コロナ禍が続く中、決算が初めて赤字となり、すっかりと意気消沈している経営者がいます。しかし、落ち込んでいてはいけません。やらなければならない手続や解決しなければならない課題があります。それを明確にするのが決算書なのです。
◆赤字とは(税引き前の利益で考えてください)
ここでの赤字は、「税引前」当期利益がマイナスの状態で考えてください。営業利益、経常利益と計算した最終の当期利益から「法人税などを差し引く」前の利益です。
◆通常は法人税が課税されない
決算書の利益が赤字の場合には、まずは法人税(地方法人税、事業税、都道府県民税、市町村民税を含む、以下同じ)が課税されることはありません。法人税は「利益を目安」にして課税されるからです。
利益は「収益-費用」として計算されます。一方、法人税が課税される所得は「益金-損金」として計算されますが、「収益と益金」「費用と損金」は完全には一致しません。費用の中に損金とはならない(損金不算入となる)項目があり、その金額が利益のマイナスよりも大きい場合には、所得(益金-損金)がプラスになって法人税が課税されてしまうことがあります。
ただし、このような現象が中小零細企業で起こることはまずはありません。中小零細企業では、損金に算入されない費用は計上しないからです。上場企業では、損金不算入の設備の減損処理や引当金の計上をしなければなりませんので、赤字であるのに法人税が課税されるという現象が起こります。
収益に含めていなかったものが「益金」とされることもあります。しかし、この現象は上場企業でもあまり起こりません。
◆赤字でも法人税の申告は必要
上記のとおり赤字であれば法人税は課税されませんが、たとえ法人税が課税されなくても申告はしなければなりません。
◆中間納税分の法人税は還付される
法人税は、一定の条件に該当すれば年度途中で「中間申告」とその納税が必要となります。税額が確定するのはあくまでも年度終了後の「確定申告」ですので、中間申告による税額はいわば「前払い」であり、確定申告での確定した税額から差し引くことができます。
中間申告の税額>確定申告の税額
このような状態になることもあります。そうであれば、確定申告では納付ではなく還付となります。この還付を受けるには申告書に所定の事項を記載して提出しなければなりません。
◆法人税の計算における赤字は翌期以降に繰り越せる(欠損金の繰越控除)
赤字となった場合、法人税の計算においてはその赤字(欠損金)を翌事業年度以降に繰り越して、翌事業年度以降の黒字と相殺することができます。例えば、当期が100万円の赤字で翌期が200万円の黒字であれば、翌期の課税所得は100万円(200万円-100万円)になります。
なお、この欠損金の繰越控除が適用するには、赤字の年度が青色申告である必要があります。
◆前期の法人税が還付される(欠損金の繰戻しによる還付)
欠損金(赤字)が生じた場合、その欠損金を前年度に繰り戻して、前年度に納付している法人税と地方法人税の還付を受けることができます。ある年度に欠損金が生じた場合、その欠損金を「翌年度以降に繰越して」翌年度以降の所得(黒字)から差し引くことはよく知られています。繰戻し還付はその「逆」です。
この繰戻し還付を受けるには、「前年度から青色申告をしている」「当年度の申告書を期限内に提出する」「確定申告書と同時に『欠損金の繰戻しによる還付請求書』を提出する」ことが必要です。
◆消費税は納税しなければならないことがある
赤字でも消費税を納めなければならないことがあります。利益は「収益-費用」として計算しますが、収益と消費税の受取り、費用と消費税の支払いは一致しないからです。
特に、これがよくあるのが費用についてです。人件費(給料、賞与、社会保険料)、減価償却費は消費税の支払いがない費用の典型です。これらが多額で赤字となった場合には、赤字でも消費税を納税しなければならないことがあります。
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◆赤字とは(税引き前の利益で考えてください)
ここでの赤字は、「税引前」当期利益がマイナスの状態で考えてください。営業利益、経常利益と計算した最終の当期利益から「法人税などを差し引く」前の利益です。
◆通常は法人税が課税されない
決算書の利益が赤字の場合には、まずは法人税(地方法人税、事業税、都道府県民税、市町村民税を含む、以下同じ)が課税されることはありません。法人税は「利益を目安」にして課税されるからです。
利益は「収益-費用」として計算されます。一方、法人税が課税される所得は「益金-損金」として計算されますが、「収益と益金」「費用と損金」は完全には一致しません。費用の中に損金とはならない(損金不算入となる)項目があり、その金額が利益のマイナスよりも大きい場合には、所得(益金-損金)がプラスになって法人税が課税されてしまうことがあります。
ただし、このような現象が中小零細企業で起こることはまずはありません。中小零細企業では、損金に算入されない費用は計上しないからです。上場企業では、損金不算入の設備の減損処理や引当金の計上をしなければなりませんので、赤字であるのに法人税が課税されるという現象が起こります。
収益に含めていなかったものが「益金」とされることもあります。しかし、この現象は上場企業でもあまり起こりません。
◆赤字でも法人税の申告は必要
上記のとおり赤字であれば法人税は課税されませんが、たとえ法人税が課税されなくても申告はしなければなりません。
◆中間納税分の法人税は還付される
法人税は、一定の条件に該当すれば年度途中で「中間申告」とその納税が必要となります。税額が確定するのはあくまでも年度終了後の「確定申告」ですので、中間申告による税額はいわば「前払い」であり、確定申告での確定した税額から差し引くことができます。
中間申告の税額>確定申告の税額
このような状態になることもあります。そうであれば、確定申告では納付ではなく還付となります。この還付を受けるには申告書に所定の事項を記載して提出しなければなりません。
◆法人税の計算における赤字は翌期以降に繰り越せる(欠損金の繰越控除)
赤字となった場合、法人税の計算においてはその赤字(欠損金)を翌事業年度以降に繰り越して、翌事業年度以降の黒字と相殺することができます。例えば、当期が100万円の赤字で翌期が200万円の黒字であれば、翌期の課税所得は100万円(200万円-100万円)になります。
なお、この欠損金の繰越控除が適用するには、赤字の年度が青色申告である必要があります。
◆前期の法人税が還付される(欠損金の繰戻しによる還付)
欠損金(赤字)が生じた場合、その欠損金を前年度に繰り戻して、前年度に納付している法人税と地方法人税の還付を受けることができます。ある年度に欠損金が生じた場合、その欠損金を「翌年度以降に繰越して」翌年度以降の所得(黒字)から差し引くことはよく知られています。繰戻し還付はその「逆」です。
この繰戻し還付を受けるには、「前年度から青色申告をしている」「当年度の申告書を期限内に提出する」「確定申告書と同時に『欠損金の繰戻しによる還付請求書』を提出する」ことが必要です。
◆消費税は納税しなければならないことがある
赤字でも消費税を納めなければならないことがあります。利益は「収益-費用」として計算しますが、収益と消費税の受取り、費用と消費税の支払いは一致しないからです。
特に、これがよくあるのが費用についてです。人件費(給料、賞与、社会保険料)、減価償却費は消費税の支払いがない費用の典型です。これらが多額で赤字となった場合には、赤字でも消費税を納税しなければならないことがあります。
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