中国人民解放軍
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我が国周辺の変化に対応できないシステムは脱ぎ捨てよ!
2010.10.27(Wed)JBプレス 樋口譲次
昨年8月、自民党から民主党へ政権が移行したが、同年末に予定されていた「防衛計画の大綱(以下「防衛大綱」)」の改定は、1年先送りされた。
政権は交代したものの、安全保障まで後退した!
65年の戦後政治の中で、政権交代という歴史的転換を果たしたものの、米国軽視・中国重視とも取られかねない「東アジア共同体」構想、「対等な日米関係」あるいは「日米中正三角形」論などを打ち出し、また基本的に自衛隊の存在や日米安保に否定的な社民党などと連立を組んだ民主党政権の安全保障・防衛政策が一向に定まらないことがその背景だ。
そして、沖縄の米軍普天間基地の移転問題では、迷走に次ぐ迷走を重ね、その一部始終を国民の面前に晒すことになり、我が国の安全保障あるいは日米同盟の行く末に、いたずらに不安や不信をかき立ててしまった。
そのこともあって、民主党政権は鳩山由紀夫氏から菅直人氏に首相の首をすげ替えたが、7月11日の参議院選挙には手痛い敗北を喫した。
そして、首相の諮問機関として設立されていた「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」は、ようやく、今年8月27日にその検討結果を報告するに至った。
この報告書は、「防衛計画の大綱(以下「防衛大綱」)」の改定と、それに基づく次期「中期防衛力整備計画(以下「中期防」)」策定に反映される手はずになっている。
そこで、今後、我が国の安全保障および防衛に重大な影響を及ぼすことになるであろう本報告書(PDF)について、一読し、感じるところをかい摘んで述べてみたい。
本報告書は「新たな時代」の要請に真っ直ぐに答えているか!
防衛大綱策定に際しては、今回もそうであるように、あらかじめ有識者による懇談会を立ち上げ、総理の諮問に答える形で報告書の提出を求めるのが恒例となっている。
昨年は、自民党・麻生太郎政権下で「安全保障と防衛力に関する懇談会」が、また2004(平成16)年の16防衛大綱策定時にも同じく「安全保障と防衛力に関する懇談会」が報告書(PDF)をまとめて答申した。
今般、菅政権下では、「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」が立ち上げられた。特徴は、懇談会に対し、「新たな時代」の認識を明確にしたうえで、それに基づいて「安全保障と防衛力」のあり方を問うている点である。
そこで、第1の問題は、これまでの諮問と違って特に強調された「新たな時代」をいかに認識し、それにいかに対処しようと考えたかである。
安全保障の主題は、いつの時代も、「何を何から守るか」である。「何を」は、広義においては国家および国民それ自体であるが、煎じ詰めれば、「我が国の生存と安全を確保し、独立と主権を守ること」の死活的価値(国益)である。
グローバルな安全保障環境、4つの趨勢!
一方、「何から」は、守るべき「何を」に対して国内外、主として外国から及ぼされる軍事的脅威である。その脅威を明快に描き出し、国民に提示して防衛(力)のあり方について広く論議を巻き起こすこと、それが本懇談会の果たすべき最も重要な役割に違いない。
本報告書は、グローバルな安全保障環境の趨勢として、以下の4つを挙げている。
(1)経済的・社会的グローバル化、それに伴う国境を越える安全保障問題、平時と有事のグレーゾーンにおける紛争の増加
(2)中国やインド、ロシアなどの新興国の台頭、米国の圧倒的優越の相対的後退による世界的なパワーバランスの変化と国際共有財の劣化
(3)大量破壊兵器とその運搬手段の拡散の危険の増大
(4)地域紛争、破綻国家、国際テロ、国際犯罪等の問題の継続
そして、この趨勢の下、日本の周辺地域と日本にとって次のような課題にどのように対処するかが重要であると指摘する。
●米国の抑止力の変化
●朝鮮半島情勢の不確実性の残存
●中国の台頭に伴う域内パワーバランスの変化
●中東・アフリカ地域から日本近海に至るシーレーンおよび沿岸諸国における不安定要因の継続
全般としては、必要な内容が網羅され、概ね妥当な指摘であると言えよう。
しかしながら、中国の台頭と米国の圧倒的な優越性の後退などに日本がいかに対処しなければならないかについては、我が国防衛政策の抑制的で、受動的な姿勢を改め、より能動的でなければならないとしながらも、「自衛隊と米軍の一層緊密な連携が必要」であり、「平和維持活動(PKO)など自衛隊が自らの責任で任務を遂行できる範囲を広げていくことも重要」と述べるにとどまっている。
日本の防衛は、我が国自らの防衛努力と日米同盟による相乗効果によって成り立っている。中国の脅威が拡大しつつ現実味を増す中で、本地域における米国の圧倒的優越が崩れて抑止力が低下する趨勢においては、我が国自らのさらなる防衛努力は不可避である。
米軍の相対的地位低下で、防衛体制の確立は急務に!
核の抑止・対処への対米依存の問題は依然として残るが、主権国家として最低限なすべき「自分の国は自分の力で守る」いわゆる自主防衛を基本とする安全保障・防衛体制の確立が急務である、との認識は間違いなかろう。
その意味で、今回も、旧来の抑制的で、受動的な姿勢を打破できない本報告書の態度は、きわめて残念と言わざるを得ない。
一方、中国の脅威については、1990年代以降の軍事力の急速な増強近代化に触れたうえで次のように述べている。
「台湾との軍事バランスは、全体として中国側に有利な方向に変化」し、「中国の海洋活動は、東シナ海、南シナ海を越えて太平洋にまで広がり、日本近海でも活発化している。その背景には、領土・領海の防衛のため可能な限り遠方の海域で敵(米海軍:筆者注)の作戦を阻止すること、台湾の独立を抑止・阻止すること、海洋権益を獲得・維持・保護すること、海上交通を保護することといった狙いがあると見られる」
「海洋権益の獲得」を例に述べると、中国は、我が国の固有の領土である尖閣諸島に関して、1970年代初め、東シナ海大陸棚石油開発に絡めて初めて領有権を主張した。
そして、排他的経済水域に関する我が国の中間線主張を拒否して資源(ガス田)開発を独断で進めている(なお、日中両政府は、2008年6月18日、東シナ海ガス田の共同開発で合意したと公表し、現在、両国で交渉中)。
日本への本格的武力侵攻は想定されない??
また、中国は沖ノ鳥島を島(領土)でなく岩であると主張して周辺海域の調査活動を行っている。
言うまでもなく、海洋権益は、海洋に無条件かつ任意に存在するものではなく、その国の領土に排他的に付随するものである。
つまり、中国が目標とする「海洋権益の獲得」は、台湾の解放あるいは中国が自国の「核心的利益」と称する南シナ海における南沙・西沙群島の領有権主張の動きなどにも見られる通り、最後は領土(および領土上に存在する人)の拡張的支配に向かうのが必然である。
本懇談会は、「予想される将来、日本の国家としての存立そのものを脅かすような本格的な武力侵攻は想定されないと判断している」と述べている。
しかし、なぜそのような断定的判断が可能であるのか。また、それは、どのくらいの時間的レンジで考えているのであろうか。
郷友総合研究所の研究によれば、2030年頃の中国の軍事能力予測は、以下の通りである。
中国は、今後引き続いて質量ともに軍備の増強・近代化を重点的に推進し、最も蓋然性の高い台湾有事と平行した対日侵攻の事態(2正面侵攻のケース)において、下記の戦力を指向することが可能と見積もられる。
2030年、中国の軍事力の質は日本と同水準に!
この際、中国の軍事力の質は、自衛隊とほぼ同水準に達している。
核戦力】
JL-2型S LBM×24基を搭載したオスカー級弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)が対日本向けに常時1隻哨戒し、地上配備の中距離弾道ミサイル(IRBM)と移動式固体燃料・短距離弾道ミサイル(SRBM)を合わせれば、約三百数十基の核戦力を指向できる。
そのほか、爆撃機の1部をもって巡航ミサイルなどによる核攻撃が可能となる。
【陸上戦力】
●2個海軍歩兵師団がACV(ホバークラフト、ACV=Air Cushion Viehcle)、ヘリコプター、上陸用水陸両用戦車などを用いて同時強襲上陸が可能であり、同時に4個機械化師団分を海上輸送しうる能力を保有する。
●2個空挺連隊の同時空輸が可能であり、1日以内に空挺師団全力を空輸できる。また、2個空中攻撃旅団を指向できる。
●特殊作戦を行う2個旅団が指向可能である。
以上合計すれば、日本に対して着上陸侵攻可能な陸上兵力は、第1段階の作戦において約18万人、引き続き作戦を拡大すれば総計65万人規模の戦力が指向可能である。
【海上戦力】
●北海艦隊と東海艦隊を基幹とし、軽空母2隻、潜水艦(静粛化)45隻、イージス艦4隻を含む駆逐艦20隻、ミサイルフリゲート艦40隻などが指向可能である。
また、戦車揚陸艦(LST)、中型揚陸艦などの強襲揚陸艦やRo-Ro船、貨物船などの徴用民間船舶などを動員して大規模な水陸両用作戦を遂行できる。
●第2列島線から米海軍に対する進出拒否戦力を縦深にわたり展開するため、第1列島線内への米海軍空母打撃部隊の進出は容易ではなく、第1列島線内の制海権を概ね確保できる。
【航空戦力】
●行動半径1500キロの第4世代機780機を主力とし、最新の第5世代機120機、爆撃機60機、合計960機の作戦機に加え、「Il‐96」などの大型輸送機約200機の航空戦力を指向可能である。
●航空自衛隊との航空撃滅戦を遂行して、西日本まで航空優勢を確保できる能力を保有する。
中国は、第2列島線からの米海軍に対する「接近拒否戦略」の能力を着々と構築中であり、既に台湾に対する経空・経海の侵攻能力を保有している。
この能力は、南シナ海方面にも向けられようとしており、我が国の、特に西日本から南西諸島に至る領土・領域に対して同様の侵攻の可能性を示すものと理解しておかなければならない。
あまりに無責任で近視眼的過ぎる主張!
本報告書は、「直面する多様な事態への対応」、つまり短期的に生起の公算が大きい事態への対処に関心を奪われてしまったかのようで、我が国に対する「本格的な武力侵攻対処のための最小限のノウハウ維持を考慮する必要があるが、(中略)重要度・緊急度の低い部隊、装備が温存されることがあってはならない」と述べている。
しかし、上記の見積もりに基づけば、今後の中長期的な脅威の趨勢(造成中の軍事能力とその狙い≒意図)を等閑した極めて無責任、かつ近視眼的主張であると言わざるを得ない。
本来、国の安全保障あるいは防衛は、情勢を見通し得る範囲で、可能な限り長期にわたって計画されなければならない。改訂される防衛大綱は、少なくとも2個中期防(約10年)以上をカバーすることになる。
例えば、来年度からスタートする新中期防(5カ年計画)の初年度にある装備品の研究開発が始まったとすると、その開発が終了するのは次期中期防の後半から次々期中期防の前半頃である。
すなわち、自衛隊の装備開発には、概ね10年を要する。その後、中期防の計画を基に調達が始まり、逐次第一線部隊へ配備されるが、その装備化が完了するには平均して20年程度かかっている。
その頃になると、後継の新装備の導入が始まることになろうが、これまでの主力装備は、新装備に換装が完了するまでのさらに20~30年あるいはそれ以上の間、自衛隊の装備として使用され続ける。
自衛隊の人材育成には20~30年はかかる!
今後、防衛予算の圧縮が続けば、一層の研究開発・導入期間の延長は免れ得ない。
また、自衛隊の戦力は装備と人(隊員)によって決まるが、組織を担う人材の育成にも20~30年の期間を要する。
つまり、本報告書は、本来、数十年の単位で我が国の安全保障と防衛に影響を及ぼす性格のものであるが、それに相応する長期的視点からの分析・考察に欠けており、致命的欠陥を露呈していると言えよう。
一方、本報告書は、「高度な技術力と情報力に支えられた防衛力の整備」を求めている。
その点に異論はないが、2030年頃の中国軍の軍事力の質は、自衛隊とほぼ同水準に達すると見積もられており、これまでのように、量の劣勢を質の優位で補うことが可能であると過信するのは危険である。
国土防衛上、必要な一定量の防衛力は何としても確保しなければならない。
以上述べた中国からの主要な脅威に加えて、北朝鮮による「眼前の危機」は、決して疎かにできない。
ロシアの軍事費は2000年比で6倍以上に!
また、ロシアは、軍事力強化に転じ、過去数年間、連続して対前年比15%以上の急激な伸び率で軍事費を増大し、その規模は2000年に比較して6倍以上になっている。
そして、未解決のままになっている我が国の北方領土で本格的な軍事演習を行うなど、陸海空にわたって軍事活動を活発化させており、その脅威度は警戒レベルにまで高まりつつある。中長期的には北への備えも周到に準備しなければならないのである。
イラク戦争が如実に物語るように、戦いは、いかに強大な航空・宇宙戦力また海上戦力をもってしても戦勝・終結に導くことは困難であり、最後は陸上戦力による土地(国土)と人(国民)の支配にまで行き着くものである。
これを専守防衛(戦略守勢)の日本の立場に置き換えて考えれば、我が国の安全保障・防衛政策は、あくまで敵の着上陸侵攻(離島・島嶼への侵攻を含む)の抑止を重視した国土防衛に基本をおいて構築すべきである、と本報告書は強調すべきではなかったのか。
第2の問題は、「安全保障と防衛力」について、我が国の安全保障の目的を明らかにするとともに、その中における防衛(力)の地位役割並びにそのあり方をいかに考えたかである。
言うまでもなく、我が国の安全保障(National Security)の目的は、世界の平和と安定を図りつつ、外部からの侵略などに対して、国家の生存を確保し、国家および国民の安全を保障することにある。
我が国への脅威の軽重をはっきり示すべき!
つまり、国家安全保障は、本来軍事的なものであるが、同時に、非軍事的脅威にまで対象を広げ、外交努力、経済協力、国内の民生安定、食料・資源エネルギーの確保などを通じて安全を保障するに必要な環境や基盤を整備し、総合的施策をもって国家の安全確保を図るものである。
が、その主体は、あくまで、防衛(力)であり、外敵に対する国防(National Defense)が最大の安全保障を形成することに相違ない。
本報告書は、「安全保障上の目標は、日本の安全と繁栄、日本周辺地域と世界の安定と繁栄、自由で開かれた国際システムの維持である」と述べている。
すなわち、我が国の安全保障を、日本、日本周辺地域および世界の3地域に区分するとともに、これをグローバルに覆う国際システムを加えた形で考えている。
この点で気になるのは、本報告書が、3地域および国際システムを並列・同格的に記述し、我が国の安全保障の目的を達成するうえで、それぞれの間における軽重や優先順位また相関関係はどのようになっているのか、明らかにしていないことである。
我が国の安全保障は、上記の3地域の中心に位置する「日本」の国土防衛(ホームランド・ディフェンス)が、その究極の目的である。
日本を取り巻く、中国、ロシア、米国の3軍事大国!
「日本周辺地域」は、地政学的に見て、日本を包囲する態勢にある大陸国家の中国とロシア、そして海洋国家の米国の3軍事大国を中心に構成され、我が国の安全保障に直接影響を及ぼす地域である。
その外側の「世界」は、邦人保護や食料・資源エネルギーの確保などの面で直接影響を及ぼす場合もあるが、基本的には間接的な影響を及ぼす地域である。
そして、安全保障のあり方は、3地域を網羅する地球規模で考え、各地域そして世界システムというソフトウエアを関連させながら総合一体的に構築しなければならない。
しかし、あくまで国土防衛が中心であり、日本周辺地域および世界における安全保障政策は、これに従属し、また集約させなければならない。
なぜならば、我が国の国土防衛が成り立たなければ、他地域における安全保障政策の存在理由は無に等しく、結局、国土防衛は我が国の安全保障あるいは防衛の核心であり、また、政策全般の骨格(フレームワーク)を決定するからである。
ややもすると、世界全体の平和を説けば、我が国自身の平和も確保できるような飛躍し、発散した論議に陥ったり、また、そのような誤解を与えやすいものである。
従って、我が国の安全保障や防衛の骨格を述べるに際しては、3地域および国際システムを並列し、あたかも同格のように展開するのではなく、外敵に対する国防、つまり国土防衛が最大の安全保障を形成することを明示し、それを中心に据えた安全保障政策の構築の必要性を強調すべきではなかったのではなかろうか。
基盤的防衛力構想は本当に有効性を失ったのか!
本報告書は、「軍事力の役割が多様化する中、防衛力の役割を侵略の拒否に限定してきた「基盤的防衛力」概念は有効性を失った」とし、「冷戦期に提唱され、冷戦終結後も継承されてきた『基盤的防衛力整備』の考え方を見直し、多様な事態が複合的に生起する『複合事態』への対応を念頭に置いた防衛力の整備を提唱した」と述べている。
基盤的防衛力構想は、16防衛大綱によって半否定され、本報告書によって全否定されたことになる。しかし、全否定する論拠については、必ずしも十分な説明はなく、「先に結論ありき」の感は否めない。
基盤的防衛力構想は、第4次防衛力整備計画が終了し、冷戦が一時的な緊張緩和(デタント)に入った時、防衛費(力)を抑制する目的で作られたものであるが、一方、平和時における最低限の防衛力を確保するヘッジ政策でもあった。
また、本構想は、情勢が変化した場合、それに対応して柔軟かつ機動的に防衛力をイクスパンド(強化・拡大)することを前提としている。
従って、本報告書が懸念している多様な「複合事態」への対応も、十分に可能とする考え方を取っており、いわゆる想定内と理解してよい。
情勢の変化に沿って強化・拡大の努力を怠ってはならない
そして、今後、我が国は、懲罰的抑止力の保持に努めなければならないが、拒否的抑止の体制は防衛政策の基本として維持されるべきものである。
国家の防衛は相対的であり、相手国(複数)の動向によって左右される。一方、防衛力の整備には20~30年の長期間を要し、また、その間の情勢の変化を見通すことは至難の業である。
これが国家防衛あるいは防衛力整備上の大きな課題であり、これらの点を考慮すれば、平和時における最低限の防衛力を一定的に確保するヘッジ政策としての基盤的防衛力構想は、それなりに意義あり、と認めなければならないのではないか。
問題は、基盤的防衛力構想下において、情勢の変化に対応してイクスパンド(強化・拡大)する努力を怠るのみならず、本構想が定める最低限の防衛力整備すら果たしてこなかったことにある。
そして、このような状態に陥る元凶は、我が国の防衛政策が財政主導によって決められているからだ。
我が国の防衛政策は、「経済重視・軽武装」の吉田(茂)ドクトリンに沿った財政主導(「最初に財政ありき」)のアプローチによって長年にわたり制約を受け、歪められてきた。