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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

会社の経理と法律

2013-05-12 12:15:00 | 経理業務(帳簿の作成)
会社が行っている経理(会計)には次のような法律が背後にあり、それに従って経理を行う必要があります。

●会社法431条・432条・435条など
会社法とは会社の設立・運営(株主総会、取締役など)・資金調達(株式や社債の発行など)などに関する事項を定めた法律です。その中で決算や記帳に関しての規定を置いています。会社に決算や記帳が必要なのは、株主への配当や債権者との利害調整をするには会社運営に関する諸数値が必要不可欠であるからです。

●法人税法22条など
法人税とは会社などの法人の所得に課税される税金で、その納税義務者や課税方法などは法人税法で定められています。法人税法では、法人税は上記会社法で定める経理方法で計算した利益に課税するとしています。あらゆる税金は世の中における事象や物などを課税の対象としていますが、法人税は会社の活動の結果獲得した利益を課税の対象としているのです。

上記の条文は下記の法務省のサイトで読むことができます。

http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi

いずれの条文も専門用語が用いられていますが、全く意味不明ということはありませんので、ご一読をおすすめいたします。

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★法律で経理の全てを定めることはできない
経理は会社のあらゆる行動の内金銭で測れるものを対象としていることから、それらのパターンは無限に考えられます。ですから、法律で全てを定めることはできないのです。だからといって、法律に定めがない場合には「自身に都合のよいように好き勝手にしてよい」という訳ではありません。「法律の趣旨」「社会正義」「慣習」「常識」などから総合的に判断しなければならないのです。

★まずは法律が要求する事項(事務手続)とそのスケジュールを認識する
これが大切です。事業年度終了後2か月以内に法人税の申告はしなければなりません。法人税は利益に課税されますので、利益を計算するための決算を済ませなければなりません。この決算を確定するのは株主総会です。

【経理作業の効率化】あらゆる入出金(収益と費用)が預金口座を通るようにする

2013-05-01 09:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
あらゆる入出金(収益と費用)が預金口座を通るようにしておけば経理作業を大変スムーズに行うことができます。預金通帳の表示順に仕訳をして会計ソフトに入力すればよいのです。この方法の最大のメリットは仕訳の漏れや金額誤りがなくなるということです。もし、漏れや金額誤りがあれば預金通帳と預金出納帳(総勘定元帳の預金勘定)の残高が一致しなくなります。その場合には、どこで残高が違ったかを突き止め、その直前の仕訳を再検討すれば済みます。

●何が事業の入出金か?
当然ですがこれが重要です。どんぶり勘定ではいけないのです。この件については、簿記会計という専門分野の問題ではありません。経営者としてのモラルの問題です。「私は簿記会計に関しては素人なので・・・」という言い訳は通用しません。

●現金(硬貨と紙幣)での代金回収
これについては速やかに(遅くとも翌朝には)預金口座に入金するようにしてください。

●小口の支払いのために常に現金(硬貨と紙幣)を保有しておきたい
まず預金口座から引き出した額を正確に記録します。そして、領収書などを手掛かりに個々の出金額を記録します。そうすれば、現時点での現金残高が計算できます。その残高が実際の現金(硬貨と紙幣の合計額)と一致すれば記録は正しいということです。

●発生主義との関連
簿記会計では発生主義といって、入出金に先立って収益や費用を把握する局面が多々あります(原則といってよいかもしれません)。ですから、上記のような入出金記録だけでは不十分です。しかし、入出金に先立って把握された収益と費用もいずれは入出金記録として把握されますので、入出金記録から遡ることによって処理漏れや金額誤りなどのミスを発見できるのです。

●入出金=収益・費用ではない
そのとおりです。簿記会計はそんなに単純ではありません。これについては、個々の入出金の処理方法(仕訳や勘定科目など)を覚えるしかありません。「資産となる出金」「負債となる入金」「費用と資産に分かれる出金」「収益と負債に分かれる入金」など、パターンは様々です。

簿記会計のどこでつまずくのか?

2013-04-25 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
簿記会計を苦手とする人は多いです。特に必要に迫られて習得しなければならない人にとっては苦痛でしかありません。簿記会計でつまずく局面はいくつかあり、その局面ごとに疑問点をクリアーしていく必要があります。

●記録の対象

仕訳(借方と貸方)よりも、これでつまずく人のほうが圧倒的に多いように思います。簿記とは帳簿に記録(記帳)をする技術ですので、まずは記録の対象を明確に理解しておく必要があります。記録の対象となるのは企業(会社や個人事業者など)の資金の動きです。これを記録することによって、一定期間の資金の増減や一定時点の資金の残高を把握するのが簿記の目的です。

特につまずくのが「企業」の資金です。ここでは企業を会社や個人事業者などの営利企業と考えます。そうすると資金の動きは、「買う(仕入れる、経費を使うなど)」「売る」「借りる」「返す」「貸す」「回収する」といった具合に分類できます。記録の対象はこれら全てです。

●記録する視点(立場)

これも常に気をつけておく必要があります。企業の記録ですので、「買う(仕入れる、経費を使うなど)」「売る」「借りる」「返す」「貸す」「回収する」も企業の視点から把握しなければなりません。記録の対象となる企業にとって「買う」はその相手先にとっては「売る」ですが、その企業の記録上は「買う」として把握しなければなりません。「売る」「借りる」「返す」「貸す」「回収する」も同じように考えます。

●発生主義という概念

資金が動いていないのに記録をしなければならない場合が多々あります。これを「発生主義」といいます。簿記の重要な目的のひとつは正確で理論的な利益の計算をすることにあります。利益は収益マイナス費用として計算されますが、利益計算は一定期間で行いますので資金の動きを待ってから記録していると正確な利益計算はできない場合もあります。

例えば、代金は支払い済みの商品(すでに費用としての記録をしている)を販売したけれども、販売代金が未回収だからといって収益としての記録をしないとすれば正確な利益計算とはなりません(収益と費用が対応しません)。

●仕訳(借方と貸方)

そうはいっても、これが最大の難関です。

複式簿記の最終目的は、損益計算書(利益=収益-費用)と貸借対照表(資産=負債+資本)を作成することですので、個々の取引(資金の動き)を「収益」「費用」「資産」「負債」「資本」の各項目(勘定科目)分類し集計しなければならないのです。

●「願望」が邪魔をする

簿記会計を習得しなければならない人の中には、具体的な目的がすでにある人もいると思います。節税をしたい(利益を減らす方法を知りたい)、金融機関からの融資の引出しを有利に進めたい。簿記会計の知識がゼロの人が、短期間でこの域になるのは不可能です。あせらずに、純粋な気持ちで学んでください。

現金勘定のマイナスを解消させる仕訳

2013-04-18 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
現金勘定(紙幣と硬貨)がマイナスということはあり得ませんので、マイナスになっている場合には原因を解明してしかるべき仕訳をしなければなりません。

●預金からの引き出しを処理していない
会計ソフトの導入初年度で、まずは経費の現金払いを入力した場合には現金勘定がマイナスになります。次は預金勘定を入力し、預金から引き出した分(紙幣と硬貨にした分)を現金勘定で受け入れます。

●経費の二重記帳
経費の二重記帳をしている場合も現金勘定がマイナスになります。例えば、「領収書だけでなくその領収書の請求書も入力している」「預金口座から支払った分も現金勘定で処理している」などの場合です。(必ずマイナスになるわけではありませんが、この金額が現金残高を超える場合にはマイナスになります)。

●社長の個人出費の混入(社長個人の財布で支払った出費)
会社の現金から支払っていないのですから、これが会社の経理に混入してしまうと帳簿上の出金が過大になり現金勘定がマイナスになってしまいます。(必ずマイナスになるわけではありませんが、この金額が現金残高を超える場合にはマイナスになります。)

●社長からの借入金
会社の資金が不足する際に、社長個人の資金から会社に入金した処理ができていない場合には現金勘定がマイナスになります。(必ずマイナスになるわけではありませんが、この金額が現金残高を超える場合にはマイナスになります。)

●現金での売上代金回収の記帳漏れ
売上代金を現金で回収した処理をしていない場合も現金勘定はマイナスになります。また、現金を通っていない現金回収を預金に預け入れる処理をしてはいるけれども、その相手勘定を現金にしている場合もマイナスになります。(いずれも、必ずマイナスになるわけではありませんが、この金額が現金残高を超える場合にはマイナスになります)

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★現金と預金を区別する理由
複式簿記では現金と預金を区別します。性質も違い管理の区分も違うからです。複式簿記では、性質と管理区分が同じものを勘定科目(補助科目)として分類するのです。

帳簿の種類(事業活動との関連、帳簿の相互関連)

2013-04-16 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
事業者(会社および個人事業者)が最低限揃えなければならない帳簿は次のとおりです(帳簿の名称は弥生会計13によっています)。

売掛帳
買掛帳
現金出納帳
預金出納帳
仕訳日記帳(振替伝票、入金伝票、出金伝票)
総勘定元帳(補助元帳)

事業活動の結果として貨幣で測定された事象の「全て」はこれらの帳簿のどこかに記録されます。そして、その記録が決算書(貸借対照表と損益計算書)の基礎データとなるのです。

●売掛帳
販売の記録です。「いつ」「だれに」「何を」「いくらで」売り、代金を「いつ」回収したかを記録する帳簿です。

●買掛帳
仕入の記録です。「いつ」「だれから」「何を」「いくらで」買い、代金を「いつ」支払ったかを記録する帳簿です。

●現金出納帳
事業上保有している現金(硬貨と紙幣)の増減(日付、金額、内容)と結果としての残高を記録する帳簿です。事業活動の結果の多くは現金の動きとして表れますので、この帳簿を正確に作成することは非常に重要なことです。

●預金出納帳
金融機関に開設している預金口座の増減(日付、金額、内容)と結果としての残高を記録する帳簿です。現代社会において預金口座を利用しない事業などまずはありません。事業活動の結果である貨幣の動きのほとんどは預金口座で生じますので、この帳簿を正確に作成することは非常に重要なことです。

●仕訳日記帳(振替伝票、入金伝票、出金伝票)
日々の取引(現金や預金の増減など)を発生順にすべて記録する帳簿をいいます。なお、帳簿形式ではなく振替伝票、入金伝票、出金伝票の綴りを仕訳日記帳として用いる場合もあります。

●総勘定元帳(補助元帳)
勘定(勘定科目)とは、個々の取引(現金や預金の増減など)をその性質によって分類する単位のことです。総勘定元帳はその単位ごとの帳簿です。なお、総勘定元帳をさらに細分化したものを補助元帳といいます。

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★事業活動との関連
仕入れる(買掛帳)、売る(売掛帳)、資金を動かす(現金出納帳と預金出納帳)といった具合に、事業活動の結果のうち貨幣で測定される事象の全てが記録されることになります。

★各帳簿の相互関連
各帳簿は相互に関連します。例えば、売掛帳の「代金をいつ回収したか」は現金出納帳や預金出納帳の増加の記録と関連(一致)します。また、売掛帳、買掛帳、現金出納帳、預金出納帳の個々の記録は、必ず仕訳日記帳と総勘定元帳にも記録されています。

★作成に複式簿記の知識を要する帳簿
仕訳日記帳と総勘定元帳は複式簿記の知識がなければ(あるいは複式簿記に精通した人の指導がなければ)作成することはできません。