空も大地もうごめき、ウゴメク。

この世に生まれたからには、精一杯生きてみよう

松井のメッセージ

2006年12月06日 | 松井秀喜

      いじめられている君へ

  君は、無理して立ち向かわなくていいんだ。

  学校やクラスにいても楽しくない。仲間にうまく入れない。それなら、それで、別にいいんじゃないかな。だれかがつくった世界に君が入らなければいけない、ということはないんだよ。

  それより、君には、居心地のいい場所で、自分の好きなことに夢中になってほしい。何かに没頭することによって、いやなことが気にならなくなることって、あると思う。逃げるんじゃない。自分から好きな世界を選ぶんだ。その中で同じ夢を持った友達に出会うこともあるだろう。新しい仲間ができるかもしれない。

  ぼくは小さいころ、体が大きいだけでなく、太っていた。それを悪く言う友達もいたかもしれない。ぼくはまったく気にならないタイプだからコンプレックスを感じることもなく、ただ大好きな野球に没頭していた。そのうちに、自然と体も絞れてきた。もちろんいい仲間とも、たくさんめぐり合うことができた。

  だから君にも大好きなことを見つけ、自分の夢を持ってほしいんだ。スポーツが好きな人もいれば、音楽が好きな人もいるだろう。何かを書いたり、つくったり。見ることでもいい。どんなことでもいいんだ。大好きなものに出会えたら、それを大切にして欲しい。

  君をいじめている人がいるとしたら、その人もきっとつらい気持ちでいると思う。だって、人をいじめることが夢なんて人はいないはずでしょう。いじめは夢の遠回りなんだ。その人にも、自分の夢を早く見つけて欲しいと言いたい。後悔するような時間は、短い方がいいからね。

  だから、いま君が立ち向かうことはないんだ。
 
     大リーガー  松井秀喜さん   朝日新聞12月6日付  

  いじめの投稿が大手朝刊紙に今、掲載されている。松井は11月7日にも産経新聞に投稿し、話題を呼んだ。

  「次々と子ども達が自らの手で命を絶つことには、僕も我慢がなりません。いろいろな理由があるにせよ、いじめをしている人、いじめで悩んでいる人には、もう一度じっくり考えてほしい。

 あなたの周りには、あなたを心底愛している人がたくさんいるということを。それは家族であり、親戚であり、友人であり、先輩であり、後輩であり、時にはペットであるかもしれません。

 人間は一人ではない。いや一人では生きていけないのです。だから、そういう人たちが悲しむようなことを絶対にしてはいけないと僕は考えます。相手の身になって、もう一度考えてみてください」

  新聞の投稿ではなかなか子ども達は目にしない。親が読んでこういう人がこういうこと言っているぞ、と子どもに言い聞かせている程度か。それならせっかくのメッセージも半減してしまう。

  いじめは現代の社会現象、それから発展しまうといじめられた側は死を選ぶ傾向にある。メディアも執拗にそれを追いかけて書きまくったことから、死が一人歩きから、いじめを受けていた子どもの最後の手段、"美徳化"していたようにも思える。最近は自殺の記事は少なくなった。これもある程度はメディアが自粛したからだろう。皆が自殺、自殺と書きたくると、命の尊さは忘れてしまい、軽はずみに死の方を選んでいるような現代社会とも見てとれた。「そんなに皆が簡単にできるなら」と連鎖反応を起こしていたのかもしれない。一時的な気持ちで。

  新聞のメッセージもいい。だが、政府が子どものいじめに本腰挙げるのならば、やはりメディアでもテレビだろう。しかもゴールデンタイムの番組のコマーシャルで流す、ってのはどうだろう。インパクトは十分だ。

  例えば、人気番組のドラマでお笑いでも、特集ものでもなんでもいい、その時間に松井秀喜がいじめのメッセージを番組を見ている子どもに訴えてはどうだろう。

  できれば民放一斉に同時間でお願いしたいものだが。