全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会トーナメント表と書かれたコピー用紙を持っていた。
海南では、対戦相手は監督からの報告を待つのが伝統となっている。
「今から配布する。」
また、配布物は全て背番号順、そして、2軍、3軍へと配布されるのも海南の伝統の一つであった。
「牧。」
高頭の手から一枚一枚手渡される。
「うむ。悪くないな。」
「高砂。」
「まずは、秋月の品川か・・・。」
「神。」
「初戦は、湖谷南と上松商業の勝者とですね。」
「真田。」
「準決勝で、山王と対戦か。」
「小菅。」
「その前に、大栄とやることになりそうです。」
「武藤。」
「愛和と博多は逆ブロック。」
「清田。」
「山王さえ倒せばってところっすね。」
・
・
・
「宮益。」
「はい。」
メガネを掛け直した。
「よし、手元にトーナメント表は渡ったか?これが、選抜のトーナメント表になる。
うちは、鳥取の湖谷南と長野の上松商業の勝者と25日にやることになった。
初戦の入り方がトーナメントを勝ち抜いていくことで、どれだけ重要なことか、わかっていると思うが、
油断は大敵だ。」
「はい!」
「実績からすると、2回戦の相手は上松商業になりそうですね。」
と神。
「いい勝負だと思うが、十中八九、上松だと思っている。」
と扇子を仰ぐ高頭が続ける。
「3回戦は、おそらくホームの利で、勢いに乗ってくる東京の秋月になるであろうな。
秋月に勝てば、ベスト8となり、ここからが本当の勝負といっていい。」
「順当にいけば、準々決勝では土屋のいる大栄学園とあたることになる。」
と牧。
「やりづらい戦いになりそうだ。」
「ディフェンスをどう崩すかが勝利の鍵だな。」
と武藤は高砂の顔を見る。
「大栄の土屋か・・・。俺が、とめてやる!」
清田の気合が入る。
(土屋淳・・・、一度しっかりとプレーをみておきたいな・・・。)
と牧が思った。
「そして、今大会の1番の山場が、準決勝であたるであろう山王工業戦だ。」
高頭は扇子を仰ぐのをやめた。
「去年のリベンジですね。」
「あぁ。だが、メンバーは、昨年よりも強い。」
と神の言葉に、静かに返す高砂。
「でも、赤毛猿たちでも勝ったんだから、うちだって勝てますって、ねぇ、牧さん。」
「清田のいうとおりだ。初めから、臆していたら、それこそ山王の思う壺だ。
海南が優勝する!その気持ちを強く持つことが大切だ。」
「はい!!」
(諸星とは、決勝か。もう一度、あいつともやりたいんだけどな。)
牧が静かに思った。
愛知では・・・。
トーナメント表を手に取り、諸星、織田、今村が話をしている。
「悪かねぇな。」
と第一声は諸星。
「はい。余裕っす。」
と今村は軽い。
「準々決勝の相手は、浦安工業になりそうですね。」
と真剣な織田。
「浦安の市原か。それより、牧は山王と同じ反対のブロックか。正直、厳しいよな。」
「IHのリベンジは、大学までお預けってことですかね?」
「そういうことになりそうだ。ただ、牧がどの大学に行くのか、情報が入ってこねぇんだよ。」
「大さんと一緒で慶徳だったりして。」
「あいつと一緒にやるのも悪かねぇ。牧は、お前よりも数段上のPGだからよ。」
「今はそうですけど、選抜が終われば、その評価も変わりますよ。」
と笑う織田。
「いうよねー。」
と軽く笑う今村。
「まぁ、少しも期待していねぇけどな。」
と諸星も笑った。
秋田では・・・。
「神奈川は、やはり海南のようだな。」
「海南と同じブロックか。IHでも、国体でも牧と対戦できなかったから、
いよいよNo.1PGを決める頂上決戦となりそうだな、なっ、深津?」
河田が深津に目を向ける。
「牧なんて関係ないニャン。もともと俺がNo.1ニャン。」
その頃、海南体育館・・・。
『ピクッ!』
「ニャン?なんか、後ろから猫の鳴き声が聞こえたような・・・。」
なんとなく、後ろを振り向く牧。
(猫に怨まれるようなことはしていないぞ・・・。)
何かを感じた牧であった。
「決勝は、おそらく愛和だろうな。」
「毎回全国で会うんだが、対戦がないんだよな。あいつとは・・・。」
「縁がないニャン。」
(河田さんと女関係みたいだな。)
とにやける沢北。
「ん!?なんかいったか、沢北?」
「えっ!?なっ何もいってないっすよ。」
「なんかいいたいって顔に書いてあるニャン。」
「うっうそ!?」
「さーわーきーたー。」
『ガシガシ!』
「うぐ・・・。」
河田に関節技をきめられる沢北であった。
(この2人は超能力でももっているのか・・・。)
大阪の土屋。
「海南か。初対決やな。」
(牧の実力、確かめさせてもらうで。)
「山王工業・・・。」
常誠の御子柴の声は少し落ちていた。
千葉の浦安工業。
「おっ!愛和と同じブロックだ!IHの借りは、利子をつけて、返してやるぜ!持ってろよ、諸星!!」
千葉の朝日こと市原朝日が叫ぶ。
そして、各校、各選手が様々な思いを胸に秘め、大会前日を迎えた。
続く。
--海南大附属高校 体育館--
高頭は、第38回全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会トーナメント表と書かれたコピー用紙を持っていた。
海南では、対戦相手は監督からの報告を待つのが伝統となっている。
「今から配布する。」
また、配布物は全て背番号順、そして、2軍、3軍へと配布されるのも海南の伝統の一つであった。
「牧。」
高頭の手から一枚一枚手渡される。
「うむ。悪くないな。」
「高砂。」
「まずは、秋月の品川か・・・。」
「神。」
「初戦は、湖谷南と上松商業の勝者とですね。」
「真田。」
「準決勝で、山王と対戦か。」
「小菅。」
「その前に、大栄とやることになりそうです。」
「武藤。」
「愛和と博多は逆ブロック。」
「清田。」
「山王さえ倒せばってところっすね。」
・
・
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「宮益。」
「はい。」
メガネを掛け直した。
「よし、手元にトーナメント表は渡ったか?これが、選抜のトーナメント表になる。
うちは、鳥取の湖谷南と長野の上松商業の勝者と25日にやることになった。
初戦の入り方がトーナメントを勝ち抜いていくことで、どれだけ重要なことか、わかっていると思うが、
油断は大敵だ。」
「はい!」
「実績からすると、2回戦の相手は上松商業になりそうですね。」
と神。
「いい勝負だと思うが、十中八九、上松だと思っている。」
と扇子を仰ぐ高頭が続ける。
「3回戦は、おそらくホームの利で、勢いに乗ってくる東京の秋月になるであろうな。
秋月に勝てば、ベスト8となり、ここからが本当の勝負といっていい。」
「順当にいけば、準々決勝では土屋のいる大栄学園とあたることになる。」
と牧。
「やりづらい戦いになりそうだ。」
「ディフェンスをどう崩すかが勝利の鍵だな。」
と武藤は高砂の顔を見る。
「大栄の土屋か・・・。俺が、とめてやる!」
清田の気合が入る。
(土屋淳・・・、一度しっかりとプレーをみておきたいな・・・。)
と牧が思った。
「そして、今大会の1番の山場が、準決勝であたるであろう山王工業戦だ。」
高頭は扇子を仰ぐのをやめた。
「去年のリベンジですね。」
「あぁ。だが、メンバーは、昨年よりも強い。」
と神の言葉に、静かに返す高砂。
「でも、赤毛猿たちでも勝ったんだから、うちだって勝てますって、ねぇ、牧さん。」
「清田のいうとおりだ。初めから、臆していたら、それこそ山王の思う壺だ。
海南が優勝する!その気持ちを強く持つことが大切だ。」
「はい!!」
(諸星とは、決勝か。もう一度、あいつともやりたいんだけどな。)
牧が静かに思った。
愛知では・・・。
トーナメント表を手に取り、諸星、織田、今村が話をしている。
「悪かねぇな。」
と第一声は諸星。
「はい。余裕っす。」
と今村は軽い。
「準々決勝の相手は、浦安工業になりそうですね。」
と真剣な織田。
「浦安の市原か。それより、牧は山王と同じ反対のブロックか。正直、厳しいよな。」
「IHのリベンジは、大学までお預けってことですかね?」
「そういうことになりそうだ。ただ、牧がどの大学に行くのか、情報が入ってこねぇんだよ。」
「大さんと一緒で慶徳だったりして。」
「あいつと一緒にやるのも悪かねぇ。牧は、お前よりも数段上のPGだからよ。」
「今はそうですけど、選抜が終われば、その評価も変わりますよ。」
と笑う織田。
「いうよねー。」
と軽く笑う今村。
「まぁ、少しも期待していねぇけどな。」
と諸星も笑った。
秋田では・・・。
「神奈川は、やはり海南のようだな。」
「海南と同じブロックか。IHでも、国体でも牧と対戦できなかったから、
いよいよNo.1PGを決める頂上決戦となりそうだな、なっ、深津?」
河田が深津に目を向ける。
「牧なんて関係ないニャン。もともと俺がNo.1ニャン。」
その頃、海南体育館・・・。
『ピクッ!』
「ニャン?なんか、後ろから猫の鳴き声が聞こえたような・・・。」
なんとなく、後ろを振り向く牧。
(猫に怨まれるようなことはしていないぞ・・・。)
何かを感じた牧であった。
「決勝は、おそらく愛和だろうな。」
「毎回全国で会うんだが、対戦がないんだよな。あいつとは・・・。」
「縁がないニャン。」
(河田さんと女関係みたいだな。)
とにやける沢北。
「ん!?なんかいったか、沢北?」
「えっ!?なっ何もいってないっすよ。」
「なんかいいたいって顔に書いてあるニャン。」
「うっうそ!?」
「さーわーきーたー。」
『ガシガシ!』
「うぐ・・・。」
河田に関節技をきめられる沢北であった。
(この2人は超能力でももっているのか・・・。)
大阪の土屋。
「海南か。初対決やな。」
(牧の実力、確かめさせてもらうで。)
「山王工業・・・。」
常誠の御子柴の声は少し落ちていた。
千葉の浦安工業。
「おっ!愛和と同じブロックだ!IHの借りは、利子をつけて、返してやるぜ!持ってろよ、諸星!!」
千葉の朝日こと市原朝日が叫ぶ。
そして、各校、各選手が様々な思いを胸に秘め、大会前日を迎えた。
続く。