つばさ

平和な日々が楽しい

大阪に住みつき男日傘かな

2013年08月11日 | Weblog
春秋
8/11付

 むかし上方では、男の日傘がはやったという。講談社版「日本大歳時記」の夏の部に「江戸後期には京阪地方で男の日傘が流行したことがあったが、後に禁制になった」などとある。禁制とはまた穏やかではないが、そのたたずまいがお役人のカンに障ったのだろうか。

▼「大阪に住みつき男日傘かな」小原野花。こちらの句はずっとのちの昭和の作だから、やはり関西には男性が日傘をさす習慣が残っていたとみえる。さて時は移り平成のいま、近畿方面にかぎらず男の日傘が見直されているようだ。年々ひどくなる暑さのなかで省エネ、クールビズのご時世、なかなか理にかなってはいる。

▼特設コーナーを設けたデパートもあるし、先日は炎天下をゆうゆうと行く黒いコウモリを見た。ならばためしに、と手持ちの折り畳み傘を広げて猛暑の街を歩いてみたら、これが思った以上によい。ちょっとした発見だ。まわりの人の目が気になるけれど、強烈な日差しで汗みどろになるよりずっとスマートかもしれない。

▼そう考える人が増えれば、男の日傘ももっと普及するだろう。18世紀の英国では雨傘だってもっぱら女性の愛用品だったという。ところがジョナス・ハンウェイという男がひとり使いはじめて、やがて男女の別がなくなっていったそうだ。世の常識なるもの、案外たいしたことはない。そんなことも思わせる傘事情である。

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