goo blog サービス終了のお知らせ 

【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

会社の税務申告に必要な資料(決算書+・・・)

2013-07-08 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
会社の税務申告には次の資料が必要です。

■税務署などに提出する書類

会社の税金は利益に対して課税されます。いわゆる法人税です。会社の税務申告は納税者による申告制ですので、利益の状況とそれに対する税額を計算した書類を事業年度ごとに「税務署(国)」「都道府県」「市町村」へ提出します。提出するのは税務申告書と決算書です。税務申告書は各役所が所定の様式を用意しており空欄に必要事項を記入します。税務申告書は税務申告が必要な時期になると各役所から郵送されてきます。都道府県と市町村の税務申告書は国(税務署)に提出する申告書の計算結果を受けて作成するという仕組みになっています。決算書は法律で定められた様式を納税者が作成し、税務署にのみ提出します。

会社によっては消費税の申告も必要ですが、消費税の申告は税務署に法人税の申告と一緒にします。

■提出は不要であるが提出書類の基礎となる資料

会社の税務申告書は申告内容にもよりますが、決算書も含めて100枚以内で収まる会社がほとんどです。しかし、提出書類は帳簿や領収書などの基礎資料の積み上げによって作成しなければなりません。また、申告制ゆえに、事後的に役所が提出された税務申告書と基礎資料のチェックを行います。このチェックを会社に赴いて行うことを税務調査といいます。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

★会計ソフトでできること
会計ソフトで作成できるのは決算書とその基礎資料の一部である帳簿(総勘定元帳)です。申告書は作成できません(消費税の申告書が作成できるソフトは多いです)。また、帳簿を作成しているからといって領収書や預金通帳などの保存を省略することはできません。

経理内容を明瞭にすると損をする

2013-06-28 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
これには二つの違う意味があると思います。

■経理記録を一切残さない(隠す)

これはいけないことです。背後には脱税と犯罪があります。

ここで説明するのは次の意味です。

■経理内容を知らせる範囲を人によって変える

これは必要なことです。一般に中小零細企業が決算書を公表(提出)する相手は金融機関と税務署です。これは避けることができません。

「経理内容を公表すべきか?」「公表するとすればどの範囲にすべきか?」に関して悩むのは次の場合です。

★重要な取引先(金融機関以外)

重要な取引先、つまり会社の方向や存亡を左右するような取引先から決算書の提出を求められる場合があります。「本当のことを知られたら・・・」と悩んでしまいます。しかし、今までこれといったトラブルもなく(支払いの遅れ、不良品などがない)、しかも誠実に付き合ってきた相手であれば気にする必要はありません。

相手がどこまでの情報を求めるかは状況によるでしょうが、金融機関や税務署よりも範囲が少ないことが一般的です。例えば、決算書のみで(貸借対照表と損益計算書だけで)、勘定科目明細書(内訳書)や税務申告書は不要といった具合です。

★従業員

これも大変悩む問題だと思います。確かに、「経理内容を公表することによって経営者と同じ目標と危機感を抱かせ・・・」は大切です。しかし、経理内容を知ることによって、「自身が到達すべき目標値(売上や利益)を勝手に決めてしまう」「経営内容が筒抜けになることによって不満が爆発する(もっと給料がもらえるはずだ!社長の給料が高すぎる!)」「経理内容が悪いので不安になる(最悪の場合は転職してしまう)」という「副作用」が大きいのも事実です。

一般には「全社の粗利(売上-仕入)」「個人別の売上」「販売を担当している商品の仕入値」あたりを公表していることが多いです。また、経理担当者には「口止め」をし、会計ソフトにはパスワードを設定しています。

★少数株主

中小零細企業の場合、全株主が「代表者とその家族」であることがほとんどですが、株主の中に「赤の他人」が若干混ざっている場合もあります。

この赤の他人である少数株主に対する経理内容の公表を上記の取引先や従業員と同じように考えて、ほとんどしていない、場合によっては全くしていないことがあります。しかし、少数株主には「会社法」に基づいた経理内容の公表は必要です。経理内容の公表は毎事業年度ごとに行う株主総会で行わなければなりません。

★名目上の役員

これも上記の少数株主と同じです。会社法のルールに従って経理内容を公表しなければなりません。

わが国では経理が苦手な者は事業がしにくい(事業をしてはいけない)?

2013-06-26 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
税務調査や金融機関の融資申込みで厳格な対応をされてこのようにつぶやく人がいます。しかし、このようなことをいってはいけません。「大人」のいうことではありませんよ!

あらゆる職業には一定の知識や技能が求められ、それを習得しなければその職業に就くことができません。事業も同じなのです。事業を行っていくには経理を避けて通ることはできません。経理を習得しなければ生きてゆけないのです。

以下、経理を習得する方法を紹介しておきます。

■独学で習得する
市販の書物を読むことが一般的かもしれませんが、最近ではネットを利用するという方法があります。独学は自由に学べるという利点がありますが、習得すべき範囲が偏ったり範囲を間違ったり、回り道をしてしまったりする恐れが大きいです。また、ネット上の誤った情報(ガセネタ)を信じてしまう恐れもあります。

■経理講座・教室に通う
費用と時間が必要かもしれませんが、一定水準に達するまでの内容が織り込まれていますので、最後までついていければ経理の知識と技能が一定水準に達するでしょう。

■経理に詳しい友人・知人に教えてもらう
いつでも気軽に教えてくれる人がいるのが理想です。しかし、そのような人に恵まれることは期待できません。特に経理に関しては、教えたことが誤解されて、それが後の税務調査や融資申込みで問題化するというリスクがありますので教える側も「非常に警戒」をします(経理経験が豊富な人ほどそうです)。

■会計ソフトのサポートを利用する
会計ソフトのサポートで教えてもらえるのは会計ソフトの導入や操作についてです。「仕訳」「決算」「申告」については教えてくれません。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

★経理は立ち止まることが許されません
「会社を設立して3年が経ちますが経理の知識もなかったので、一度も決算をしておりません・・・」という相談が非常に多いです。「遅すぎますよ!」「誰も助けてくれませんよ!」といいたくなります。経理は立ち止まることが許されないのです。立ち止まれば「必要資料も紛失します」「記憶も薄れます」。何よりも法律が定める期限が過ぎています。甘えは捨てて何とかするしかないのです。

経理業務(記帳、会計)の効用

2013-06-24 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
経理業務(記帳、会計)を「仕方なくしている」、経理業務には「費用と時間をかけたくない」という経営者が多いのが実情です。しかし、経理業務に一定の効用があることを認識し、企業経営の必須機能と考えている経営者が数多くいるのも事実です。

■書類や電子データの整理整頓が進む

書類や電子データは日々新たなものが発生します。これをタイムリーに整理整頓しておかなければ企業活動は停滞してしまいます。例えば、顧客からの注文のFAXや電子メールを放置し、それらの所在が不明ではどうにもなりません。

経理業務は書類や電子データを基礎としています。書類や電子データの内、金銭の動きに関連するものすべてが対象です。ひとつでも漏れれば正確な経理はできないのです。ですから、経理業務を適切に行えば書類や電子データの整理整頓が進むのです。

■自社を客観的に見ることができるようになる

経理業務の最終成果物のひとつである決算書(貸借対照表と損益計算書)は、経営者の勝手な尺度で作成するのではなく、会計基準という公正な尺度で作成しなければなりません。ですから、経営者が隠したいことも決算書にはそのまま表れます。株主や債権者その他(金融機関や取引先)は決算書で企業の素顔が知りたいのです。ありのままを知ることができなければ正しい判断はできないのです。

経理業務を適切に行い正しい決算書を作成していれば、経営者は自社を客観的に見ることができるようになるのです。客観的に見ることによってはじめて欠点を改善し成長していけるのです。

■企業は金銭的指標を高めなければ生き残れない

「粗利(売値マイナス仕入値)を上げる」「無駄な経費を減らす」、経営者ならば誰にいわれることなく金銭的指標を高めなければなりません。当然、真実の数値です。そのためには、地道に書類や電子データを整理整頓し経理業務を適切に行っておく必要があります。

個人事業者の経理と法律

2013-05-12 12:30:00 | 経理業務(帳簿の作成)
個人事業者が行っている経理(帳簿付けや儲けの計算)には次のような法律が背後にあり、それに従って経理を行う必要があります。

●商法19条など
商法とは商人(個人事業者)の営業、商行為その他商事に関して定めた法律です。その中で商業帳簿の作成を義務付けています。帳簿を作成していない商人とは安心して取引できないからこのように定めているのです。「信用」は資本主義社会の根本です。

●所得税法231条の2など
所得税とは個人の所得に課税される税金で、その納税義務者や課税方法などは所得税法で定められています。所得のひとつである事業所得は「収入(売上)-必要経費」として計算されますが、この計算は納税義務者が自ら作成する帳簿に基づいて計算します。そこで、所得税法では帳簿についての定めをしているのです。

上記の条文は下記の法務省のサイトで読むことができます。

http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi

いずれの条文も専門用語が用いられていますが、全く意味不明ということはありませんので、ご一読をおすすめいたします。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

★個人事業者の記帳は「適当!」でよい

このような迷信がありますがそんなことはありません。多くの個人事業者が零細で事務能力も低いので記帳の精度が低いだけです。

★所得税法が要求する記帳の水準が上がりました(平成26年から)

【国税庁サイト】「個人で事業を行っている方の帳簿の記載・記録の保存について」
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/kojin_jigyo/index.htm