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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

法人成り後は「役員報酬」という考えに慣れること(経費になるが源泉徴収が必要)

2018-07-05 15:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
法人成りをした人の中には「役員報酬」という考えに馴染めない人がいます。「役員報酬の額さえ決められない」「役員報酬から所得税の源泉徴収をするということが理解できない」という人もめずらしくはありません。法人成りするにあたっては、会社は個人事業者とはまったく違う「カルチャー」であると認識し、そのカルチャーに早く慣れる必要があります。

個人事業者と会社では次のように利益の計算方法が大きく異なり、結果として税金の計算方法も異なってきます。

◆個人事業者の利益計算
利益=売上-仕入-人件費と諸経費(人件費に経営者取り分含まず)
利益=事業所得に「所得税(確定申告が必要)」が課税されます。

◆会社の利益計算
利益=売上-仕入-人件費と諸経費(人件費に役員報酬=経営者取り分含む)
利益には「法人税」が、役員報酬には「所得税(役員報酬からの源泉徴収)」が課税されます。

違いは「経営者取り分」です。会社の場合には役員報酬として経費になりますが、役員報酬には所得税が課税されます。この役員報酬は、「一定の期間(通常は1年間)」「一定の時期に(通常は毎月)」「一定金額を定額で」支払うのでなければ経費とは認められません。個人事業者のように、「生活費が必要なときに必要なだけ」「今月は儲かったので多めに」といった方法は認められないのです。

★妥当な役員報酬の額(個人出費は会社から除外する)

役員報酬は役員の職務の正当な対価でなければなりません。法人税法の規定には役員報酬が高額であれば、高額とされる部分が損金算入できない(法人税の計算においては所得に加算される)というのがありますが、これが適用されるのはごくまれなケースです。経済情勢、同業同規模他社の役員報酬の水準などから「自信を持って!」役員報酬の額を決めていれば、まずは損金不算入にはなりません。

「自宅の家賃」
「住宅ローン」
「個人契約の生命保険料」
「その他・・・」

個人事業者の場合、事業用の預金通帳からこれらが引き出されていることもあり、事業の資金からどれだけの金額を私生活の資金に移動させたかが明確でないことがあります。それで、定期、定額である役員報酬という考えに馴染めないのです。

役員報酬を決定するに当たっては、これら私生活の出費は役員報酬として会社から引き出した中から支払うという考えを持たなければなりません。

★会社に「事業主貸」という勘定科目はありません

個人事業者の経理では事業とは無関係な支出が事業用資金から行われた場合には、事業主貸という勘定科目で処理し、必要経費に混入しないようにしておけばそれで済みました。しかし、会社の場合はこれに匹敵する勘定科目はありません。強いていうならば、仮払金と貸付金ですが、これで処理し、いつまでも返金がない場合には役員報酬として扱われ源泉徴収をしなければなりません。

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【会社の税金】一定の水準を超えると税額が激増することも(意識の切り替えが必要)

2018-06-30 10:31:00 | 起業(会社設立など)と経営
会社を設立して2・3年の間は、納税するといえば「地方税の均等割」と「源泉所得税」だけという場合もめずらしくはありませんが、会社が成長し一定の水準を超えると税額が「激増!」することがあります。税額が10倍になることなんてざらです。100倍になることもあります。

多くの会社は資本金の額を1000万円未満にすることで設立初年度には消費税が課税されないようにしています。設立時の初期投資は多額であること、設立当初は安定顧客が少ないことからそう簡単には利益は出せず法人税も課税されません。

◆これがわが国の税制の仕組みなんですよ!

このように考えるしかありません。大切なことは、この仕組みを理解して、あらかじめ税額を予測し、納税資金を確保しておくということです。

次に大切なことは、有利な方法を選択して税額を計算するということです。消費税ならば「原則課税と簡易課税」の有利なほうを選択する、法人税ならば「青色申告」を申請し各種の特典を享受するといった具合です。

◆消費税は販売価格に転嫁を

消費税については販売価格に転嫁するしかありません。価格設定の段階で消費税の納税を意識しておくことです。

◆法人税はコストとして認識する(法人税を払わなければ蓄積は増えない)

法人税はコストであると認識しなければなりません。

売上-売上原価-諸経費-法人税

これが会社の「利益」なのです。利益は法人税を納税した残りです。利益は「留保」と呼ばれる会社の「蓄積」です。優良と呼ばれる会社は長年にわたってこれを積上げているのです。この積上げた留保(蓄積)を投資して、さらに利益を出し留保(蓄積)を増やしているのです。「利益が出て法人税を払うのが馬鹿らしいので、ゴルフ、宴会、旅行・・・」、これではいつまで経っても留保(蓄積)は増えません。法人税を払わなければ(払った結果として利益が出さないと)蓄積は増えないのです。

★役員報酬や投資を抑えていませんか?

会社が成長を続けているのに、役員報酬をいつまでも設立当初の水準に据え置いていることがあります。代表者としての正当な対価は受け取るようにしなければなりません。適正な役員報酬はコストですので、これを抑えての利益は本当の利益ではありません。

投資(設備、人材、研究開発など)のタイミングは難しいです。また、投資に失敗することもあります。しかし、ある程度の先行投資をしておかなければ収益機会を失う恐れがあります。適正な先行投資は将来の収益機会の獲得と法人税の節税の両面で必要なことなのです。経営者はこれを恐れてはいけないのです。

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会社設立から引退まで

2018-06-30 10:30:00 | 起業(会社設立など)と経営
会社を設立してから引退するまでのことを考えてみると、必ず「会社という制度」を意識しなければならない局面に出くわします。

●後継者を育成する(権限の委譲)
設立から事業が起動に乗るまでは無我夢中で、「会社何たるか」を考える余裕などありませが、事業が軌道に乗り、次の展開を考えるようになると後継者(安心して仕事を任せられる者)の育成を考えなければなりません。後継者というからには一般の従業員とは違います。まずは、役員(取締役)でなければなりません。また、株も持たせなければなりません。

●会社を譲る(投下資金の回収)
後継者が育ったならば、いずれは会社を譲ることを考えなければなりません。役員(取締役)は簡単に退任できます。問題は保有している株式です。上場企業ならば株式市場で売却するかそのまま配当を目的に保有してもかまいませんが、非上場企業はそうはいきません。誰かに買い取ってもらわなければ会社に投下した資金を回収できません。また、投下資金の増殖部分も受け取らなければなりません。

●会社を消滅される(一代限りで廃業する)
後継者にバトンタッチして会社を継続するのではなく、「一代限り」というのもそれはそれで良いことだと思います。会社を消滅させるには、設立したときと同じように法務局で手続をしなければなりません。この手続を清算といいます。また、清算の前提として会社の財産を全部換金して負債は全額返済して、残った資金を株主に分配しなければなりません。

★代表者の急死

大変縁起の悪いことですが、代表者(株主兼代表取締役)が急死した場合のことも考えておかなければなりません。

まず知っておかなければならないのは、代表者が死亡しても直ちに会社は消滅しないということです。代表者の存在が大きい(代表者が何もかもを動かしている)中小零細企業では営業そのものは停止になると思います。従業員も会社を去ってゆきます。しかし、会社の法的存在は残り法務局に登記されたままで、預金、車両などの資産、金融機関からの借入金は会社名義のままです。

代表者の遺族(遺産を引き継ぐ相続人)にすれば、会社の全株式を保有している代表者が死亡すれば、直ちに会社の預金などの財産も遺族のものになると考えるかもしれません。しかし、そのためには遺族を次の代表者に選任して登記するという手続を経なければなりません。このことはあらかじめ家族や近親者に伝えておき、不時の際の具体的手順を明らかにしておかなければなりません。

「会社で契約している生命保険」についても注意が必要です。被保険者は代表者でも死亡保険金の受取人は会社ですので、死亡保険金を遺族が直接受け取ることはできません。会社が受け取り、会社が遺族に退職金として支給する、あるいは株主に対して分配するという手順になります。

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会社設立後3年(決算数値の推移と変化)

2018-05-11 15:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
設立から3年も過ぎれば決算数値のデータも蓄積され、そのデータを分析し検討すれば経営上の課題や今後進むべき方向が見えてきます。

■損益計算書の諸数値

過去3事業年度分を比較してみます。

○売上が増えている
○利益も増えている

当然、そうでなければなりません。

次は「利益の質」を検討してみます。

○売上は順調に伸びている
突発的に生じた売上ではなく、取引先件数、取扱品目、営業エリアなどを着々と増やしながら売上が伸びていなければなりません。

○必要なコストを吸収できている
「社員の昇給を見送っている」、「必要な設備投資をしていない」などは問題の先送りです。必要なコストを抑えてまでの利益はいつまでも続きません。

■貸借対照表の諸数値

これも3事業年度分を比較してみます。

○資産は増えている
資産は増えていなければなりません。かといって、資産の中に不良資産が含まれていてはいけません。回収が遅れている売掛金、なかなか販売できない製品や商品が資産に含まれていないかを検討しなければなりません。これらは、いずれは目減りして現金として回収されます。

○負債の増加は資産の増加よりも緩やか
事業規模を拡大すると負債は増えます。仕入代金の未払部分である買掛金、設備投資や運転資金のための借入金も増えます。この増加のペースが資産の増加ペースよりも緩やかであれば問題はありません。

○純資産は増えている
「資産は増え」「負債の増加は資産の増加ペースより緩やか」という状態であれば純資産(資産-負債)は増えます。この背後には利益の存在があります。

★初期投資は回収できているか
設立時の投資が回収できているかも気になります。商品は販売済みであれば損益計算書に費用として計上されています。店舗設備は減価償却しますので、全額が3年で費用として計上されているかはわかりません。店舗の保証金(解約時に返済される)は費用とはなりません。このように、損益計算書の利益からだけでは判断できないこともあります。

★この先、借入金の返済はできるか
借入金の元金返済は損益計算書には表れません。借入金は利益を財源に返済します(支出を伴わない減価償却費などの費用は除いて利益を計算します)。過去3年の損益計算書から予想される今後の利益が返済予定額を上回っていなければなりません。

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会社設立後3年(初めての税務調査)

2018-05-09 19:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
会社設立後3年が経てば、そろそろ税務調査のことが気になると思います。実際、会社設立後3年で税務調査の対象になる会社は多いです。調査の対象となるような会社は順調に業績が伸びていると思います。固定客が増え、安定した供給をしてくれる仕入先も確保し、仕事を任せられる社員も育ったその矢先、思いもよらない「敵」の出現にうろたえる人は多いです。

●税務調査の選定基準
全ての会社が3年ごとに「調査対象候補」とされ、その中から申告数値に異常性がある会社に対して重点的に調査を行っているようです。異常性とは、本来あるべき申告税額よりも少ない税額で申告している疑いがあるということです。

●税務調査はどのようにして行われるのか
税務署の調査官が会社まで来て、申告の基となった帳簿やその基資料(領収書や預金通帳など)を調べます。なお、税務調査は主に国税(法人税、消費税、源泉所得税)に関する役所である税務署が行います。

●税務調査の事前通知は行われるのか
税務調査の2週間程度前に、電話で会社の代表者に(税理士に依頼している場合は税理士に)、調査を行う旨と調査の対象となる申告(税目と期間)を通知し、日程や場所などについての調整を行います。

●修正申告(当初申告よりも税額を増やす)
調査の結果、修正事項(当初申告よりも税額が増える事項)がある場合、税務署は「修正申告書」の提出を求めます。税務署の指摘に反論の余地がある場合は修正申告する必要はありませんが、反論の余地がない場合は指示に従うしかありません。

●税務調査で追加納税が必要となった税額はいつ納付するのか
修正申告書提出後、直ちに納付しなければなりません。しかし、資金繰り上そうはいかない場合は、税務署に相談すればいくつかの方法(分割納付など)を検討してくれます。

●加算税と延滞税(税務調査のペナルティ)
税務調査で修正事項があった場合には追加分に加え加算税に延滞税というペナルティも払わなければなりません。

●なぜ、もっと早く指摘してくれなかったのか
税務調査は遅れてやってきます。そこで、「ばれないな(笑)」と税務署を侮り、ついついエスカレートしてしまいます。何よりも悲惨なのは、業績下降期に全盛期の税務調査が行われることです。「無いから払えない」は通用しません。払うべきものを使ってしまったのですから。

●税務調査が不安で夜も寝られない
もし、自身の非が明らかだと思える場合は、税務調査を待たずして自主的に修正申告することです。加算税が課されないからです。自主的に修正申告をしたからといって税務調査が省略されるわけではありません。税務署は「本当に正直に修正したか?」、「ほかに修正事項は無いのか?」と考えるのです。自主的な修正申告は、税務調査のショックをある程度和らげるという効果しかありません。なお、税務調査の通知を受けてから「自主的に修正申告をいたしますので加算税は課さないでください。また、税務調査は止めてください」は認められません。

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