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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

定形化できる仕訳

2013-09-02 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
仕訳のパターン、というよりも仕訳の対象である経済取引は無限大にあり、しかも日々変化しています。ですから、仕訳の全てを定形化することはできません。しかし、仕訳の中には毎日・毎月といった頻度でいつも同じパターンで登場するもののあります。仕訳の基礎資料も勘定科目も常に同じというものです。

■定形化できる仕訳をリストアップする
定型化できる仕訳は業種や業態によって異なりますが、「売掛金計上と回収」「買掛金計上と支払い」「給与の支払い」などは定型化しやすいです。

■定形化できる仕訳は誰でもできるようにする
定型化の目的がこれであることはいうまでもありません。

■定形化の前提条件が変化した場合
定型化している条件が変化した場合には、定型化の内容を変える、場合によっては定型化の対象から除外する必要があります。

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★定型化はあらゆる業務の鉄則
定型化はあらゆる業務の鉄則で、定型化ができたからといって安心してはいけません。定型化するのは当り前なのです。

★定形化できない仕訳が会社の命運を決する
定型化するのは、定型化できない業務に費やす時間と労力を増やすためです。定型化できない仕訳への対応いかんが会社の命運を左右するといっても過言ではないからです。

人によって仕訳(経理処理)が違う

2013-08-30 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
人(経理担当者や会計事務所)によって仕訳(経理処理)が違い、最終的には利益(税額)が違うことを不可解に思い、それが経理や経理担当者(会計事務所)に対する不信感へとつながっている経営者がいます。しかし、同一の取引(金銭の増減をもたらす事象)に対する仕訳が複数考えられ、いずれも正しい場合が少なからずあります。

■勘定科目
勘定科目が人によって違うことは非常に多いです。勘定科目で大切なことは「資産」「負債」「資本」「費用」「収益」の区分で、勘定科目の名称は異なっていてもこの区分に正しく収まっていれば問題はありません。利益は変わらないからです。

■科目の属性
「費用か資産か」「収益か負債か」など、同一の取引であっても判断が分かれることがあります。この判断が違えば利益も違ってきます。

■見積方法
経理処理の金額の決定には見積りが伴うことがあります。見積りですので様々な仮説や不確定要素が混入するので結果は人によって違ってきます。

■法律の解釈
経理業務を規制する会社法と税法の適用にあたっては複数の解釈があることもあり、解釈によって計算が違ってきます。

■認識の時点
仕訳を認識する時点(仕訳をして決算数値に反映する事業年度)が人によって違うことがあります。

■重要性
重要性がない取引、つまり決算書に与える影響が小さい取引については、仕訳そのものをしないとか簡略な計算方法で仕訳をする場合があります。この重要性の判断は人によって違います。

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★大切なのは経営者の姿勢です!
「わが社はそんな目先の節税はしない」「そんな小手先の方法は使わない」といった具合に、経理処理の選択にあたっては経営者の信念と強烈なリーダーシップが大切となります。

経理業務を分解してみる

2013-08-02 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
経理業務といってもその内容は「金銭や預金の出し入れをする」「帳簿を付ける」「決算申告をする」「請求書を発行する」「給与計算をする」など様々です。経理業務は会社の金銭が動く全ての局面を対象としていますので、その範囲は非常に広いものです。事業内容も単純で規模も小さい間は経営者一人で経理業務の全てを行えますが、その段階を過ぎるとそうはいきません。「誰に何を任せるか」「各業務間の連携をどうするのか」、つまり、経理業務を分解しなければやっていけなくなります。

「仕入れて」「売る」が会社の生命線とでもいうべき活動です。その背後に販売代金を回収して仕入代金を支払うということがあります。販売や事務作業をしてくれる人の給料も支払わなければなりません。それから、事務所の家賃、水道光熱費、通信費なども支払わなければなりません。また、会社は法人税と消費税の税務申告のために、法律に従った帳簿を作成しなければなりません。

会社の規模や業種に関わらず、一般に経理業務は次のように分解されています。

購買事務・・・商品を発注して仕入先からの請求を受ける
販売事務・・・受注した商品の発送を指示して代金の請求をする
給与計算・・・各従業員の給与を会社の給与規程に基づいて計算し公的保険料と税金を徴収する
資金管理(出納)・・・資金(現金と預金)の出し入れと資金繰り(資金のやりくり)行う
総勘定元帳・試算表の作成(決算と税務申告)・・・法律(会社法と税法)に従って行う(一般に経理課と呼ばれる部署はこれを行う部署です)

★誰に何を任せるか?
それぞれの業務には相応の経験と知識が必要とされます。会社の属する業界での経験が浅い者には購買事務や販売事務は無理でしょう(専門用語や取引が理解できません)。また、給与計算や総勘定元帳・試算表の作成は一定の専門的知識が必要です。

★兼任させてはいけない業務
例えば、販売事務と資金管理(出納)を兼任させればどのような結果になるかは明らかです。

★各業務の連携
例えば、購買事務の把握した請求額は資金管理(出納)や総勘定元帳・試算表の作成に連絡されなければなりません。

★資金管理は必ず社長が行う(中小零細企業の場合)
いうまでもないことです。購買事務と販売事務は定期的に点検しなければなりません。給与計算は理解できるでしょう。総勘定元帳・試算表の作成(決算と税務申告)は信頼できる経理担当者や会計事務所(公認会計士・税理士)がいれば大丈夫です。

経理のどこが難しいのか?(経理担当者が反発ばかりする)

2013-07-31 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
「経理担当者に何かを頼んでもなかなか動いてくれない」「少し注意をするとすぐに辞めてしまう」、このような愚痴をこぼす経営者が多いです。

■複式簿記という特殊言語
経理は複式簿記という特殊言語によって行わなければなりません。どの会社でも作成している、総勘定元帳・試算表・決算書は複式簿記で作成されているのです。複式簿記を学校その他で学んだ経営者はほとんどいないでしょう。複式簿記は少数民族の言語といっても過言ではありません。しかし、経理においては世界共通の言語なのです。

■法律の規制
経理には会社法と法人税法という法律の規制があります。わずか1万円の領収書の経理処理を行うにしても、これら法律の規制を考慮して行う必要があるのです。

■基礎資料の準備
経理作業は絵を描くように想像力だけでできません。様々な基礎資料を用意して、事実関係を判断して処理をしなければなりません。

■経営者の本能
「税金は少なく」「業績はよく見せたい」は経営者ならば誰もが抱く願望です。しかし、経理の理屈や法律はそれを封じる仕組みになっているのです。

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★経理は「治外法権」であると経営者は認識すべき
憤慨されるかもしれませんが、そのように考えなければなりません。治外法権下のルールを理解し、しかるべき対策を講じなければならないのです。

経理業務のスピードと労力の配分

2013-07-12 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
経理業務は「単純作業」(データ入力や書類の切り貼りなど)と「判断」(勘定科目の決定や税務判断など)に分かれます。単純作業のスピードは速いに越したことはありませんが、判断ができなければ単純作業に進めない、あるいは単純作業が形式的に進んでいる(間違いだらけで進んでいる)という結果になってしまいます。

■単純作業は定型化する
経理に限らずあらゆる単純作業は徹底的に定型化しなければなりません。そして、いつ誰がやっても同じ結果が得られるようにしなければなりません。会計ソフトのデータ入力に関しては、もっとも効率的な入力画面(形式)と入力手順を確立しなければなりません。領収書の保存についても、貼り付ける台紙を統一しておく必要があります。

■どこで判断するのかが大切
「判断は時間がかかる(時間がかかっても仕方がない)」という先入観(あきらめ)を捨てなければなりません。経理業務の判断で大切なのは「入口」での判断、つまり仕訳をする(会計ソフトに入力をする)前の判断です。経理業務の恐ろしいところは、入口で間違っていても成果物である試算表や総勘定元帳は内容が間違ったまま形式的には完成してしまうということです。そして、入口で間違った成果物を事後的に修正するのは、入口で判断するとの比較にならないほど労力を要するどころか、取り返しがつかない場合もあります。

■どうしても手間のかかる作業
コンピュータ化されていない単純作業と熟慮を要する判断です。経理業務の多くがコンピュータ化されているとはいえ、いまだに領収書や契約書などは紙で作成されるものも多いです。これらは手作業で整理整頓し保存しておくしかありません。経理に関して重大な決断をしなければならない場合があります。例えば、税務署と見解の対立が予想される税務処理です。「節税はしたい、でも、税務調査が・・・」というケースです。申告期限ギリギリまで悩むこともあります。

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★【重要】経理担当者の性格を把握しておくこと!
経理担当者によって仕事に対する考え方(性格)が相当異なります。例えば、紛らわしい金銭の動き(判断に迷うケース)があっても「知らないふり」で適当に処理する者もいれば、ノイローゼになり退職してしまうほど悩む者もいます。あまりにも神経質はよくありませんが、「問題ありません」とか「わかっています」を連発する経理担当者は要注意です。「自分は適当にやっておけばいいんだ!最終的な責任は社長と税理士が取るんだから・・・」と考えている経理担当者もいます。