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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

インボイスの登録をしない理由

2023-03-25 12:30:00 | 消費税
インボイス制度導入まであと半年となった今も、いまだにインボイス(適格請求書発行事業者)の登録をしない事業者が相当数います。登録をしないと消費税が請求できないというのに・・・

◆インボイス(適格請求書)を発行する必要がない

インボイスは事業者間取引に際して販売側事業者から購入側事業者に交付する帳票ですので、事業者ではない一般個人相手の事業者(典型は小売店、飲食店、各種教室)はインボイスの登録をする必要がありません。

だたし、ごくわずかでも顧客に事業者がいる場合にはインボイスを要求されますので登録を検討してみなければなりません。

◆間もなく廃業する

今年の10月1日を待たずして廃業する場合はインボイスの登録をする必要はありません。

◆手間がかかりそう(自分には無理)

インボイスと聞くとなんだか特殊なもののように思われますが、インボイスは従来の請求書に「消費税額を明記」して「登録番号を記載」したものに過ぎません。従来の「請求書フォーム」に消費税額を記載する欄があるのであれば、あとは登録番号を書き加えればよいだけです。登録番号は「手書き」でもかまいません。

「会計ソフトのバージョンアップ」も不要です。事業者がインボイスを発行することと、会計ソフトを使って税務署に納付する消費税額を計算すること(消費税の申告書を作成すること)は別であるからです。

◆申請方法がわからない

インボイスの申請は税務署に行って教えてもらいながらすることです。申請手続は30分程度で済みます。申請をしてしばらくすれば税務署から登録が済んだ旨の通知書が送られてきます。それには「登録番号」が記載されており、「適格請求書発行事業者公表サイト」に登録番号を入力すれば自身が登録され公表されていることを確認できます。

◆制度が機能すると思えない

インボイス制度は対税務署(申告時に仕入税額控除をする)と対顧客(インボイスを発行して消費税を請求する)に分けて考えなければなりません。

税務署はすべての納税者に税務調査を行えませんので、インボイスなしに仕入税額控除をしていてもばれないこともあります。しかし、すべての顧客(一般個人は除く)はインボイスを要求します。すでに悪戯な顧客は、虎視眈々と「便乗値下げ」を狙っていることでしょう。

◆消費税の申告をしなければならない

確かに、これが大変です。すでに税理士に依頼している場合はともかくとして、自身で申告をしている場合は消費税の申告には対応できないかもしれません。特に個人事業者の場合は所得税の確定申告と同時期に消費税の申告をしなければなりませんので、税務署に相談しようとしても税務署は大変混雑していることでしょう。かといって、放置しておくわけにもいきません。

自身で申告をしている場合、しばらくは税理士に依頼するのが賢明だと思います。

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インボイス制度は延期すべきです!

2022-12-10 23:01:00 | 消費税
令和5年10月1日からのインボイス制度導入までもう1年もありません。そんな中、免税事業者がインボイス登録をして課税事業者となった場合、受け取った消費税の2割を税務署に納税すればよいという特例を設ける案が突如出現し、インボイス制度に対する混乱に拍車をかけています。

今や消費税率は10%で税収に占めるウエイトは所得税や法人税と並んでいます。消費税率は今後も上昇することでしょう。消費税を負担するのは消費者である国民です。この国民が負担した消費税は事業者を通して国へ納められなければなりません。この消費税納税の正確性を確保するのがインボイス制度にほかなりません。インボイス制度は最終消費者が負担した消費税が漏れなく国に納税されるための「インフラ」です。

事業者のインボイス制度に対する理解は乏しく、来年10月からの導入は明らかに無理です。このような状況で様々な特例(例外、特別扱い、場合によっては抜け道)を設けてインボイス制度がスタートされようとしています。これでは、国民が負担した消費税を正確に国に納税するシステムが十分機能しません。広く国民の消費に税負担を求めるという消費税の趣旨に反しています。

インボイス制度は延期すべきです。ただし、中止をしてはいけません。

★事業者間では必ず消費税を受け払いする
★免税事業者と簡易課税は廃止する(近い将来)

消費税は国民が商品購入やサービスを受ける際に負担した税金です。事業者はそれを「預かっている」にすぎません。事業者はその預かった消費税を仕入や諸経費を支払う際、その支払先に「再び預ける」のです。そして、残った消費税は税務署に納めます。消費税は事業者を「通過するだけ」です。

事業者はインボイスを発行できる支払先には、安心して消費税を預けることができます。なぜならば、インボイスを発行できる事業者であれば税務署に消費税を納税するからです。これがインボイス制度の存在意義です。

延長期間中、これを事業者に認識させることです。そして、延長期間後のインボイス制度導入後は「原則どおり」「厳格に」制度運用をしなければなりません。

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インボイス制度が見直される模様

2022-12-10 23:00:00 | 消費税
年末の慌ただしい時期に、慌ただしさに拍車をかけるような情報が飛び込んできました。インボイス制度の見直しです。免税事業者(年間売上1000万円以下)がインボイスを発行できる適格請求書発行事業者となって、税務署に消費税を納めなければならない課税事業者になった場合の「特例」です。

受け取った消費税の「2割」を税務署に納めればいいという特例(例外、特別扱い)が設けられるようです(予定です!)。

年間売上500万円
同上の消費税50万円

この場合、50万円の2割である10万円を税務署に納めればいいということです。

◆事業者が税務署に納める消費税は次のようにして計算します

受け取った消費税(売上)-支払った消費税(仕入や諸経費)

◆年間売上が5000万円以下の事業者は上記の方法に替えて「簡易課税」が選択できます

簡易課税では「支払った消費税(仕入や諸経費)」について一定のみなし仕入率による「みなし計算」をします。その率は業種によって定められています。

◆消費税の新たな計算方法が突如出現!

「2割の特例」は、ただでさえ理解しにくい消費税の計算方法をさらにややこしくしています。インボイス制度について、今まさに決断しようとしている免税事業者にとっては、振出しに戻された心境でしょう。

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★2割の根拠(免税事業者の消費税率は2%ということなのか)?

「2割の特例」の2割の根拠はなんなのでしょうね?

簡易課税のみなし仕入率にはそれなりの合理性があります。仕入がある卸売業や小売業は「支払った消費税(仕入や諸経費)」が多くなるのでサービス業よりもみなし仕入率は高くなっています。

もしかして、免税事業者はインボイスを発行できる適格請求書発行事業者になっても、消費税を2%しか請求できないということでしょうか?

2%は10%の2割です。そんなはずはないですよね。

混乱は必至です。

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インボイス制度導入が延期になったら!

2022-11-03 11:50:00 | 消費税
令和5年10月1日から導入されるインボイス制度、特定の業界や団体から延期を求める声が出ています。当然だと思います。世間のインボイスに対する認知は極めて低く、あと1年で制度が円滑に運用されるようなレベルに達するとは到底思えません。また、制度スタートの令和5年10月1日からインボイスが発行できる適格請求書発行事業者の登録期限は来年3月31日までです。おそらく、期限までに登録をしない事業者が続出すると思います。

もし、インボイス制度の導入が延期になった場合はどうなるのでしょうか?

◆すでに登録している事業者の扱い

インボイスが発行できる適格請求書発行事業者の登録は令和3年10月1日から始まっており、すでに登録を済ませた事業者もいます。登録をした事業者には「登録番号」が付与されるとともに国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で登録番号のほか会社名と所在地などが公表されます。

この登録は延期になっても、当然そのままでしょう。そうでないと困ります。もう一度登録をするというのは官民ともに大変な無駄です。

◆登録とともに簡易課税の申請をしている場合

免税事業者であれば、適格請求書発行事業者の登録とともに簡易課税の申請をしているケースがあると思います。当然、この簡易課税の申請もインボイス制度が延期になってもそのままでしょう。

◆延期により変更となる事項

これが最大の関心事でしょう。

「一定金額以下の取引はインボイスが不要」

「免税事業者からの仕入についてインボイスがなくても一定額が仕入税額控除できる経過措置の見直し」

このあたりを何とかしてほしいところですが、おそらく無理だと思います。

◆中止の可能性

ほとんどないと思います。ですから、もし延期になったとしても中止を期待せず、延期された期間内にインボイス制度に対する理解を深め、適格請求書発行事業者の登録が必要と判断された場合には期限内に登録をすることです。

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インボイスの抜け道はありません

2022-11-03 11:45:00 | 消費税
インボイスの抜け道、「インボイスが必要とされる取引」において「インボイスを発行することができない免税事業者」が消費税を受け取る方法はありません。しかし、得意先が次のような特定の状況にある場合には、免税事業者であっても消費税を受け取ることは可能です。なぜならば、「インボイスが不要」だからです。

インボイス制度導入後は、適格請求書発行事業者の登録をした事業者でなければその請求書に消費税額を記載することができません(この請求書をインボイスといいます)。免税事業者も適格請求書発行事業者の登録を受けることができますが、登録をすると免税事業者でなくなってしまいます。

◆得意先が免税事業者(売上が1000万円以下)

得意先の売上が1000万円以下で消費税の免税事業者であれば、制度導入前と同じ様式の請求書(適格請求書発行事業者の登録番号が記載されていない)であっても得意先に不都合は生じません。インボイスは消費税の申告に際しての仕入税額控除の計算に必要であることから、消費税の申告が不要な免税事業者はインボイスを入手する必要はないからです。

しかし、インボイス制度導入後、ほとんどの免税事業者は適格請求書発行事業者の登録をして消費税の申告納税をするようになります(課税事業者になります)。ですから、免税事業者の得意先は激減します。制度導入後も免税事業者のままでいるのは、インボイスを発行する必要がない(顧客が一般個人である)小売店、飲食店、各種教室、美容院などに限定されます。

◆得意先が免税事業者(非課税の事業のみをしている)

得意先が「消費税は非課税」の事業のみをしていることから消費税の免税事業者である場合もインボイスは不要です。その典型は住宅貸付です。

◆得意先が簡易課税を適用している

得意先が消費税の課税事業者であっても、簡易課税を適用して申告をしている場合にはインボイスは不要です。簡易課税においては仕入税額控除をインボイスから計算するのではなく、売上に対する一定割合でみなし計算をするからです。

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★得意先が「免税事業者である」「簡易課税で申告をしている」ことを知ることはできない

自身が「免税事業者である」「簡易課税で申告をしている」ことを取引先に明かす事業者はまずはいないと思います(当然義務はありません)。ですから、インボイス制度導入後は、免税事業者はすべての得意先に対して請求書に消費税を記載しないという方法に統一しなければなりません。

★得意先が無知

ありうるかもしれませんね(笑)。現時点におけるインボイス制度に対する認知度からすれば、来年10月1日になってもインボイスに無知な事業者は相当数いることが考えられます。

しかし、後になってからインボイスを要求されることも考えられますので、得意先がインボイスを要求しないからといっても油断は禁物です。

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