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2020-03-27 | 音楽
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読んだ小説の感想です。

草のかんむり




伊井 直行(いい なおゆき、1953年9月1日 - )は、日本の小説家、東海大学文学部文芸創作学科教授。
宮崎県延岡市大瀬出身、慶應義塾大学文学部史学科民族学・考古学専攻卒業。出版社勤務を経て、1983年「草のかんむり」で第26回群像新人文学賞を受賞して小説家デビュー。

〇あらすじ

ある日、予備校教師「李」に因縁をつけられた「ぼく」は目が覚めるとニホンアマガエルになっていた。カフカ『変身』と異なるこの変身譚は、グリム童話やカエルたちの奇妙な生態、悲しい女の子、麦子との優しい恋愛、めくるめく古代文字と謎の粘土版にとり憑かれた男の手記、そんな数々の幻想を軽妙なステップで跳び越えて行く。

〇レビュー
伊井直行については以前「ポケットの中のレノニワ」のレビューの時に書いた。
確か村上春樹の文体に似ている、寓話性のある物語というようなことを書いたような気がする。
この小説は私が学生の時に、群像新人文学賞を取り、そしてその題名にセンスを感じて私は本屋に並べられていたこの本を手に取ったという思い出がある。確か芥川賞の候補作にもなったはずだ。それから三十数年私は彼が本を出すたびにそれらを読んできた訳だが、変わらないのがやはりその寓話性。
寓話性というと、70年代初頭の庄司薫、後半の村上春樹にも感じることだが彼らの場合は失ったものへのノスタルジーによって心が突き動かされ、小説の骨格を創り上げていく作家のように思うのだが、伊井直行に関してはあらすじを見てもわかる通り、もうほとんど奇妙奇天烈、まあ言ってみれば一種の「大人の童話」みたいなものと言っていいのかもしれない。
ただ、この「草のかんむり」はデビュー作であるだけあって、若々しく鮮烈でSF の要素やメルヘンであったり恋愛小説であったりもする。
私とすれば読み終わった感想を言うと、これはヒネクレタ恋愛小説だよね、というところである。
ああ、そう言えば以前「ポケットの中のレノニワ」でもそのような感想を書いたかもしれない。
見どころはやはり「ぼく」と「麦子」の物語である。途中「ぼく」と「麦子」から離れた話になるのだが、そこからまた麦子へとシフトする経緯が面白い。結末が非常に爽快で感動さえする。最後のたった一文によってこの物語がハッピーエンドで終わることが鮮明にされる。
私はこの物語を三十数年ぶりに読んだのだが、そのときと今とそれほど違う感覚を持たなかった。ただ、インターネットのなかった当時よくぞこれほどカエルの生態について調べ上げ、古代文字の知識まで絡めてそれを文章にし、そこから物語を広げていったなぁと思った。
やはり異世界を創り上げ物語を紡ぐことには非常に長けた恋愛小説家。(それだけではないけど・・)
伊井直行に関してはそう思うのである。


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