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ぼくの絵は兵隊の位になおすと、どのへんですか

2012年09月28日 | Weblog
【産経抄】9月28日
 「ぼくの絵は兵隊の位になおすと、どのへんですか」。「放浪の天才画家」と呼ばれた山下清が、徳川夢声との対談でもらした何げない言葉は、たちまち流行語になった。
 ▼「なぜ、兵隊の位になおすと…って言うの?」。甥(おい)の浩さんがある日尋ねると、こう答えたという。「メンコだな。メンコをやる子供は、何が何に強いというのは、兵隊の位を知らないとだめなんだな」(『家族が語る山下清』並木書房)。
 ▼大人になっても、いや、なってからの方が、「兵隊の位」が大事になってくる。中央大学横浜山手中学の不正入試のニュースを聞いて、再認識した。中学校長のもとに、中央大学理事長から電話がかかったのは、今年2月の入試の最中だった。
 ▼受験して不合格となった、理事長の知人の孫についてだ。理事長は「合格させろ」とは言ってない、と弁解している。校長は「勝手に忖度(そんたく)して」合格させてしまった。どうやら、2人の兵隊の位はだいぶ違うようだ。
 ▼ところが、内部告発で不正合格を知った大学学長が、今度は合格取り消しを求めてきた。やはり位の高い学長の命令には、逆らえない。合格発表から1カ月以上たってから、受験生に取り消しを告げたという。事情を知らない受験生は、制服を注文して、入学を楽しみにしていた。その悲嘆、怒りはいかばかりだったろう。
 ▼「自分の絵をうまいと思う?」。「人間は自分のことってわかんないんだな」。夢声の質問に清が答えている。不正をスクープした朝日新聞によると、大学が開いた記者会見で、理事長の口から「この一つの小さい問題」という言葉が出た。どうやら、「自分のこと」も問題の深刻さもわかっていないようだ。


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