節税商品として人気がある「経営セーフティ共済」ですが、コロナ禍の今、その本来の役割を存分に発揮してくれます。
経営セーフティ共済は、「中小企業倒産防止共済法」に基づく共済制度で、中小企業の取引先事業者が倒産してしまった際の連鎖倒産を防ぐことを目的としています。
◆最大8000万円を無担保・無保証・無利息で借入れ可能(取引先が倒産した場合)
経営セーフティ共済の最大の役割は、取引先の倒産という大ピンチの際に、最大8000万円を無担保・無保証、しかも無利息で借入れが受けられることです。返済期間は6か月の据置期間を含む5年から7年です。こんなとき、金融機関であれば絶対に貸してくれません。「雨の日」だからです。
しかし、注意も必要です。それは、借入れ額の10%相当額の掛金の積立を失うということです。累計掛金が上限の800万円で最大借入れ可能額の8000万円を借りたとした場合、800万円の掛金を失います。8000万円借りるのにその10%である800万円の掛金が必要なのです。そして、それ以後は当然借入れはできず、解約しても解約手当金はもらえなくなります。
もうひとつ注意すべき点は、借入れの条件が取引先の「倒産」を原因として「売上代金」が回収できなくなることです。「取引の縮小や打切り」「取引条件の悪化」は理由とはなりません。さらに、借入れ額は回収できない売上代金の額あるいは累計掛金の10倍のいずれか少ないほうが上限となります。特定の取引先に依存していない場合には「わずかしか」借りることができません。掛売りをしていない場合には「1円も」借りることができません。
◆取引先が倒産していなくても借りられる(一時貸付金)
一時貸付金は、取引先が倒産していなくても、事業資金を必要とする場合に解約手当金の95%を上限として借入れできる制度です。民間の生命保険契約の契約者貸付と似ています。
返済は1年以内に一括してしなければなりません。利息は一時貸付金の借入れの際に、一括で前払いとなります。利率は金融情勢に応じて変動します(現時点では年率0.9%)。なお、一定期間経っても返済がない場合には解約手当金から充当されます。
◆解約して解約手当金を受け取ることもできる
共済契約を解約した場合は、解約手当金を受け取ることができます。自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば掛金は全額戻ります。
これが経営セーフティ共済の本来の役割になっているといっても過言ではないかもしれません。「利益の出ている時期に掛金を支払うことで利益を圧縮する」「赤字になれば解約手当金を受け取っても課税はされない」という節税スキームです。
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★コロナ禍における公的支援との比較
返済の必要がない持続化給付金や家賃支援給付金はともかくとして、コロナ禍で行われている公的融資に関しては、経営セーフティ共済よりも有利になるケースが多いと思います。経営セーフティ共済での借入れは、「これしかない!」という場合に限定されてきます。
上記のとおり、倒産による借入れが多額にできるのは極めて特殊なケースですので、よほど特定の取引先に依存している場合以外、つまり節税目的で経営セーフティ共済に加入したのであれば、解約手当金を上回る赤字があれば(累積赤字も含めて)迷わず解約すべきです。節税スキームを実行するチャンスです!
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【ご注意】コロナ禍の中、経営セーフティ共済においても様々な特例措置が講じられています。詳しくは中小企業基盤整備機構のサイトをご覧ください。
【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。
経営セーフティ共済は、「中小企業倒産防止共済法」に基づく共済制度で、中小企業の取引先事業者が倒産してしまった際の連鎖倒産を防ぐことを目的としています。
◆最大8000万円を無担保・無保証・無利息で借入れ可能(取引先が倒産した場合)
経営セーフティ共済の最大の役割は、取引先の倒産という大ピンチの際に、最大8000万円を無担保・無保証、しかも無利息で借入れが受けられることです。返済期間は6か月の据置期間を含む5年から7年です。こんなとき、金融機関であれば絶対に貸してくれません。「雨の日」だからです。
しかし、注意も必要です。それは、借入れ額の10%相当額の掛金の積立を失うということです。累計掛金が上限の800万円で最大借入れ可能額の8000万円を借りたとした場合、800万円の掛金を失います。8000万円借りるのにその10%である800万円の掛金が必要なのです。そして、それ以後は当然借入れはできず、解約しても解約手当金はもらえなくなります。
もうひとつ注意すべき点は、借入れの条件が取引先の「倒産」を原因として「売上代金」が回収できなくなることです。「取引の縮小や打切り」「取引条件の悪化」は理由とはなりません。さらに、借入れ額は回収できない売上代金の額あるいは累計掛金の10倍のいずれか少ないほうが上限となります。特定の取引先に依存していない場合には「わずかしか」借りることができません。掛売りをしていない場合には「1円も」借りることができません。
◆取引先が倒産していなくても借りられる(一時貸付金)
一時貸付金は、取引先が倒産していなくても、事業資金を必要とする場合に解約手当金の95%を上限として借入れできる制度です。民間の生命保険契約の契約者貸付と似ています。
返済は1年以内に一括してしなければなりません。利息は一時貸付金の借入れの際に、一括で前払いとなります。利率は金融情勢に応じて変動します(現時点では年率0.9%)。なお、一定期間経っても返済がない場合には解約手当金から充当されます。
◆解約して解約手当金を受け取ることもできる
共済契約を解約した場合は、解約手当金を受け取ることができます。自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば掛金は全額戻ります。
これが経営セーフティ共済の本来の役割になっているといっても過言ではないかもしれません。「利益の出ている時期に掛金を支払うことで利益を圧縮する」「赤字になれば解約手当金を受け取っても課税はされない」という節税スキームです。
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★コロナ禍における公的支援との比較
返済の必要がない持続化給付金や家賃支援給付金はともかくとして、コロナ禍で行われている公的融資に関しては、経営セーフティ共済よりも有利になるケースが多いと思います。経営セーフティ共済での借入れは、「これしかない!」という場合に限定されてきます。
上記のとおり、倒産による借入れが多額にできるのは極めて特殊なケースですので、よほど特定の取引先に依存している場合以外、つまり節税目的で経営セーフティ共済に加入したのであれば、解約手当金を上回る赤字があれば(累積赤字も含めて)迷わず解約すべきです。節税スキームを実行するチャンスです!
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【ご注意】コロナ禍の中、経営セーフティ共済においても様々な特例措置が講じられています。詳しくは中小企業基盤整備機構のサイトをご覧ください。
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