【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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親から財産の運用を任された(もらったのではありませんよ!)

2011-10-05 17:00:00 | 相続・贈与、資産運用、節税
親の財産の一部や大部分を、子が親に任されて、株式・FXなどの金融商品や不動産で運用するケースがあります。ネット取引が普及してからは、個々の取引に際して契約書などに本人の署名・押印が不要となったことから、特に増えています。

★贈与税に注意(もらったのではありませんよ!)

なんといっても注意をしなければならないのは贈与税です。「運用を任された」と「運用額相当を贈与された」の区別ができていない場合が多いです。

最悪なのは、「子の名義で運用」している場合です。これでしたら、贈与そのものです。「預かった資金を・・・」は言い訳にはなりません。「運用を任された」というからには、「親の名義で運用」するのは当然として、運用方法や運用成績などを定期的に子から親に報告しなければならないのです。

★運用益の扱い

親の名義で運用し、親に対して定期的な報告をしていたとしても、運用益を子が得ているのであれば、運用益相当額に贈与税が課税されます。「運用手数料として」は理由にはなりません。資産運用で手数料が認められるケースはごくわずかです(賃貸不動産の管理料など)。また、「生計を一」にしている親族間の対価の支払いはそう簡単には認められません。

★税務申告

運用方法によっては税務申告が必要となる場合もあります。当然、税務申告をするのは運用を任せ利益を得た親です。しかし、親が税務申告に無知であれば子が代行するしかありません。申告書の提出はまだしも、後日の税務調査の対応は大変です。子でないと申告内容がわからないからです。子は、仕事を休んで税務調査の対応をしなければなりません。遠方に住んでいる場合は大変です。

★資産運用会社の設立

親が株主(運用資金の提供)兼役員、子は役員(株主としての出資はせずに資産運用に専念する)という布陣で資産運用会社を設立します。運用益は親子で役員報酬としてもらいます。会社ならではのメリット(青色申告の場合には損失が7年間繰り越せる、同居の親族へも比較的容易に給料を支払えるなど)もありますが、運用対象によっては課税上不利になるものもあります(株式の売却益など)。また、登記、経理、税務申告などの事務手続が複雑になり、場合によっては税理士などの外部の専門業者に有料で依頼しなければならないようになります。

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●目的は将来の相続財産を増やすこと!(現状での子の資産や収入は増えません)

親から財産の運用を任されたとしても、運用益や値上り益を享受するのはあくまでも運用資産の所有者としての親です。子は、家族ゆえに無償で資産運用の手伝いをしているのです。対価としてもらえるのは、贈与税の非課税枠内でのプレゼント程度になります(親に食事や旅行の代金を負担してもらうなど)。

子が親の財産を運用するのは、あくまでも親の財産を維持管理して、あわよくば増やすということなのです。その利益を子が享受できるのは将来の相続のときです。

●相続税対策も考える

子が親に財産の運用を任されたならば、相続税対策を可能な限り行うべきです。

例えば、「資産総額が3億円程度で預金がその半分程度」であるならば、まずは生命保険に加入すべきです(親を被保険者・保険金受取人を配偶者や子とし、保険料は一時払いにします)。一等地に遊休土地があるならば、相応のリスクは承知で賃貸ビルやマンションを建設すべきです。