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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

役員報酬ゼロ?(利益の状況に注意)

2017-08-19 11:45:00 | 起業(会社設立など)と経営
役員報酬がゼロというのは以下のような特殊なケースです。

◆休業中
休業中は一切の活動をしないわけですから、役員としての職務も行いません。ですから、役員報酬を支給しないのは当然のことです。

◆名目役員
名目役員とは、役員として登記されているに過ぎない役員のことです。役員としての拘束や責任が一切なく、形式的な書類にも一切その氏名が表れない者のことです。役員報酬を支給しないのは当然です。

◆不祥事の責任
大企業(主に上場企業)の場合は不祥事の引責のため、一定期間役員報酬をゼロにすることが慣例となっています。社員、取引先、世間への「示し」です。

上記以外で役員報酬をゼロしているケースがありますが、いずれも「歪(いびつ)」なことで、その「しわ寄せ」が必ず起こります。

◆創業当初で資金がない
創業当初は資金繰りが苦しいので(出金>入金)、少しでも会社に資金を残しておきたいという理由から役員報酬をゼロにするケースが目立ちます。しかし、役員としての職務を遂行している以上は正当な役員報酬を受け取るのは当然です。役員報酬の減額は、創業からある程度の期間が経過して会社の収益力が明確になってからでも遅くはありません。

◆社長借入金の返済を受ける
役員報酬の支給よりも社長借入金の返済を選択する経営者が多いです。社長借入金の返済は役員報酬の支給のように源泉徴収や社会保険料の負担が伴わないからです。

この二つを実行したとしても税務署は問題とはしませんが、状況によっては多額の利益が生じ多額の法人税を納税しなければならなくなるケースがあります。ですから、方法を選択する場合には将来の利益状況を冷静に予測してから行う必要があります。

いずれの方法も役員としての職務を遂行している者に対して役員報酬を支給しないわけですから「市場原理」に反します。このようにして生じた利益は「真の利益」ではありませんので、収益力があるという評価はされません(金融機関対策としても無意味です)。

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会社設立時の税務の話: 司法書士&行政書士に読んでほしい
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役員報酬は毎月定額でなければならない理由

2017-07-22 19:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
「利益の変動に応じて役員報酬を変動させることの何がいけないのだ?」
「合理的に考える人であれば節税のためにそのようにすることは当然ではないか!」
「わが国の税制(法人税法)は一般常識を無視している!」

よくこのような怒りの声を聞きます。

役員報酬を利益に応じて変動させることができないのは、「会社という仕組み」がそうであるからです。会社の役員(取締役と監査役)は年に一度の株主総会で選任され、選任後は1年ごとに株主総会で株主から評価が行われます。ですから、1年間の職務の対価である役員報酬も1年間は固定されるのです。

株主総会は事業年度終了後3か月以内に開催しなければなりません。事業年度が4月1日から翌3月31日の会社が6月中旬に株主総会を開催するとしたら、その6月から翌年5月までの間に毎月支給する(月末に支給)役員報酬は毎月定額となるのです。これが、役員の職務の対価である役員報酬の性質なのです。

ですから、年度途中に役員報酬を増額しても、それは役員の職務の対価(経費)ではなく「利益分配」である役員賞与(ボーナス)と扱われるのです。利益分配とは、収益から費用を差し引いた利益を株主には配当、役員には賞与として分けることです。この利益分配でも支出(資金の流出)は伴いますが経費とは性質が異なります。

★減額ならば税務署も認めてくれる?

大企業ならば「不祥事の責任を役員が取る」、中小企業のならば「売上の大部分を占める得意先が倒産した」場合などは役員報酬を減額することができます。というよりも、減額するのが当然です。

よくあるのは、「なんとなくこの先が不安なので、少しでも会社にお金を残しておきたい(役員個人の税金や社会保険料も減らしたい)」という理由から年度途中で減額する場合です。この場合は、減額後の役員報酬が年間を通して支給されたとして計算します。

例えば、事業年度が4月1日から翌3月31日の会社で次のように役員報酬を支給したとします。

4月から5月まで→40万円×2か月間=80万円
6月から12月まで→50万円×7か月間=350万円
1月から3月まで→30万円×3か月間=90万円
合計520万円

これが法人税の計算では次のようになります。

4月から5月まで→40万円×2か月間=80万円
6月から3月まで→30万円×10か月間=300万円
合計380万円

実支給額520万円との差額である140万円は損金不算入ので、決算書では費用であっても申告書では所得に加算しなければなりません。

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無資格の会計事務所職員に個人的に依頼する

2017-07-01 18:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
税理士では堅苦しくて、厳しく、しかも報酬も高いので、会計事務所の無資格職員(税理士ではない人)に個人的に記帳・決算・申告を依頼する人がいます。職員にすれば小遣い稼ぎになります。また、将来、税理士の資格を取って独立するときの準備にもなります。これは「税理士法違反」であると認識しておく必要があります。申告書作成や税務調査の立会は当然として、税務に関する相談を行えるのは税理士のみです。

このようなことをして、まず困るのは税務調査です。無資格者が勝手に作成した申告書には税理士の署名押印がありませんので、税務調査の通知は無資格者に依頼した納税者本人にされます。

次に困るのは、その職員が事務所を辞めた場合です。次に勤めることになった会計事務所ではこのような「副業」を厳重にチェックしていて許されないことも十分考えられます。職員が事務所のパソコンを使おうとしても、データが一元管理されている場合には無断使用ができません。

さらに困るのは、職員が会計事務所業界から去った場合です。現在では、記帳・決算・申告をパソコンソフトで行うのが当たり前で、必要なソフトを一式揃えると30万円は下りません。さらに、ソフトの保守料金も必要です。このような費用を「小遣い稼ぎ」のためにはとても負担できないでしょう。

知り合いが勤めている会社の商品を安く売ってもらうといったような「裏ルート」は、税務という世界には存在しないのです。

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算定基礎届の提出と労働保険の年度更新(これは税理士の仕事ではありません!)

2017-06-09 15:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
算定基礎届の提出(7月10日まで)

労働保険の年度更新(7月10日まで)

今年も社会・労働保険のシーズンがやってまいりました。社会・労働保険の手続は税理士の業務と関連していることから、この件で税理士に相談する、場合によっては手続の代行を依頼しているケースもあるようですが、これは税理士の仕事ではありません。社会保険労務士の仕事(独占業務)です。【注】

税理士も給与計算(税金の徴収)に関わっていますので、依頼者に社会・労働保険関連の「数値を提供する」ことは当然ですが、税理士では社会・労働保険手続を「完結する」ことはできません。

社会・労働保険の関連役所への提出書類には、その作成を代行した者を記入する欄がありますが、ここに氏名などを記入できるのは社会保険労務士だけです。税理士が作成してもこの欄は空白となります。後日、提出書類に不備があった場合、役所からの問い合わせは税理士ではなくその依頼者にされます。その際、「税理士に頼んだので私は知らない。税理士に聞いてくれ」とはいえません。

社会・労働保険の手続をしている税理士は、「役所からの問い合わせに対応できない」、「密かに社会保険労務士に外注し利益を得ている(社会保険労務士に直接頼むよりも高くなる)」、「依頼者に成りすまして役所との対応をしている」などから、トラブルを起こしているケースもあるようです。

もし、現在依頼している税理士が、社会・労働保険の関連役所に各種書類の提出までをしているとすれば、それは違法です。一度、その税理士とこの件について話し合われることをお勧めします。トラブルが起きてからでは遅いです。社会・労働保険は従業員の怪我、病気、老後に関わることなのですから、素人である税理士に任せてミスでもされたら大変なことになります。

【注】同一人物が税理士と社会保険労務士の両方の資格を保有している場合には問題はありません。また、税理士の事務所に社会保険労務士が所属している場合も問題はありません。このようなケースも少なからずあります。

★社会・労働保険の手続は経営者の義務です!

社会保険労務士に依頼するには費用が必要ですので、それを節約するためには自ら手続をしなければなりません。その場合は次のようにします。

○役所が配付している手引きを参考にする
○役所に行って職員に教えてもらう

手引きは難解かもしれません。職員に厳格な対応をされるかもしれません。しかし、これを乗り越えなければならないのです。実際、多くの経営者はそうしています。それができなければ人を雇う資格はありません。(社会保険労務士に依頼するにしても従業員の個人情報や勤務記録など、手続に必要な基礎データは自らが入手、作成、管理しなければなりません。)

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新たに社会保険に加入した年の年末調整

2016-11-30 17:30:00 | 起業(会社設立など)と経営
新たに会社として社会保険(健康保険と厚生年金保険)に加入した年の年末調整は、従業員それぞれで国民健康保険・国民年金に加入していたときと「社会保険料控除」の計算手順が異なってきます。

社会保険料控除の計算は会社が行います。社会保険料は会社と従業員が折半しますが、社会保険料を納めるのは会社で、従業員負担額は会社が従業員の給料と賞与から天引きすることにより折半にするのです。会社は従業員の給料と賞与から天引きをしていることから、従業員負担額、つまり、従業員の年末調整における社会保険料控除の計算ができます。従業員それぞれで国民健康保険・国民年金に加入していたときは、保険料控除申告書に「国民健康保険料」「国民年金保険料」を記入しなければなりませんでしたが、社会保険に加入すればこの記入が不要になります。

従業員から天引きした社会保険料は、従業員に手渡す給与明細、会社で記録として残す給与台帳で明らかにしておく必要があります。なお、この天引きする社会保険料の金額は、会社が所定の「保険料額表を」基に計算しなければなりません。

「年度途中で」社会保険に加入した場合は、加入以前の「国民健康保険料」「国民年金保険料」は保険料控除申告書に記入しなければなりません。この点には注意が必要です。ここでの「年度途中」とは、年末調整の対象期間である暦年(1月から12月まで)の途中のことです。暦年にあわせて社会保険に加入するということはまれですので、ほとんどの場合、社会保険に加入した年度は加入以前の「国民健康保険料」「国民年金保険料」を保険料控除申告書に記入しなければならないということです。

★新たに社会保険に加入した・・・?
会社の場合は設立と同時に加入しなければなりません。しかし、それができていない会社があります。最近、この件についての「手入れ」が活発化・厳格化しているようです。
この先、廃業や個人成り(会社から個人事業者になって社会保険の加入義務から逃れる)が増えるでしょうね・・・