1⃣ ひな祭り会場は「壽丸屋敷」
宮城県の仙台より南部の各地でも、「ひなの郷 せんなん」の名を冠して「ひな人形展」が始まりました。パンフレットによると12会場もあります。
昨日2月25日(金)は2つの会場を訪ねましたので、その中の有名な壽丸屋敷(すまるやしき)会場の見学記を書きながら「ひな祭り」を考えてみたいと思います。
先ず【壽丸屋敷】の基本データです。
■運営 | 白石まちづくり株式会社 Shiroishi Town Management Organization |
■所在地 |
〒989-0273 宮城県白石市中町48-5 東北本線 JR 白石駅から徒歩約5分(駅前通り) |
■電話 | 0224-25-6054 |
■設立日 | 2003年2月27日 |
《 壽丸屋敷とは 》
明治初期創業の元豪商の遺産。建物は商家づくりで、母屋や店舗・藏 および日本庭園で構成されています。現在は文化財として指定され、民間会社が白石市の文化振興事業発展のために、その各種文化事業や情報発信に当たっています。
現在の屋敷入口 (左)と、旧壽丸屋敷の店舗の一部 (右)
さて、本題の「ひな人形展」をもとに「ひな飾り」の話をはじめます。
ひな人形展はずいぶん前から各地で見てはきたのですが、いつも会場に来てしまってから頭の中をモヤモヤ や ??? が 駆け巡るのです。
そしてひな人形さんにカメラを向け、大量にシャッターを切る割合には、どこか満足感に欠ける思いなのです。
最近、それは「ひな祭り」や「人形」についての知識欠如にありそうだと、思うようになりました。例えばひな壇が三段飾り…五段…七段と増えるほど豪華で立派だな、と思う程度なのですから。今回は「よ~し、率直に係りの方に聞いてみよう」と決めました。
中でも「ひな人形さん」をどうお呼びし、どう数えてお飾りをするのか。と鑑賞の "いろは" に絞ってまとめてみました。
このモヤモヤは案外、わたしだけではないような気がします。係りの方のお話に加えて、帰宅後に確認したことを含めて述べてみます。
2⃣ テーマは「県内最大のおひなさま展」
■ 壮観なおひな様セット、七組の七段飾り
■ 係りの方とわたしの会話
わたし:「噂のおひな様 !! これは圧巻だ。何体ありますかね?」
係り:「エ~と。105ですょ。」
わたし:「エッ! もっとあるんじゃないですか? すごい数ですょ」
係り:「15掛ける 7 ですからね~ ……… ? 」
わたし:「? なんですか、それは。エ~。そう。確かに105ですが 」
係り:「1組は15体なんですね。それが7セット飾ってあるんですョ 」
「人型お人形だけを数えますから、7段飾りでは105体なんです 」
以上は、おひな様をお持ちの方は、当然ご承知のことです。
3⃣ ひな壇のおひな様の正しい呼び方
■ 標準的な飾り方(七段の場合)とお人形の正しい呼び方
* ここでは六、七段目のおひな道具とその役割については省きます
別名「十五人飾り」というそうですが、七段のフルひな壇で見てみると。なるほど、なるほど ! わたしは1~3段目のお名前までは知っていたつもりでした。
ここで一組15体はわかったものの、肝心な最初の一段目のお人形さんの名前が曖昧なのです。正解は上の写真の「正式な呼び方」なのですが、これを図(ZAMAC作成)にすると下の写真のとおりなのです。
■ では、これは間違い ?
「お内裏様(おだいりさま)とお姫(ひめ)様でいいんじゃないの !?」「お内裏様と男びな・女びなの呼び分けは !?」……………… ムムムム ?? なにかスッキリしません。
それでは―、ひな祭りに欠かせない、だれもが知っている 作詞:サトウハチロー の歌を掲げてみると ………
「うれしいひなまつり」
♪ あかりをつけましょ ぼんぼりに お花をあげましょ 桃の花
五人ばやしの ふえたいこ 今日はたのしい ひなまつり
おだいりさま と おひなさま 二人ならんで すまし顔
およめにいらした 姉さまに よく似た官女の 白い顔
わが娘がまだ小さかったころから一緒に歌って以来、今日まで正しい呼び名などを知らず「男びながお内裏様で、女びながおひな様」だとばかり思っていました。よく歌詞を見てみるとなんと、わたしの呼び方と同じです。しかし、正解とどこか違いますね。でも ……… それはー ?
そして、わたしの呼び方も「俗称」として半ば公認されているというのです。 これで 解決!? いやいやかえってヤヤコシクなりました。
初めて知りましたがNHK-TV「チコちゃんは知っていた」でも呼び方を取り上げたことがあるそうですし、Webで調べてみるとなんと激しいほどの「呼び方正誤記事」でいっぱいなのです。
ところで語源の「内裏」とは、宮中の紫宸殿や天皇の執務所・居所のある場所(区域)をさすのだそうで、天皇お一人を指すわけではないとあります。皇后や姫も一緒だとか、否(いや)とか異論もあるようです。
■ ほかの会場でも
壽丸屋敷会場を後にしてつぎに訪れたA温泉近くの会場で、こんな「コメントカード」を見つけました。ここでは「手づくりひな人形 作品展」をやっていて、それはかわいい小学生の作品でした。
そこにはなんと「お内裏様とお雛様」と明快に書いてあるのです。わたしとまったく同じ認識の方がいたのです。もしかしたら俗称の呼び方は、サトウハチロー大先生の、先ほどの歌詞の影響かもしれません。
「お内裏様とお雛様」のキャプション
■ どちらがホント? なぜ違ってしまったのか
「おひな様」の歴史は平安時代にさかのぼり、紙で人型に作って厄払いの身代わりにしたとか。しだいに天皇・妃にあやかり子どものしあわせを願う季節の飾り物となるなど、多様な歴史を背負い変貌をしてきました。その過程でお飾りの意味も呼び方も変化し続けているのだと気づきました。
ですからあまり突き詰めなくても、ひな祭りの現代用語と思っていればいいのかもしれません。
しかし、これではスッキリしません。桃の節句を祝い、女の子の恙(つつが)ない成長を願う「ひな祭り」は、国民的な意義深いお祭りに曖昧は不似合いです。やはり大切な「日本人の心」として、謂(い)われや名称も正しく覚えておきたいものです。
ほかにも「随臣(ずいしん)」「仕丁(しちょう)」のことも書きたかったのですが、またの機会にということにします。
■ まとめとして、呼び方・数え方
最後に、わたしのもう一つのモヤモヤは「呼び方・数え方」です。それを下にまとめてみます。注意が必要なのは、やはりひな壇の一段目にあります。間違わないようにしたいものです。
正しくは、お二人を一対としてお姫さまも「親王」であり「お内裏様」なのですね。銘々ををお呼びするときに、はじめて男びな・女びなと区別して呼びます。
親王(宮中の 殿と姫)➡ 内裏(二人で) ⇒ 男びな + 女びな
「呼び方・数え方」全般
○ 呼び方 ⇒ ひなにんぎょう
○ ひな人形 ⇒ 雛人形/ 内裏雛/ 夫婦雛 ⇒ お殿様・おひな様
広義では15体の人型(ひとがた)全部を言うこともあるようです。
○ 数え方 ⇒ 一対 (男雛・女雛を合わせて)/一揃(そろい)/一体/一組
○ 飾り方 ⇒ 一飾(かざり)/一具(ぐ)
一段 (段飾りの数。三段飾り・五段飾り・七段飾りなど)
End
《 後記 》
きょう3月1日は「ロシアのウクライナ侵攻」5日目です。不幸を生む何物でもない人為的な災禍となりました。ひな祭りのこの時機に、何ということでしょう。言葉にならない出来事です。
まず "武器使用の停止" を願わずにはおられません。ましてや "核兵器" をチラつかせるなどは、冷酷で非人道的なとんでもないことです。言語道断です。
ZAMAC
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