つばさ

平和な日々が楽しい

集団が力を発揮するのは、最も非力な仲間を皆で育て、共同体を未来につなごうとするときだからだ

2012年12月25日 | Weblog
春秋
2012/12/25
 「いま就活をする学生たちが本当に気の毒」。神戸女学院大名誉教授の内田樹さんがブログで書いている。映画「七人の侍」を論じた中での発言だ。野武士に狙われた農民らに請われ、村を守ると約束した侍は腹心、参謀、剣の達人を集める。残り3人が変わっている。
▼腕はもうひとつだが場を和ませ「苦しい時には重宝」な浪人。元は農民という型破りな男。そして、頼りない若者。出身や経歴にこだわらず、あえて多様な人材を抱える。今で言うダイバーシティー経営だ。均質な集団は想定外の事態に対応できない。弱肉強食だけでは内部でつぶしあいを招く。多様な資質が強さを生む。
▼見落とされがちなのが若者の役回りだと内田さんは見る。集団が力を発揮するのは、最も非力な仲間を皆で育て、共同体を未来につなごうとするときだからだ。現実はどうか。リーダーはイエスマンや達人ばかり求め、若者は即戦力であれと言われたり、安く使い捨てられたり。内田さんの目に「気の毒」と映るゆえんだ。
▼経営学者、今野浩一郎氏の近著に制約社員という言葉が登場する。育児、介護、病、障害、年齢などの制約を抱えつつ働く人を指す。増える制約社員を生かす多元的な人事制度を作れれば、日本企業の新たな強みになると今野氏。若者の志、シニアの知恵、子育て社員の視野の広さ。人事部は貴重な社内資源を生かせるか。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿