50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

「て?」・・・

2014-12-22 20:36:28 | 小説
「て?」
「武器を探してこい」
「本気?」
「平気」
「公園の害ってわけよ」
「臭いものはやっつけましょう。勇気ある人が好きなのよ、私は」
「決まりっ」
「棒切れを集めてくるよ」
「止せ」
と一人が小柄の前を塞いだ。英次はリス相手の時間に比べて、何かその賑やかさが楽しい時間を確かに過ごしていると、その声を冷ややかに感じるのだ。梢の中に消えたリスを仲間のせいにして、その男は相手の胸の前で見おろして諭すようにこういった。「監獄行き、覚悟あるの、あるなら止めはしない。結構楽しんだのだし。退屈しのぎになったし、御天守の広場でダンスをしに行こう。どう皆。パフォーマンス」と。
英次にはその声が説教じみて伝わり、おぞましくさえも響いてくるのだった。違和感が悩ますものの類に入る言葉は皆、英次の心を乱した。城址、草木、街、建て物、人影、リス、青年の声々、耳目が全身だった・・・僕がキライになって行ってしまうのかなと英次は思うものであった。寂しくはなくて、がっかりしながら、彼らが遠ざかって行く声や足音を耳にした。・・・・・・

(つづく)


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