中日春秋
2012年10月2日
野田首相が好きなのか、それとも、入れ知恵する官僚が好きなのか。野田内閣は「不断の見直し」という言葉を、よく使う
▼二〇三〇年代に原発ゼロを目指す戦略は「不断の見直し」の対象だし、領土保全のあり方も「不断のレビュー(見直し)」が必要だと会見で話した
▼そもそも、不断とは『広辞苑』によれば<絶えないこと。絶え間のないこと>。最たる用例は<不断の努力>。例えば、憲法一二条。基本的人権は<国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない>と謳(うた)う
▼達成困難な目標に絶え間のない努力で取り組む。不断という重々しい漢語に覚悟のほどがにじんでいる。原発ゼロや領土保全こそは「不断の努力」の出番だと思うのだが、野田政権は「不断の見直し」が必要だという
▼どうにもこの用法に違和感を覚え、『語感の辞典』の著者・中村明さんに聞いたら、「見直すというのは、そこで途切れる行為。連続性が切れる言葉を不断という言葉と一緒に使うから、違和感を覚えるのでしょう」との分析
▼不断の見直しが好きな野田首相は、「不断の内閣改造」も好きとみえ、一年余で三回も繰り返した。ちなみに、『広辞苑』は不断の意味に<決断の鈍いこと。にえきらないこと>も挙げる。これなら「不断の見直し」の真意に、ぴったり。ついでに新内閣を「不断内閣」とでも呼ぼうか。
2012年10月2日
野田首相が好きなのか、それとも、入れ知恵する官僚が好きなのか。野田内閣は「不断の見直し」という言葉を、よく使う
▼二〇三〇年代に原発ゼロを目指す戦略は「不断の見直し」の対象だし、領土保全のあり方も「不断のレビュー(見直し)」が必要だと会見で話した
▼そもそも、不断とは『広辞苑』によれば<絶えないこと。絶え間のないこと>。最たる用例は<不断の努力>。例えば、憲法一二条。基本的人権は<国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない>と謳(うた)う
▼達成困難な目標に絶え間のない努力で取り組む。不断という重々しい漢語に覚悟のほどがにじんでいる。原発ゼロや領土保全こそは「不断の努力」の出番だと思うのだが、野田政権は「不断の見直し」が必要だという
▼どうにもこの用法に違和感を覚え、『語感の辞典』の著者・中村明さんに聞いたら、「見直すというのは、そこで途切れる行為。連続性が切れる言葉を不断という言葉と一緒に使うから、違和感を覚えるのでしょう」との分析
▼不断の見直しが好きな野田首相は、「不断の内閣改造」も好きとみえ、一年余で三回も繰り返した。ちなみに、『広辞苑』は不断の意味に<決断の鈍いこと。にえきらないこと>も挙げる。これなら「不断の見直し」の真意に、ぴったり。ついでに新内閣を「不断内閣」とでも呼ぼうか。
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