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津波、10メートルの防潮堤越える…岩手県宮古・田老地区

2011年03月17日 23時06分26秒 | 日記・政治
 
 
 
 
     
  
防潮堤
 
宮古市田老地区防潮堤
 
 
2011.3.16 21:31  産経ニュース
 
東日本大震災では、岩手県宮古市田老地区(旧田老町)も津波で壊滅的な被害を受けた。田老地区は明治29年以来3度も津波の被害を受け、昭和8年の三陸地震津波を教訓に、日本でもトップクラスとなる長さ2・4キロ、高さ10メートルの防潮堤を備えていた。だが、今回の津波はその防潮堤を越えて地区を破壊。避難した人たちは「防潮堤があるので油断があった」と悔やんでいる。
 
 鳥井隆さん(81)は、今回の地震で2度目の津波を経験した。しかし、三陸地震津波のときは4歳で、ほとんど覚えていない。鳥井さんは「防潮堤を造ったからと、油断して逃げなかった人もいた。過去の教訓を、今回の津波は超えてしまった」と悔やんだ。
 
 美容室を経営する大下和子さん(65)は、お客さんにパーマをかけている最中、津波警報のサイレンを聞いて逃げた。「若いころから『何も持たず、高いところへ逃げろ』と言われてきた。お客さんを逃がし、言われてきた通りにした」という。
 
 しかし、津波の到達は予想より早かった。「地震が起きてから30分ぐらいは逃げる余裕があると思っていたのに、あっという間に津波が来た」と振り返る。
 
 田老地区の人口は約4000人。大半は高齢者だ。夜間に襲った三陸地震津波に比べれば逃げやすい時間帯だったが、若い人たちは外に出ていて、家にいた高齢者が逃げる間もなく津波に流された。 
 
ある70代の女性は「年を取った母と2人暮らしの息子さんが『おふくろを(家に)おいてきた。おれは馬鹿だ』と叫んでいた姿を見た」と話す。その息子によれば、体の不自由な母親は「まだ(津波は)3メートルぐらいだから」と2階に上がった直後に、家ごと流されたという。
 
 宮古市の15日午後2時現在の死者は157人、うち田老地区の死者は20人。市全体では1658人が行方不明。人口のおよそ4人に1人、8836人が避難している。
 
 ◆田老地区の津波◆
 明治29年6月15日の明治三陸地震津波では、岩手県内で2万1千人を超える死者が出て、そのうち田老町(村)では1859人の犠牲が出た。昭和8年の三陸地震津波では死者・行方不明者911人。
 このときの津波の後、全国からの義援金や村の借財などを防潮堤の建設に充て、昭和54年、長さ2433メートル、高さ10メートルの、日本でも指折りの規模を誇る防潮堤が完成した。
 

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