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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

インボイス制度はじまる

2023-10-14 19:00:00 | 消費税
令和5(2023)年10月1日、ついにインボイス制度がはじまりました。コンビニのレシートには登録番号が記載され、コインパーキングには「インボイス対応」ののぼりが立てられて新しい時代の幕開けを予感させられました。

◆消費税が記載されているが登録番号が記載されていない

やっぱりね(笑)!

当分はこのような請求書や領収書が多発されるでしょう。

「インボイスの登録をしたけれども登録番号を記載することを知らない」
「登録をしていないけれども従来どおり消費税を請求する(強気で!インボイス制度反対!)」

いずれかでしょうが、請求書や領収書を受け取るとき、直ちに指摘するしかありません。

◆インボイスってなんですか?

今後こういう人はビジネスの世界から排除されても仕方がありません。今でも「印紙」や「源泉徴収」を知らなければビジネスの世界では相手にされません。間もなく、これにインボイスが筆頭として加わります。

◆ふるさと納税が変わった?

インボイス制度導入を控えた9月下旬、にわかにふるさと納税に関する相談が増えました。10月からの「値上げ」を前に駆け込みで寄付をするので「限度額」を教えてほしいという相談です。

値上げは仕方がないとして、その時期はインボイス制度開始とはずらしてほしいと思いました。

◆電子帳簿とインボイス

電子帳簿とインボイスを混同している人がいて、インボイス制度開始と同時に電子帳簿も導入しないといけないと思っています。確かに、一部の業者が誤認するような広告をしていますが電子帳簿とインボイスはまったく別物です。

なお、「電子取引」に関する記録の保存は来年1月から「義務化」されます。これも大変です。インボイス以上に制度に対する正確な認識は進んでいません。どうなることやら・・・

◆年収の壁

もう勘弁してほしいです!

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★インボイスは漏れなく発行し偽インボイスは徹底して排除する(相互牽制による自浄作用に期待)

「インボイスの登録をした事業者は必ずインボイスを発行する」
「登録をしていない事業者は請求書や領収書に消費税を記載しない」

このことをビジネスの当事者は指摘し合わなければなりません。この「相互牽制」による「自浄作用」なくしてインボイス制度は定着しません。インボイスは漏れなく発行し、偽インボイスは徹底して排除しなければインボイス制度は機能しないのです。

お互いに厳しくいきましょう!

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10月1日からどうすればよいのか?(その2)

2023-09-22 17:15:00 | 消費税
「免税事業者なのでインボイスの登録もしなかった・・・」

当然、このような事業者は請求に際してインボイスを発行する必要もありませんし、仕入税額控除をするためにインボイスを入手する必要もありません。しかし、得意先との価格交渉において荒波を被るのはこのような事業者であるといわれています。

◆10月1日からは請求書に消費税を記載できない

インボイス登録をしていない事業者は、10月1日以降は請求書に消費税を記載することはできません。もし、消費税を記載しようものなら、相手先から「貴社(貴方)は登録をしていないので(登録番号がないので)請求書に消費税を記載しないでください」といって請求書の書き直しを求められます。

◆税込請求の場合も消費税相当額を減額される恐れが

インボイス制度導入前と同一商品あるいは同一サービスであれば、10月1日以降は消費税相当額を減額される恐れがあります。なぜならば、得意先はインボイス登録をしていない支払先に対する消費税相当額を税務署に納める消費税から差し引くことができないからです。

10月1日からの新商品、新サービスであれば税込で交渉をすればよいのですが、当然相手はインボイス登録をしている業者の類似商品やサービスの「本体価格」と比較してくるでしょうから、希望している価格よりも減額される恐れはあります。

◆得意先によっては価格を段階的に引き下げてくる場合も

「仕入税額控除」には経過処置があって、10月1日からいきなりインボイス登録をしていない支払先に対する消費税相当額の全額が控除できなくなるのではなく、3年間は80%、次の3年間は50%はという具合に段階的に引き下げられます。

「良心的な」得意先であればこの経過措置に対応させて、段階的に価格の引き下げ要求をしてくるケースもあります。

◆得意先によっては値下げを要求しない場合も

これは「個別的な関係」によるのですが、得意先によってはインボイス登録をしていなくても値下げを要求してこないことも考えなれます。「貴社(貴方)とは消費税の負担が増えても(仕入税額控除が減っても)関係を維持したい!」というケースです。

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★インボイス登録は消費税制度への「加入手続」

事業者は販売代金に上乗せして消費税を預かり、仕入代金や諸経費を支払った際に支払った(預けた)消費税を差し引いて税務署に納めます。わが国に消費税が導入されて30年以上が経過し、この消費税の仕組みはすっかり社会に定着しています。いまや消費税率は10%となり今後さらなる税率アップも考えられる現状において、消費税制度の重要性は高まる一方です。

インボイス登録をしている事業者(税務署に消費税を納めている事業者)はインボイス登録をしていない事業者に消費税を支払うわけにはいきません。インボイス登録をしていない事業者は税務署に消費税を納めていないからです。消費税制度という仕組みに「加入」していないからです。

インボイス登録をしていない事業者が販売代金に消費税を上乗せできないのは当然のことです。「やはり登録しておくべきだった・・・」と考えている事業者は今からでも遅くはありません。今なら、「すみません!登録の手続が遅れてしまって」で許されると思います。

「消費税制度への加入」、今後のビジネスにおいては必須です。

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10月1日からどうすればよいのか?

2023-09-16 17:55:00 | 消費税
10月1日からの請求書の発行、つまり消費税の請求に関しての対策は万全の事業者がほとんどだと思います。しかし、請求書を受け取る、つまり消費税を支払うということに関してはスタンスが明確でない事業者が多いのではないでしょうか。

10月1日以降、予期してなかったパターンの請求書を受け取ることが必ずあります。そして、「支払額をどうするか」について非常に悩むでしょう。

【1】消費税額は記載されているが登録番号が記載されていない請求書

登録番号の記載漏れであれば登録番号が記載された請求書を発行してもらう必要があります。相手先がインボイスの登録をしていないのであれば、消費税額を記載しない請求書を発行してもらわなければなりません。

【2】登録番号は記載されているが消費税額が記載されていない請求書

無知としかいいようがありません。インボイスは消費税額を記載すること(いわゆる税込での請求は不可)、登録番号を記載することが要件です。金額を「本体+消費税」となるような請求書を発行してもらう必要があります。

【3】税込から税別に変わった請求書(登録番号は記載されている)

従来は税込で請求をしていた事業者がインボイスの登録をした場合はこのように変更してきます。

【4】請求額が税込に変わった請求書

インボイスの登録をしなかった事業者であれば請求書の様式をこのように変更します。

【5】従来どおり税込の請求書

従来から税込で請求しておりインボイスの登録をしなかった事業者は請求書の様式も変わりません。

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★ところで金額は?

上記の5つのパターン、金額を度外視すればすんなりと理解できますが、金額を当てはめてみるとそう簡単に結論は出ないと思います。

【3】税込から税別に変わった請求書(登録番号は記載されている)
従来は120
10月1日以降は110(本体)+11(税)=合計121→値上げ?

【4】請求額が税込に変わった請求書(相手先はインボイスの登録をしていない)
従来は100(本体)+10(税)
10月1日以降は110→100では?

【5】従来どおり税込の請求書(相手先はインボイスの登録をしていない)
従来は110
10月1日以降も110→100では?

★登録をしていない事業者に対するクールなスタンス

インボイスの登録をしていない事業者は消費税を請求できない
今まで請求していた事業者は請求書に消費税を記載してはいけない(本体価格は不変)
今まで税込で請求していた事業者は消費税相当額を減額しなければならない

このようにしなければ消費税というシステムが正常に機能しない
「小規模事業者は!」、それは甘えに過ぎない(誰もが耐えているんだ!)

インボイス制度の厳格な運用なくして我が国の存続と発展はありえない!
インボイス制度を非難する者は退場せよ!

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10月1日までに何をすればよいのか?(その2)

2023-08-26 18:31:00 | 消費税
「インボイスの登録をしたので大丈夫」と高をくくってはいませんか?

10月1日になれば、ビジネス(商取引)の現場で予期していなかった事態が多発すること必至です。

◆これはインボイスではない!

誰もが、インボイスを発行するのも、インボイスを受け取るのも初めてです。このような状況においては、インボイスに対するイメージは十人十色です。

「これはインボイスではない!」

「言ったり」「言われたり」がしばらくは続くでしょう。

◆インボイスには「インボイス」と記載するべきか?

法律上はインボイスに「インボイス」と記載しなければならないという決まりはありません。適格請求書(インボイス法律上の名称)と記載する必要もありません。インボイスは、「適格請求書発行事業者の登録」をした事業者が発行する「一定の要件」を満たした請求書のことなのです。

◆インボイスに記載された登録番号が間違っている

「適法に作成されたインボイスがなければ仕入税額控除ができない」、つまり「誤りのあるインボイスに対して消費税を支払うと損をする」と過敏になっている人もいます。

インボイスを発行するに際してこのミスだけは絶対にしてはいけません。

◆一般消費者からの質問

「この店はインボイスの登録をしているのですか?」
「税務署に消費税を納めていないのであれば消費税を取らないでください」

インボイスとは「無関係」な一般消費者からこのような質問も予想されます。これに備えるべく一般消費者に対しても登録番号を知らせるのが望まれます。

◆敵は税務署にあらず!

「インボイスがなければ仕入税額控除ができない」
「インボイスがなければ税務調査で大変な目にある」

インボイスが重要であることは確かです。しかし、税務調査においては「インボイスという形式」だけでなく、支払先が実際にインボイスの登録をしていることも重要視されます。インボイスの記載に「軽微なミス」があっても救済はされるでしょう。

◆インボイス制度の趣旨を簡単にいえば

「消費税を請求したければ税務署に登録をする」
「預かった消費税は税務署に納める」
「預かった消費税からは支払った消費税を差し引ける」
「消費税を支払う先は税務署に消費税を納める者でなければならない」

責任をもって消費税を預かり、それを税務署に納める。ただし、預かった消費税の一部は他の事業者を経由して税務署に納める。このプロセスへの参加者が不正をできないようにするのがインボイス制度です。インボイス制度においては、消費税を受け取りながら税務署に納めないという不正ができないのです。

◆各種特例による混乱

インボイスに関してはいくつかの特例があります。その特例はいずれも難解で、一般人にはそう簡単には理解できないものです。

「特例があるから!」、混乱は必至です。

インボイス制度において一番怖いのはこの特例です。特例はインボイス制度の趣旨と反します。理論的な説明ができません。しかし、特例は合法です。

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10月1日までに何をすればよいのか?

2023-08-26 18:30:00 | 消費税
とうとうインボイス制度が始まってしまいます。コロナによる行動制限が解除され、目に見えて人流が活発化し世の中が明るくなりかけたその矢先、「せめてあと1年、できれば3年」といいたいですが見切り発車されます。

◆登録されていますか?(公表サイトで確認を!)

インボイスは税務署に所定の届け(登録手続)をした事業者しか発行することができません。インボイス制度開始後は登録をした事業者しか販売に際して消費税を請求することができないのです。

登録されている場合は、「国税庁の」適格請求書発行事業者公表サイトで「名称(社名)」「所在地」などが公表されます。

◆登録番号を忘れた!

今さら何を言っているんですか!!

登録番号というのはTと法人番号です。

法人番号は株式会社など(法人)に対して国税庁が付与する13桁の番号です。申請によらずして付与される番号です。この法人番号は「国税庁の」法人番号公表サイトに社名や所在地を入力すれば誰でも検索することができます(個人のマイナンバーのように秘密事項ではありません)。

「どうして、当社が登録している(あるいはしていない)ことがわかるのですか?」ではどうにもなりません。今ごろになってこのあたりが理解できていないのであれば、インボイス制度開始後は「もみくちゃ」にされることを覚悟しておいてください。

◆通知書を紛失した(個人の場合は大変なことに)

インボイスの登録が済むと税務署が通知書を発行してくれます。当然、通知書には登録番号が記載されています。

個人でインボイス登録としている場合、この通知書を紛失すると大変なことになります。登録番号を控えていなかった場合は登録番号がわからないからです。通知書を紛失し登録番号がわからない人は税務署に連絡してください。

◆社名や所在地を変更した

手続をしないと変更前の社名や所在地のままです。

◆個人事業者の屋号や事業所所在地をサイトで公表したい

特別に希望しなければ公表されませんので、公表したい場合は所定の手続をしなければなりません。

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