つばさ

平和な日々が楽しい

税務署に都合がよくできている。

2012年12月01日 | Weblog
春秋
2012/12/1
 「勝率はどのくらいだい」。聞かれた玄人の麻雀(マージャン)打ちが答える。「勝ったり、負けたりだな」。「それじゃ率にならねえな」「そうでもないよ。素人の勝ったり負けたりとはちがう」「そうかね」「勝てば取る。こいつァ素人と同じだ。負ければ払わない」「なるほど」
▼阿佐田哲也の小説「雀師流転」の一節に、なにが「なるほど」かと思われるだろう。負けたら、殴られても蹴られても、たとえ金を持っていても払わない。だから負けても損はしない。それが玄人だというのである。バクチの世界にはずいぶんと素っ頓狂な理屈がある。が、税の世界にも負けず劣らぬ屁(へ)理屈があるようだ。
▼大阪で競馬のもうけを申告しなかった会社員が脱税で起訴されたが、税務当局のいう「もうけ」とは、受け取った配当金から当たり馬券の購入費だけ引いた額なのだそうだ。例えば馬券を1万円ずつ100枚買い、1枚当たって100倍の配当があった。ならばもうけは99万円、もうけに税金がかかります、という理屈だ。
▼もちろん財布の中身は増えていない。だから会社員側はおかしいと反論している。つまるところ、外れ馬券代を必要経費と認めるかどうかに見解の相違があるらしい。外れ分を勘定に入れず、当たった馬券の買値だけ配当金と差し引きすれば、素人だって勝率は100%になる。この理屈、税務署に都合がよくできている。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿