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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

預金の出し入れの経理処理(仕訳と記帳)

2013-04-12 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
簡単なようで難しいのが預金取引の経理処理(仕訳と記帳)です。特に、預金の出し入れ(窓口やATMでの現金の入出金)の処理は間違ったり忘れたりすることが多いです。

●預金から現金を引き出した
とりあえず現金勘定で受け入れておきます。そうでないと預金勘定が合わないからです。その後の動きは現金勘定で記帳します。

●預金に現金を預けた
この処理が難しいです。相手勘定は現金かもしれませんが、いまだ現金として受け入れ処理していないもの(例えば売上代金の現金回収)がある場合には現金で受け入れることはできません。

●預金間の移動
この処理を忘れがちです。預金は預金口座ごとに記帳しますので、預金間で移動があった場合も記帳が必要なのです。

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★二重仕訳に注意!

預金取引に関して注意をしなければならないのは二重仕訳です。二重仕訳とは、同一取引を二重に仕訳してしまうことです。例えば、上記の「預金から現金を引き出した」の場合、この取引を預金(通帳の動き)と現金(紙幣や硬貨が動いた事実)の両方で認識して二重に処理をしてしまうというケースです。このような取引については、いずれから認識するかをあらかじめ決めておかないといけません。

二重仕訳をしてしまった場合、預金残、現金残とも間違った数値になってしまいます。「預金から現金を引き出した」でいえば、預金は実際よりも少なく(引出額相当)、現金は実際よりも多く(同じく引出額相当)なってしまいます。

★「預金を合わす」ということの意味

経理の世界では当たり前のように使われる言葉です。預金通帳の「全ての行」を仕訳して、結果として特定日の預金通帳の「残高」と帳簿(総勘定元帳、預金出納帳)の「残高」を一致させるという意味です。

当り前かもしれません。しかし、上記の「二重仕訳」が生じた場合にはパニック状態に陥ります。「どの仕訳が重複しているのか?」「仕訳を取り消す方法?」「会計ソフトのバグでは?」「仕訳を消すのが怖い!」となり、どうすればよいのかわからなくなります。

経理処理とは?(集計作業、損益計算書と貸借対照表の作成)

2012-09-27 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
経理作業のスタートは個々の入出金を仕訳することです。仕訳とは、「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」のいずれに該当するかを決めるとともに、特定の勘定科目に割り当てる作業です。勘定科目とは、「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」をさらに細分化した、試算表や決算書(貸借対照表・損益計算書)の構成要素です。仕訳は非常に大切ですが、仕訳はいわば素材や部品であり、これを加工や組み立てしないと経理作業のゴールである損益計算(収益-費用=利益の計算)と財産の把握(貸借対照表)にはたどり着きません。

■仕訳を勘定科目ごとに集計する(総勘定元帳)

仕訳は勘定科目ごとに集計しなければなりません。集計は「借方」「貸方」の別に行い、一定期間ごと(月や年度ごと)に「借方」「貸方」の差額としての「累計額」(収益・費用の場合)と「残高」(資産・負債・資本の場合)を算出します。この集計プロセスは総勘定元帳という帳簿で行われます。

■集計された勘定科目の配列作業(試算表)

集計された勘定科目は、「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」ごとに配列します。この作業は試算表と呼ばれる一覧形式の表で行われます。一定期間の仕訳の「借方」と「貸方」の合計額は必ず一致します。仕訳は借方と貸方が一致するように行うからです。試算表はこの一致を確かめるために作成するのです。また、損益計算書(収益・費用)と貸借対照表(資産・負債・資本)を作成する準備作業でもあります。

■決算書(損益計算書と貸借対照表)を作成する

試算表は決算書(損益計算書と貸借対照表)に直結しています。試算表では各勘定科目を収益・費用(損益計算書)と資産・負債・資本(貸借対照表)ごとに配列されており、それらを決算書に書き写せばよいからです。

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★集計作業は会計ソフトがしてくれますが・・・

上記の作業は仕訳さえ入力すれば、会計ソフトが自動的に行ってくれます。ただし、会計ソフトは間違った仕訳も間違ったまま集計します。会計ソフトは間違った仕訳を自動修正してくれないのです(ただし、借方金額と貸方金額の不一致は受け付けてくれません)。

特定の仕訳が決算書にどのような影響を及ぼすかを知らなければ、経理作業をしていても不安です。特定の入出金が利益(収益-費用)をどのように変動させるのかを知らなければ決算対策や節税対策はできません。今や会計ソフトで経理作業を行うのが普通になりましたが、やはり上記の作業のプロセスと仕組みは理解しておかなければならないのです。

経理処理とは?(個々の入出金の内容を検討し分類する)

2012-09-25 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
事業を始め経理作業着手しようと考えたとき、多くの人は何から手を付けてよいのかわからないものです。

●領収書さえ残しておけば
●預金通帳さえあれば
●税理士(経理に詳しい人)に丸投げ
●「△△さん(同業者)も何もしていないようなので・・・」放置しておく
●税務署が税務調査に来て勝手にやってくれるだろう

経理処理とは大変地道な作業で、一瞬のひらめきや決断では済ませることはできません。経理処理の原点は、「個々の入出金の内容を検討し分類する」ことなのです。

「得意先A社から入金があった」「預金利息が発生した」「事務所の家賃を家主に現金で直接渡した」「預金口座から携帯電話料金が引き落とされた」「得意先B社の社長と会食代を支払った」など、内容を検討し分類しなければならないのです。

■個々の入出金

「預金通帳の1行」「1枚の領収書」と考えてよいです。ただし、注意していただきたいのは、この1行や1枚が経理的には複数の要素から成り立っている場合もあるということです。その場合は1行や1枚の処理が分かれることになります。

■内容を検討する

検討する内容は多岐にわたります。「何時」「誰から(誰へ)」「いくら」「理由や目的」は当然として、「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」のいずれに該当するかも検討しなければなりません。そうでないと、経理処理のゴールである損益計算(収益-費用=利益の計算)と財産の把握(貸借対照表)にたどり着くことはできません。

■分類する(仕訳をする)

個々の入出金の検討が終わったならば、次は分類をします。分類とは、「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」のいずれに該当するかを決めるとともに、特定の勘定科目に割り当てなければなりません。勘定科目とは、「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」をさらに細分化した、試算表や決算書(貸借対照表・損益計算書)の構成要素です。

この作業を仕訳(しわけ)といいます。「借方」「貸方」、「振替伝票」というやつです。

■分類したデータを集計する

上記の個々の入出金の分類作業が正確に行われていれば、後の集計作業は会計ソフトが瞬時にしてくれます。会計ソフトの入力画面は「仕訳形式」になっており、入力をすれば試算表や決算書(貸借対照表・損益計算書)は自動的に作成されます。

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★対象となる入出金(公私混同はいけません!)

中小零細企業の場合、これが問題となります。代表者の個人的な資金が事業用資金に混入しやすいからです。

代表者は月に一度、生活費を引き出す以外は、事業用資金を個人的な(事業とは無関係な)理由で動かしてはいけない!

このような厳格さがなければ正しい経理処理はできません。