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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

会社設立後3年(税務申告)

2018-05-07 17:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
会社設立後3年、申告書の提出と税金の納付ができているからといって安心はできません。

税務申告というのは、必要な書類がそろい、それに必要な記載がされていれば役所は申告書を受付けてくれます。誤りは直ちに指摘されるのではなく、数年後の税務調査においてです。役所は節税や事務手続の効率化など、納税者に有利なことは教えてくれません。役所は納税者に対する「サービスを提供する所」ではなく、納税者が申告義務を果たしているかを「取り締まる所」なのです。

◆申告書の控は保存しているか(受付印はあるか)

申告書を提出した税務署などの役所は、申告後に申告内容について質問をしてくることがあります。これに答えるには、提出した申告書と同じものを控として保存しておく必要があるのです。

申告書を提出する際、各役所は持参した申告書の控に「受付印」を押印します。この受付印が思いのほか重要です。金融機関に融資の申込みをする際には、申告書控の写しを提出しなければなりませんが、受付印がないものは控であると認めてもらえません。(電子申告で提出する場合は送信受付画面を印刷したものが受付印に相当します。)

◆消費税の申告を忘れていないか

資本金が1000万円以上の会社は1年目から消費税の課税事業者となります。資本金が1000万円に満たない会社は、売上などの状況に応じて、2年目あるいは3年目から消費税の課税事業者になります。

課税事業者になったことが法人税申告書の添付書類である決算書から一目瞭然の場合は、税務署も課税事業者になったことを連絡してきますが、そうでない場合は連絡をしてきません。このような場合に、消費税の申告をしていなかったことの指摘を受けるのは、税務調査のときになります。

◆税務関係の諸届け

「設立届」に「青色申請」あたりまではほとんどが提出できています。しかし、「(源泉所得税)納期特例」、「(消費税)簡易課税」あたりになってくると忘れていることが多いです。

◆地方税は事業所の所在地で申告しているか

国税(法人税と消費税)は登記上の本店所在地を管轄する税務署で申告をします。一方、地方税(都道府県民税、事業税、市町村民税)には登記上の本店所在地ではなく、事業所(活動拠点)の所在地を管轄する役所で申告をします。(通常は、本店所在地と事業所所在地が同じであることが多いです。)

登記上の本店所在地で引き続き営業をしているけれども、別の場所でも営業をするようになったのであれば、その場所を管轄する「役所にも」地方税の申告をしなければなりません(その事業所の管轄が登記上の本店所在地と同じ場合は申告不要)。

当初は登記上の本店所在地で営業を行っていたけれども、登記はそのままで別の場所で営業をするようになった場合は、地方税の申告書を提出する役所は変わります(移転前後の事業所を管轄する役所が同じ場合は変わらない)。

★源泉徴収

恐ろしいのは源泉徴収です。

役員報酬や正社員の給料からの源泉徴収はできていると思いますが、間違いが多いのはパートやアルバイトの給料の源泉徴収です。副業として働いている者については、「月額88,000円に満たなければ源泉徴収は不要」というルールが当てはまりません。いわゆる「乙欄」を適用して月額88,000円未満の給料であっても3.063%を乗じた額を源泉徴収しなければなりません。

源泉徴収は給料以外を支払う者(個人)からもしなければなりません。税理士、司法書士、弁護士、ライター、作曲家、デザイナー、講演会の講師、翻訳家、通訳など、非常に身近な人たちから源泉徴収をしなければなりません。これを忘れていることが非常に多いです。「私の請求からは源泉徴収をしてください」と告げてくる者は「ほんの一握り」です(税理士、弁護士、司法書士など士業に限定されると思います)。源泉徴収は、支払をする者が、源泉徴収すべきことを認識しなければならないのです。

「あの人の税金なんだから、あの人から取ってくれ!」、これが一切通用しないのが源泉徴収の恐ろしさです。

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会社設立時の税務の話: 司法書士&行政書士に読んでほしい
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会社はどこの役所で申告納税手続をするのか?(待っていてはいけません!)

2017-11-30 16:30:00 | 起業(会社設立など)と経営
法務局、年金事務所、ハローワーク、会社の設立時と設立後に必ず関わらなければならない役所はあと3つあります。それは、いずれも税務関連の役所です。

税務関連の役所への届けや申告ができていないからといって、会社が設立できないとか、設立後の営業活動ができないというわけではありません。しかし、だからといって「待ちの姿勢」でいると恐ろしい結果を招きます。

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会社には法人税や消費税などを申告し納税する義務がありますが、その申告納税手続をする役所は下記のとおりです。

【国税】税務署(特定の地域を管轄)→法人税と消費税
税務署は特定の地域を管轄します。その地域に「登記上の本店」がある会社は、その地域を管轄する税務署で申告手続をしなければなりません。国税庁のサイトから各税務署の所在地とその管轄地域を調べることができます。

【地方税】都道府県税事務所(特定の地域を管轄)→事業税と都道府県民税
都道府県税事務所は都道府県内の特定の地域を管轄します。その地域に「事業所(登記の有無は問わない)」がある会社は、その地域を管轄する都道府県税事務所で申告手続をしなければなりません。都道府県のサイトから、都道府県税事務所の所在地とその管轄地域を調べることができます。都道府県税事務所は、名称に「税」と付くことから税務署と間違う人がいますが、ここでは国税の手続はできません。

【地方税】市役所・町村役場→市町村民税
一般人にもなじみのある役所です。市町村内に「事業所(登記の有無は問わない)」がある会社は、そこの市役所・町村役場で申告手続をしなければなりません。担当は税務部とか税務課などと称する部署です。

会社を設立したならば、すみやかに「登記上の本店」あるいは「事業所(登記の有無は問わない)」が所在する地域を管轄する税務関連役所を調べ、各役所で設立届けの提出など、所定の手続をしなければなりません。この手続は自らしなければなりません。それが義務です。そして、事業年度が終了したならば、それぞれに申告書を提出し税金を納付しなければなりません。

個人事業者の場合には申告書の提出先は税務署だけですが、会社は上記の3ヶ所です。個人で事業を営んでいて会社を設立した(法人成りした)人は注意が必要です。個人のように税務署が都道府県や市町村に連絡をしてくれるのではありません。

★役所からの連絡(待っていてはいけません!)

会社を設立し、各税務関連役所に設立届けなどを提出しておけば、最初の事業年度が終了して1か月ほどすれば各税務関連役所から申告書の用紙と納付書が送られてきます。

会社の設立は法務局という役所で設立登記をしなければならないことから、いずれは税務関連役所から会社を設立したことを把握されます。そして、設立届けなどの必要書類を提出していない場合には提出するように促されます。会社を設立したならば、税務関連役所からは逃げられないということです。設立後、すみやかに手続をしなければなりません。

個人事業者の場合には会社のような登記制度がないことから、場合によっては事業を開始して数年を経過しても税務関連役所からその存在を把握されないこともあります。しかし、会社の場合には設立後数ヶ月以内にその存在を把握されてしまいます。

役所からの連絡を待っていてはいけません。役所からの連絡があるころには、すでに期限が過ぎていて何らかのペナルティが課されるとか、不利な扱いになることがほとんどです。

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法人税率(利益に対する法人税を計算する)

2017-11-24 16:15:00 | 起業(会社設立など)と経営
会社の利益に対しては、法人税(国税)、事業税(都道府県税)、都道府県民税、市町村民税が課税されます。これらを合計しての税率はおおむね30%程度であるといわれていますが、実際の計算は下記のとおり個々の税目ごとに行います。

◆法人税→所得(おおむね利益)に課税される

法人税率は下記のとおり中小会社(資本金1億円以下の会社)に対しては低くなっています。

○資本金1億円超の会社・・・所得(おおむね利益)の23.4%
○資本金1億円以下の会社・・・所得800万円以下は15%、800万円超は23.4%

今から30年ほど前は上記の23.4%が42%もありました(15%部分も今とは違いました)。ここまで引き下げられた理由は、消費税の導入(直間比率の見直し)や法人税率を国際的な水準に近づける(企業の国際競争力の強化)という政策が背後にあります。今後も消費税率は上がり、法人税率は下がるということが予想されます。

法人税のほか、上記で計算した法人税額に対して10.3%の「地方法人税(国税)」も課税されます。

◆事業税→所得(おおむね利益)に課税される

事業税は、付加価値割、資本割、所得割に分かれていますが、資本金が1億円以下の会社は所得割のみを納税します。

資本金が1億円以下の会社の所得割の税率は次のとおりです。

法人税の計算における所得(おおむね利益)に対して、400万円以下の部分は3.4%、400万円超800万円以下の部分は5.1%、800万円超の部分は6.7%を乗じて計算した合計です。これは標準税率ですので、この1.2倍の範囲内で各都道府県は超過税率を採用することができます。

事業税のほか、事業税額に対して43.2%を乗じた「地方法人特別税」も課税されます。

◆都道府県民税→法人税額に税率を乗じる

法人税額に3.2%から4.2%を乗じた額です(税率は都道府県により異なる)。このほか利益の有無や金額にかかわらず均等割が課税されます。その額は、資本金1千万円以下の会社であれば2万円です。

◆市町村民税→法人税額に税率を乗じる

法人税額に9.7%から12.1%を乗じた額です(税率は市町村により異なる)。このほか利益の有無や金額にかかわらず均等割が課税されます。その額は、資本金1千万円以下の会社であれば5万円から6万円です。

★損益計算書における利益と法人税などの関係

損益計算書の末尾は次のように表示されます。

〇税引前利益・・・これに法人税などが課税される
〇法人税等・・・上記のとおり計算した税額を計上する
〇当期純利益・・・税引前利益から法人税等を差し引く

法人税などは税引前利益に応じて課税されます。「法人税等」という勘定科目に含まれるのは、その事業年度の法人税(国税)、事業税(都道府県税)、都道府県民税、市町村民税です。その事業年度の分ですので、事業年度末では納付されていないことから、貸借対照表の負債に「未払法人税等」という勘定科目が計上されます(中間申告で納付した分を除く)。

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国税庁サイト(法人税の税率)
総務サイト(法人住民税・法人事業税の税率採用状況)

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法人税 決算と申告の実務
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会社の申告書と添付書類の記載事項(こんなことも税務署に知らせます)

2017-11-06 11:30:00 | 起業(会社設立など)と経営
経営者が申告書の作成や提出を経理担当者や会計事務所(税理士)に任せている場合、経営者は申告書に記載する内容をあまり知らないと思います。申告書には会社経営に関する機密事項や代表者のプライバシーに関することも記載されています。専門的な部分は経理担当者や会計事務所(税理士)に任せるとしても、専門知識が不要な部分は一通り目を通してから申告書を提出するようにしてください。

●納税地、法人名(社名)、代表者住所、事業種目
代表者の住所変更が経理担当者や会計事務所(税理士)に伝わっていないことがあります。事業種目が実態とかけ離れている場合があります。まったく的外れの事業、すでに非主流となった事業を記載していることがあります。

●株主の一覧
これが間違っていることが非常に多いです。死亡した人や喧嘩別れした人が記載されていることがあります。また、株数が登記されている「発行済株式の総数」と一致していないことがあります。

●税金の納付状況
納めたつもりが、実は納めていなかったということもあります。

●回収できなかった売上代金
気分の悪いことでしょうが・・・

●従業員数
これも不正確なことが多いです。事業所別、月別に把握しておかなければなりません。

●取引銀行
取引支店名、預金口座番号が間違っていることが多いです。銀行名と支店名が「旧名称」のままのことが非常に多いです。全く動きのない口座は、申告を機に解約してください。

●得意先
名称と所在地が間違っていることが多いです。社名変更や移転を反映していないこともあります。面倒でも直近のデータと照合してください。

●仕入先
名称と所在地が間違っていることが多いです。社名変更や移転を反映していないこともあります。面倒でも、直近の請求書や領収書と照合してください。

●家族役員への給与の支給
これも知らせなければなりません。各家族役員の氏名と役職、事業年度における支給合計額を記載しなければなりません。

●地代家賃
物件の所在地、貸主の氏名(名称)と住所が間違っていることが多いです。

●固定資産(車両、備品)
すでに売却や除却したものが記載されていることがあります。

●使用しているソフトウェア、現金管理者、締日と支払日、帳簿の種類など・・・
まあまだあります。記載しなければならないことが・・・

税務調査で調査官に質問を受けて、「どうしてそんなことを知っているんだ!?」と思うことが、実は自身で申告書や添付書類に記載していたということが多々あります。また、「余計なことは申告書や添付書類に書かないでくれ!」と経理担当者や会計事務所(税理士)にいいたいかもしれませんが、書くことは書かなければならないのです。

★金融機関にも知られている
金融機関に申告書とその添付書類を提出している場合には、同じことを知られているということです。

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税理士に役員報酬を決めてもらっている(自身の役員報酬の額を知らない)

2017-08-24 17:30:00 | 起業(会社設立など)と経営
「毎月の役員報酬の額はいくらですか?」という質問に答えられない社長さんがいます。役員報酬を税理士に決めてもらっているというケースです。確かに、税法上は「不相当に高額な」役員報酬は損金に算入されない(経費として認められない)というルールが存在することから、役員報酬の額を決めるにあたっては税理士にも意見を仰がなければなりません。

しかし、役員報酬を最終的に決めるのは会社です。そして、「不相当に高額」かどうかは「結果」です。ただし、次のような観点から役員報酬を決めていれば、「不相当に高額」となることはまずはありません。

◆世間相場
「役員報酬の世間相場なんてわかるはずがない!?」という人がいます。確かに詳細な情報は得られないかもしれませんが、上場企業の決算、テレビのニュース、新聞や雑誌からおおよその相場は推測できます。おそらく、誤差は10~20%程度に収まることでしょう。

◆役員の経験年数と勤務形態
経験年数が長いほど役員報酬が高くなるのが一般的です。経験年数が同じであれば、常勤のほうが非常勤よりも役員報酬は高くなります。

◆親族役員の分も客観的に決める
親族役員の分も客観的に決めなければなりません。客観的とは、親族でない役員と同じ基準で役員報酬の額を決めるということです。ただし、代表者を含む親族役員は、会社の借入金に対する個人保証、会社が危機的状況にある場合の私財提供や過重労働から逃れることができませんので、その「特別な責任の対価」を上乗せしておく必要があります。

◆突発的な利益を考慮しておく
相場変動の影響を著しく受ける商品を扱っている、受注が極めて不規則・不定期に生じる業種や業態など、突発的な利益が生じやすい場合には、突発的な利益に備えて役員報酬を設定しておく必要があります。つまり、突発的な利益の生じない事業年度は赤字になるけれども、突発的な利益が生じた事業年度にそれを「かき消す」役員報酬の額に設定しておきます。

「不相当に高額」という恐怖心をあおる情報が氾濫しています。しかし、現実に税務調査で「不相当に高額」が問題となることはほとんどありません。それよりも気をつけなければならないのは、自らの役員報酬の額を知らずに不規則に会社からの資金の引出しを続けし、気がつけば税理士が決めた役員報酬を超える額を引き出しているということです。この額は経費にはなりません。さらに、役員個人に課税がされます。

役員報酬の額は自信を持って決めてください。そして、決まった額を毎月会社から引き出します。もし、会社の資金が不足する場合は、役員報酬相当額を引き出してから会社に返金してください(帳簿には引出し、返金とも記載します)。

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