goo blog サービス終了のお知らせ 

【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

経営セーフティ共済の活用(コロナ禍で本領を発揮!?)

2020-09-26 12:15:00 | 起業(会社設立など)と経営
節税商品として人気がある「経営セーフティ共済」ですが、コロナ禍の今、その本来の役割を存分に発揮してくれます。

経営セーフティ共済は、「中小企業倒産防止共済法」に基づく共済制度で、中小企業の取引先事業者が倒産してしまった際の連鎖倒産を防ぐことを目的としています。

◆最大8000万円を無担保・無保証・無利息で借入れ可能(取引先が倒産した場合)

経営セーフティ共済の最大の役割は、取引先の倒産という大ピンチの際に、最大8000万円を無担保・無保証、しかも無利息で借入れが受けられることです。返済期間は6か月の据置期間を含む5年から7年です。こんなとき、金融機関であれば絶対に貸してくれません。「雨の日」だからです。

しかし、注意も必要です。それは、借入れ額の10%相当額の掛金の積立を失うということです。累計掛金が上限の800万円で最大借入れ可能額の8000万円を借りたとした場合、800万円の掛金を失います。8000万円借りるのにその10%である800万円の掛金が必要なのです。そして、それ以後は当然借入れはできず、解約しても解約手当金はもらえなくなります。

もうひとつ注意すべき点は、借入れの条件が取引先の「倒産」を原因として「売上代金」が回収できなくなることです。「取引の縮小や打切り」「取引条件の悪化」は理由とはなりません。さらに、借入れ額は回収できない売上代金の額あるいは累計掛金の10倍のいずれか少ないほうが上限となります。特定の取引先に依存していない場合には「わずかしか」借りることができません。掛売りをしていない場合には「1円も」借りることができません。

◆取引先が倒産していなくても借りられる(一時貸付金)

一時貸付金は、取引先が倒産していなくても、事業資金を必要とする場合に解約手当金の95%を上限として借入れできる制度です。民間の生命保険契約の契約者貸付と似ています。

返済は1年以内に一括してしなければなりません。利息は一時貸付金の借入れの際に、一括で前払いとなります。利率は金融情勢に応じて変動します(現時点では年率0.9%)。なお、一定期間経っても返済がない場合には解約手当金から充当されます。

◆解約して解約手当金を受け取ることもできる

共済契約を解約した場合は、解約手当金を受け取ることができます。自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば掛金は全額戻ります。

これが経営セーフティ共済の本来の役割になっているといっても過言ではないかもしれません。「利益の出ている時期に掛金を支払うことで利益を圧縮する」「赤字になれば解約手当金を受け取っても課税はされない」という節税スキームです。

========

★コロナ禍における公的支援との比較

返済の必要がない持続化給付金や家賃支援給付金はともかくとして、コロナ禍で行われている公的融資に関しては、経営セーフティ共済よりも有利になるケースが多いと思います。経営セーフティ共済での借入れは、「これしかない!」という場合に限定されてきます。

上記のとおり、倒産による借入れが多額にできるのは極めて特殊なケースですので、よほど特定の取引先に依存している場合以外、つまり節税目的で経営セーフティ共済に加入したのであれば、解約手当金を上回る赤字があれば(累積赤字も含めて)迷わず解約すべきです。節税スキームを実行するチャンスです!

========

【ご注意】コロナ禍の中、経営セーフティ共済においても様々な特例措置が講じられています。詳しくは中小企業基盤整備機構のサイトをご覧ください。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。



メインバンクの必要性を痛感(融資はネットでは無理!)

2020-09-16 08:30:00 | 起業(会社設立など)と経営
「メインバンク」、最近ではこの言葉の意味どころか、言葉そのものを知らない人もいるかもしれません。メインバンクとは、企業が主に取引をしている金融機関で、預金の出入りが多額で活発なだけでなく、「融資を受ける」「公共料金や税金の支払いをする」「給与振替えをする」など、取引の中身も重要で濃厚な金融機関です。

昨今では、メインバンクがない中小零細企業がほとんどです。取引をしても「意味がない」からです。「各種手数料は高い」「手続に時間を要する」「強引な(我田引水な)営業をしてくる」、そして「いざというときに貸してくれない」、メリットが全くありません。そんなことから、今では実店舗を持たない「ネットバンク」が主流となりました。

このメインバンクが、コロナ禍の渦中で行われた公的融資(無利息・無担保、据置期間あり)において久しぶりに本領を発揮しました。金融取引というのは大変専門的で複雑です。素人がネットを検索したからといって判断や疑問を解決することはできません。「持続化給付金」はネットを操って素早く手に入れることができますが、今回の公的融資は「ネットのみ」が情報源の人はその存在さえ知ることができていません。

「融資を受けるための要件は・・・・・です」
「該当しますか?」
「1000万円なら大丈夫ですよ!」
「それでは、明日、申込書類をお持ちいたします」

わずか数分の会話で「当確」が判明し、数日後には「申込み完了!」です。

「先代からの付き合い」「ネットが使えない」という理由から、なんとなくメインバンクとの取引を続けていた結果がこのような幸運をもたらしました。

持続化給付金は、「たったの200万円」です。これで生き残れる場合はともかくとして、足りない場合には金融機関からの融資が必須です。

========

◆実店舗で預金口座を開設する(メインバンク作りの第一歩)

これがメインバンク作りの第一歩です。実店舗とは、物理的な店舗(窓口やATM)があるだけでなく「営業機能」を有している店舗のことです。

◆行員が電話や訪問をしてきた

ずいぶん以前は、窓口で口座を開設すれば、その当日や翌日に営業担当者の電話や訪問がありました。現在は各金融機関ともに人員を削減しており、よほどの有望企業にしか電話や訪問はしません。

◆行員の誘いを無下に断らない(リスペクトする)

現在でも、まれにではありますが金融機関サイドからのアクションがあります。「投資信託」「保険契約」など、事業上のメリットが全くない話が大半かもしれませんが、無下に断らずに丁重に話だけは聞くことです。相手をリスペクトすることはビジネスの基本です。リスペクトしていない者から利益がもたらされるということは絶対にありません。

◆自ら融資を申込みに行く

これには大変勇気が必要です。そして、ほとんどの場合は「あしらわれ」てしまいます。しかし、このときの金融機関の対応が今後の取引の目安になります。場合によっては、他への乗り換えも考えなければなりません。

◆知人に金融機関を紹介してもらう

金融機関は有望な貸出先の発掘に注力しています。その方法のひとつが顧客などからの紹介です。知人の企業経営者など金融機関と密接な関係にある人に金融機関の紹介を依頼するというのは大変有効な方法です。

◆日本政策金融公庫

銀行や信用金庫のように預金取引はできず、融資専門の公的金融機関です。比較的規模の事業規模が小さい場合にはここからの資金調達だけで十分かと思います。

========

★信用保証協会の保証付き融資が主流

金融機関と取引をするにあたって知っておかなければならないのは「信用保証協会」の存在です。

「金融機関に利息を支払っているのに、どうして信用保証協会に保証料を支払う必要があるのだ!?」

金融機関から融資を受けられない人の共通点のひとつがこれです。少なくとも当初の融資は「信用保証協会の保証付き」は当然と考えてください。

★決算書の提出が必要

金融機関と融資取引をするには決算書の提出が必要です。これができない場合には融資を受けることは絶対にできません。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。



今後の売上の見込み(公的支援の要件)

2020-09-12 11:30:00 | 起業(会社設立など)と経営
すでに持続化給付金は多くの事業者に行き渡り、事業者は次なる公的支援の申請をしています。確定した過去である今年の特定月と昨年同月の売上との比較で要件が決まる持続化給付金と違って、今後の売上の見込額を要件とする公的支援では申請の方法は異なります。

========

◆今後の売上見込みは何通りかあってもよい(申請では都合のよいものを採用する)

見込みは唯一絶対的なものではなく、何通りかあってもかまいません。「強気、楽観、ポジティブ」とは正反対の「弱気、悲観、ネガティブ」、そして「その平均」といった具合でいいのです。何通りかの見込みを計算して、申請にあたってはその中から都合のよいものを採用すればよいのです。

◆見込みが外れた場合(外れるのは仕方がない)

見込みですので、当然外れることはあります。見込みを計算する時点で重要な事実を除外していた場合はともかくとして、見込みが外れたからといってペナルティが課されることはありません。

◆見込みの計算方法(業種や業態によって異なる)

見込みの計算方法は業種や業態によって大きく異なってきます。建設業の場合は、今後の個別案件の受注見込から計算します。小売店でしたら、前年同月や最近の売上実績を参考にします。

「先のことはわからない」はごもっともですが、現時点での体制や能力、そして社会経済情勢からすればある程度は客観的に見込めると思います。「頭の中のイメージ」をそのまま数値にすればいいのです。

========

★コロナはそう簡単には収束しません!

コロナ禍は最低でもあと4・5年は続くと考えたほうがいいです。繁華街や観光地の賑わいは当分の間は元には戻らず、この影響が世間の隅々まで及びます。「巣ごもり消費」という言葉がありますが、その恩恵にあずかる人は一握りです。

★無利息・無担保融資は必ず借りてください!

一定期間は「無利息で無担保」、さらに「据置期間あり」という夢のような融資が登場しています。「もう廃業する」というのであればともかくとして、「何が何でも事業を続けたい!」という場合には必ず借りてください。

この先、「今月は〇〇万円足りない」ということが何度もあります。据置期間が終わって返済が始まるときのことは、そのときになってから考えればいいのです。そもそも、今借りておかなければ先などありませんよ!

持続化給付金と家賃支援給付金だけでは到底足りません。

1000万!3000万!

遠慮は無用です。遠慮していると損しますよ!

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。



公的支援の要件(まずは申請先に相談を)

2020-08-01 18:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
依然としてコロナ禍が続く中、事業者に対して様々な公的支援(給付金、公的融資、納税猶予など)が行われています。それぞれの公的支援には要件が定められており、自身がその要件に合致しているかの見極めが容易でない場合があります。

◆所在地あるいは住所

会社の所在地については登記事項証明書(登記簿)で、個人の住所については住民票で決まってきます。会社が登記上の所在地以外で営業をしている場合には、事業所所在地の都道府県と市町村に提出している税務申告書が、個人事業者が住所地以外で事業をしている場合には、所得税の確定申告書に記載されている事業所の所在地が手掛かりになります。

◆業種

会社はその事業目的を登記しなければなりませんので、業種はその事業目的から導かれます。個人事業者は会社のような登記制度がありませんので、業種はあくまでも「自称」によります。許認可が必要な業種については許可証が業種を明らかにする証拠となります。会社も個人事業者も税務申告書には業種を記載しますので、これも間接的な証拠となります。

◆規模

事業規模の尺度には様々なものがありますが、「資本金」「年間売上高」「従業員数」などが一般的に用いられます。会社の資本金は登記事項ですから客観的です。それ以外の尺度は自主申告数値であることから主観的で不正確であることも多く、公的支援の申請にあたっては厳格な審査が行われることがあります。

◆決算数値(税務申告で確定済み)

決算数値は税務申告の基となりますので、申告すると当時に確定することになります。公的支援の申請にあたっては、その数値をそのまま用いなければなりません。誤って決算数値と異なる数値を用いてしまった場合には申請した数値の訂正が必要となり、結果として支援が受けられのが遅れてしまいます。

◆年度数値と月単位の数値(試算表、帳簿などから拾い出す)

決算数値は年度単位で算出されていますが、申請に際してこれを月単位に細分しなければならないことがあります。そのためには決算数値の基となった試算表や帳簿(総勘定元帳など)が必要となります。

◆現在進行している年度の数値(月次決算)

現在進行している年度、つまり年度途中で決算数値が確定していない途中経過の数値が必要となることがあります。いわゆる月次決算をスムーズに行っている場合には問題はないのですが、月次決算が滞っている、月次決算をしていない場合には大変です。何とかして数値を算出するしかありません。

◆数値の比較

公的支援のほとんどが数値の趨勢が一定の基準にあることをその要件としています。「前年度同月と比較して」、「ここ最近数か月間の」といった具合です。

◆今後の見込み(正直な心境を伝える)

公的支援は現状とこの先の悪化に対して行われます。今後の見通しは何通りも考えられますが、現状からしての「正直な心境」を伝えるのがなによりも説得力があります。

========

★まずは申請先に相談を!(ネットでは明らかでないことも多い)

「要件について今ひとつ理解できない」「要件を満たす線上にある」「別の方法でもよいのでは」など、疑問点についてはネットなどの案内を読むのではなく、直接申請先に問い合わせるに限ります。

コロナ禍の公的支援のように緊急な支援の場合は、当初はその要件が不明瞭でその後刻一刻と要件が具体化あるいは変更されることがあります。この情報に関してはネットよりも相談窓口のほうが早いこともあります。

ネット上の情報や独りよがりの判断は、最悪の場合には「不正」と扱われてしまいますのでご注意ください。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。



「決算書」「申告書控」とは?

2020-07-30 16:15:00 | 起業(会社設立など)と経営
持続化給付金をはじめとする公的支援が盛んに行われていますが、会社がその申請にあたって必要となるのが「決算書」と「申告書控」です。

◆決算書(決算報告書)

「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」のことです。損益計算書が「販売費及び一般管理費明細書」と「製造原価報告書」に分かれていることもあります。

決算書はほとんどの公的支援において提出が求められますが、決算書そのものではなく決算書の数値(全部あるいは一部)を所定の用紙に記載するという方式による場合もあります。

◆勘定科目内訳明細書

勘定科目内訳明細書(勘定科目内訳書、勘定科目明細書、決算明細などとも呼ばれることもある)とは、決算書の勘定科目ごとの詳細(預金ならば銀行別・預金種類別、売掛金なら得意先別)を記載した書類です。

勘定科目内訳明細書は融資に関する公的支援においては提出を求められることがほとんどです。決算書からでは判明しない業績や財務内容の把握、返済能力の判定に欠かせないからです。

◆法人税確定申告書

法人税とは国税で申告と納税は税務署にします。法人税確定申告書の枚数は申告内容によりますが小規模な会社であれば通常は10枚から15枚です。法人税確定申告書の特徴は、用紙の右上に「別表・・・」と記載されているということです。そして、この別表には番号が付されていますが、必ずしも連番になっているわけではありません。

法人税の確定申告書もほとんどの公的支援で提出を求められますが、全用紙の提出ではなくその一部(別表1は必須)のみを求められる場合もあります。

◆消費税確定申告書

消費税の納税義務がある会社は法人税の申告をするのと同じ税務署に消費税の申告書を提出しなければなりません。この消費税の確定申告書の提出が求められる場合もあります。

◆地方税申告書

会社は国税である法人税と消費税のほか、都道府県民税と市町村民税の申告をしなければなりません。この申告書の提出が求められる場合があります。

◆法人事業概況説明書

文字どおり法人(会社)の概況を説明するもので、法人税の申告書の添付書類です。「持続化給付金」においてはこの法人事業概況説明書の提出が求められます。前年度の月別売上の証拠書類として必要だからです。

========

★下記はいずれもNG(申請先に相談を)!

〇申告時に作成していなかった書類を追加で作成する
〇申告時に記載をしていなかった部分に追加で記載する
〇申告時に間違っていた部分を訂正する

公的支援の申請時に提出が求められるのは、「申告時に税務署に提出した」書類の控ですので、税務署に提出し「保管されている」ものと内容が同一でなければなりません。もし、上記のように「作成していない」「記載していない」「間違っていた」という場合には、必ず申請先に相談し、その指示に従うことです。

★申告書の受付印

申告を税理士に依頼している場合には「必ず!」税理士に相談し指示を受けてください。自身で判断するのは時間の無駄です。最悪の場合、手続の不備によって公的支援が遅れてしまいます。

自身で作成した申告書を税務署の窓口で提出している場合には「申告書の控」をご覧ください。法人税申告書の別表1に「税務署名と申告書を受付けた日付」の入ったゴム印が押印されています。(電子申告の場合は受付印がありませんので、申請先に相談してください。)

「受付印がない!」

「申告書を提出する際に申告書の控を持参していなかった」、「受付印の押印を受けた申告書の控を紛失した」のいずれかが考えられます。まずは、申請先に相談してください(税務署に相談しても無駄です)。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。