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日々の気になるニュース。ただし某NGOのお仕事が忙しい時はしばらく更新されないことも…。

イラクのイスラム宗派分類は慎重に (毎日新聞)

2005-03-08 16:31:28 | 中東関連
日本の大手メディアは、一貫して「シーア派圧勝、スンニ派ボイコット」である。前回の時評でも「宗派で勝敗を解説することが宗派対立を作る」と批判したが、その認識の罠からはなかなか抜け出せないようだ。3月1日本紙朝刊7面に、100人以上の死者を出した自爆攻撃でシーア派がスンニ派過激派に〈我慢の限界〉とある。確かに現場に近いラティフィヤでは、昨年秋から地元のスンニ派イスラム勢力が厳格な規律に基づく自治を築き、「国の中の国」化して外国人や親米派イラク人を攻撃している。しかしスンニ派が集団としてこれを支持しているのでは、全くない。
大半の宗徒が家の宗派を自動的に受け継ぐのは、日本もイラクも変わらない。多くのスンニ派住民は、むしろ厳格なイスラム化を恐れている。記事の見出しは〈テロ拠点化に地元部族が「我慢の限界」〉でかまわないのではないか。
(酒井啓子 毎日新聞3月8日朝刊4面「新聞時評」より 買って読むだけの価値あり)

イラク情勢に関して最も的確で鋭い分析をする酒井啓子氏は、以前からシーア派・スンニ派・クルド人の3つにイラクを分類して捉えることの危うさを指摘している。
9.11後「文明の衝突」という安易なフレーズで世界情勢を片づけてしまった失敗を、イラクの情勢分析で繰り返している。ものごとをあるカテゴリーに分類して理解することは、その分類を間違えた時点で成立しない。また意図的に誤った不正な分類をすることで、人々を危うい方向へ導くことも出来る。
イラクはシーア派・スンニ派クルド人の3つだと理解することは思考停止にも等しい。



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