50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

不快なはずがないのだが、・・・

2015-05-17 19:33:52 | 小説
不快なはずがないのだが、ニヤリと笑ってそのままベンチにいるには何としても、この男はバツが悪くてならない。それはぼくの居住区でもあり、女らを無視したうちはよかったのだけれども。そう思ってヤケに昔々の歌詞を足先に落とす風から、ベンチを離れる男。・・・・・・スギタムカシヲウラムジャナイガカゼモシミルヨキズノアト。
「お城。お城。上手じょうず」
拍手が砂場に向かっている。それが背中に向けられたかのように聞きながら、男の影が太陽に一瞬濃くなる。何かにつまづきつんのめる。風がざわめかせて鳴るイチョウの青葉を残して。

(了)


★ご愛読ありがとうございました。次回はしばらくお休みいただいてから、「おしのび」を連載させていただきます。また引き続きご愛読いただきますようお願いいたします。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿