つばさ

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1つの正解を探しすぎ、訴える力が弱い

2013年11月16日 | Weblog
春秋
11/16付

 試験用紙が配られる。ざっと全体に目を通し、瞬時に簡単そうな問題と難しそうな問題を区別する。時間は限られているから、確実に解ける設問から手をつけて難問は後回しにする。日本の学生にとって、これが答案用紙を書く手順の王道だろう。だがインドでは違う。

▼デリーで学ぶ日本人留学生から、人の能力を測る尺度の違いを聞いた。高等教育のテストは徹底した記述式である。大事な期末試験で1問目から順に回答を書いていったが、第2問で難航しそうなので、飛ばして3番、4番に注力したそうだ。全体の出来は上々だったが、教授に呼び出されて、こっぴどく叱られたという。

▼たとえ一問でも、一文字も書かず空白で出すとは何事か。「○○を論ぜよ」と求められたからには、とにかく何でもいいから書きまくる。設問に関連する知識が足りなければ、詩でも日記でも自己紹介でもいい。正確さよりも表現の量を重んじるのがインド式だ。白い答案を見て教授は「思考力が薄弱」と判断したらしい。

▼なるほど、と思い当たる。インド人といえば国際会議や学会で延々と持論を語り、司会泣かせで知られる。数字のゼロを発見した創造的民族にとって、多く語るのは良い事なのだろう。さて、グローバル人材の育成が課題という日本人はどうか……。「1つの正解を探しすぎ、訴える力が弱い」。インド人学者の評である。

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