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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

コロナ禍における公的融資(遠慮してると損しますよ!)

2020-07-24 12:45:00 | 起業(会社設立など)と経営
お金を借りるというのは、たとえ相手が身内であっても気分のいいことではありません。自分の弱みをさらけ出さなければならないからです。交渉にあたっては終始丁重でなければなりません。そして、このような関係は借りたお金を返すまで続きます(場合によっては一生続きます)。

金融機関から融資を受けるには厳格な審査に通らなければなりません。企業の場合、その審査項目の大部分は、ほとんどの経営者が最も苦手とする会社の決算数値に関することです。

そんなことから、金融機関に融資の申込みをすることに二の足を踏む経営者が多いです。

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今回のコロナ禍での公的融資は通常時の融資とは全く異なります。「命を救うため」の資金供給です。「事業を継続する!」という強い意志、そして「必ず返す!」という決心があるのであれば、必要書類がそろったら一目散に申込みに行ってください。

◆公的融資とは

公的融資とは貸し出す資金の財源が国や自治体であるもので、公的金融機関(日本政策金融公庫など)が直接貸し出しするものと、審査は国・自治体あるいは公的機関が行って貸出しは民間金融機関が代行するものとがあります。

◆民間金融機関は公的融資に積極的

民間金融機関は公的融資に対して積極的です。なぜならば「リスク」がないからです。公的融資の返済が行われない場合も損失を被るのは国や自治体です。(一部、金融機関がリスクを負う公的融資もあります。)

◆でも・・・、結局は返さなければならないのでしょ?

確かに、そのとおりです。でも、そんなことをいっていたら今を乗り切ることができません。「据置期間5年、3年間は無利息」という公的融資もあります。返済は「まだまだ先」のことなのですから、今から心配してもどうにもなりません。

◆将来的な増税

そのとおりです。財源は税金ですから、返済を受けられなかった穴埋めは税金ですることになります。

◆モラルハザード

懐かしい言葉です。この言葉の意味と恐ろしさを知っている人は「初老」より上の年齢の人です。こんなに簡単に融資が受けられたら、真面目に働いて返済するのが馬鹿馬鹿しくなります。

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★遠慮は無用です!(遠慮してると損しますよ!)

まさに「無礼講」です!

ネットでや金融機関の窓口で、公的融資の案内を見つけたら、「貸して!貸して!貸して!」と叫ぶことです。「必要資料をそろえて・・・」、そんなことは後からです。

今すぐ「行動」してください。

「考える」のではありませんよ!

動くんです!

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公的支援を受けるために必要な書類(会社の場合)

2020-07-11 10:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
コロナ禍の中、様々な公的支援がなされていますが、それを受けるには所定の手続が必要です。特に会社に関する公的支援については手続に必要な書類が膨大で、公的支援が必要な会社が書類の不備により手続が難航し支援が受けらないことがあります。

◆決算書と法人税申告書

あらゆる公的支援の申請に必要な書類の筆頭に挙げられるのが決算書と法人税申告書です。会社は活動している限りは、必ず決算をして法人税の申告をしなければなりません。公的支援は活動している会社に対して行われるわけですから、決算と申告をしていない会社は活動をしていない(休業中)と扱われ公的支援を受けることができません。公的支援を受けようとするのであれば、すでに期限が経過している決算と申告をしていない場合には何とかして決算と申告をするしかありません。

会計事務所(税理士)に依頼している場合には公的支援を申請する旨を伝えれば、決算書と申告書の「必要箇所」を直ちに用意してくれます。最近でしたら、PDFなどにしてメールに添付して送ってもらえることがほとんどです。

会計事務所に依頼していない場合には、公的支援の案内(サイトや印刷物)を読むだけでは決算書や申告書の「必要箇所」がどこであるかを理解できないと思いますので、公的支援の相談窓口を訪れて相談するのが効率的です。

◆帳簿(様式と内容に注意)

決算書の特定部分をより詳細に説明するために決算書の基となる帳簿の提示や写しの提出が必要となる場合、それがどのような様式と内容の帳簿であるかについて迷うことがります。その際は、受けようとする公的支援の趣旨を十分理解して、適切な帳簿を選択して提出しなければなりません。

◆納税していることの証明

公的支援の要件として、決算と申告をしているだけでなく、申告した税額を納付していることを求められる場合があります。この納税をしていることの証明は、納付書の控(金融機関や役所などの受領印があるもの)の提示や写しの提出、税務署などが発行する納税証明書の提出により行います。

◆登記事項証明書(登記簿謄本)

公的支援の対象が「業種」「地域」「規模(資本金)」などで限定されていて、この判定が登記事項で決まってくる場合には登記事項証明書(登記簿謄本)の提出が求められます。

登記事項に関して注意しなければならないのは実態との乖離です。「登記されている本店と実際の営業所の所在地が違う」、「役員の変更登記(含む再選登記)ができていない」、「実際には営んでいない目的が記載されている」ことなどが原因で公的支援が受けられない場合があります。登記事項についての「メンテナンス」は欠かせません。

◆事業所が実在することの証明

ペーパーカンパニーといわれる、法律的・名義的には存在するけれども実態のない会社については公的支援の対象から除外されることが通常です。そこで、事業の実態を証明するために事業所が実在する証拠を提示しなければならないことがあります。事業所の写真、事務所や店舗建物の賃貸借契約書や登記事項証明書などがそれです。また、場合によっては事業所の視察が行われることもあります。

◆公的支援の要件を数値的に満たすことの証明

公的支援は、特定の経営数値が支援を必要としている状況にある場合に行われます。その数値の算出は、上記の資料から導かれることはいうまでもありません。

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★持続化給付金(今後も続々と公的支援は行われる)

持続化給付金は公的支援史上もっとも申請が簡単なものであったと断言できます。しかし、そうはいっても、申告書の必要箇所の間違い、帳簿(売上台帳等)が用意できていないなどから不備が指摘されるケースが続出しています。

この先も様々な公的支援が行われることは確実です。上記の一般的に必要とされる資料は「整備」しておき、支援が発表されたならば直ちに申請できる体制を整えておかなければなりません。

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節税したので赤字になった(実態は放漫経営か業績不振)

2020-03-27 15:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
「節税のため赤字にしています」

融資を申し込む際、金融機関に決算内容の悪さを指摘されそのように答える経営者がいます。

確かに、大掛かりな節税対策の結果として赤字になる場合があります。例えば、引退するオーナー経営者に対する退職金の支給、含み損を抱えた不動産や有価証券のグループ会社やオーナー一族への売却がそれです。しかし、それらはいずれも「一時的な赤字」です。「継続的な赤字」は、会社の資金繰りを悪化させ返済能力を低下させているのですから、今後は節税対策(無駄使い)もほどほどにして黒字化を目指さなければなりません。

◆グレーゾーンの出費は会社で計上しない(結局は無駄遣い)

節税志向の強い経営者はグレーゾーンの出費、つまり会社の経費として認められるかどうかの線上にある出費を経費として計上しがちです。黒字化をして金融機関からの融資を受けやすくするためには、まずはこのグレーゾーンの出費の計上をやめることです。

グレーゾーンの出費は「飲食代」「旅費」「ゴルフ」「住居費」「自動車」「装飾品」に多いですが、これらを必要以上に出費するということは無駄遣いですので、会社経営においても、経営者個人の資産形成という意味においても一定の歯止めが必要です。「とにかく税金を払いたくないので」という考えが最も危険です。「税金は払わなくて済んだけれども、お金も無くなった」さらに「金融機関の信用も無くなった」という結果になってしまうからです。

◆役員報酬の見直し

経営者の役員報酬に対する所得税率が法人税率よりも低い限り役員報酬を増やし続けるというのは、手っ取り早い節税方法です。また、業績が悪化したとしても役員報酬を減額しないで赤字にしておき、その赤字を繰り越せば利益が生じた年度に利益と相殺して法人税を抑えることができます。これも、楽な節税方法です。

たいした理由もなしに経営者の親族を役員にして、実際は資金がなく支給できていない役員報酬を計上していることもあります。これもやめなければなりません。

黒字化を目指すのであればこのような発想を捨て、役員報酬を利益の出せる水準に設定し直さなければなりません。

◆節税保険や経営者に支払う賃料の見直し

節税目的だけで加入した保険は解約あるいは払済にすれば、保険料の負担が減るとともに解約返戻金を収益に計上できることもあります。

経営者個人で所有する不動産を会社で使用しており、経営者にその賃料を支払っている場合には賃料の引き下げを検討します。

◆自主的な修正申告(過去の利益を申告書で増額)は有効か?

過去の決算書の訂正はできませんので、「決算書はそのまま」で「自主的に修正申告」をして「申告書上の利益を増やして」追加で法人税を納めるという方法を考える経営者もいます。しかし、金融機関はこのような修正申告を信じてはくれませんので効果はありません。税務調査に基づく、「事実上強制された修正申告」でなければ利益が過少であるとは信じてもらえません。

◆社長借入金の免除(債務免除益の計上)

社長借入金とは、会社の資金が不足した際に経営者(社長)が個人の資金を投じた場合に生じます。社長借入金(役員借入金)がある場合にはこれを免除すれば債務免除益という収益になります。これも利益を増やす方法であることは確かですが、金融機関は社長借入金が生じるということは資金繰りが苦しいという点に着目しますのであまり意味はありません。

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「節税のため赤字にしています。」は言い訳にすぎず、その実質は「放漫経営」あるいは「本当の赤字(業績不振)」です。なお、「脱税は犯罪」ですので金融機関から敬遠されるのは当然のことです。

★行き過ぎた経費削減は逆効果になることも
黒字化を目指すあまり経費を必要以上に削減すると逆効果になる場合もあります。役員報酬が低すぎると経営者の生活実態を疑われます。会社経営上、必要不可欠なコストまでを削減あるいは支払いそのものをしていないと、会社の存続可能性を疑われます。

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決算書の矛盾(悪質な改ざんと扱われる場合も)

2020-03-23 15:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
決算書の矛盾は、たとえ悪意がなく少額であっても、決算書のみならず会社および経営者に対する信用を大きく損ねてしまうことがあります。「少しぐらい間違ってもいいだろ(笑)。堅いこというなよ!」「書き直せばいいんだろ!」が通用しないのが決算書というものなのです。

◆決算書相互の矛盾

決算書を構成する貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書のそれぞれに同一の項目が表示されることがあり、当然それらは相互に一致しなければなりません。会計ソフトで決算書を作成していれば、貸借対照表と株主資本等変動計算書の資本金、損益計算書と株主資本等変動計算書の当期利益が一致しないということはありません。

しかし、会計ソフトで決算書を作成している場合であっても次のような仕訳を間違ってしまったならば、その仕訳に関する部分について相互に矛盾が生じてしまいます。

〇期首棚卸と期末棚卸の仕訳を間違った結果、貸借対照表の「棚卸資産」と損益計算書の「棚卸高」が一致しない

〇貸倒引当金の仕訳を間違った結果、貸借対照表の「貸倒引当金」と損益計算書の「貸倒引当金繰入額」が一致しない

◆前期数値との矛盾(税務署や金融機関提出後の追加処理に注意)

貸借対照表項目は、当事業年度「期末」の数値を翌事業年度「期首」の数値として繰り越さなければなりませんが、これを誤ると前期数値との矛盾が生じます。この矛盾が一目瞭然なのは純資産(資本)に関する項目です。株主資本等変動計算書の各項目の期首残高を前期の株主資本等変動計算書の期末残高と照合すればわかります。

会計ソフトを使用していたらこのようなことは起こりません。しかし、税務署や金融機関に決算書を「提出した後に」会計ソフトに追加で仕訳を入力してしまい、それを繰り越してしまえば「税務署や金融機関に提出した」貸借対照表の前期数値と当期数値に矛盾が生じてしまいます。

◆申告数値との矛盾

法人税の申告は決算書の諸数値に基づいて行いますので、法人税の申告書と決算書は相互に一致しなければならない部分がいくつもあります。しかし、申告書へ数値を転記する際にミスをしてしまうことがあります。

◆添付書類との矛盾

税務署に法人税の申告書を提出する際には、決算書と一緒に勘定科目内訳明細書と法人事業概況説明書を添付します。勘定科目内訳明細書は決算書の各勘定科目の内容を記載したものです。法人事業概況説明書は事業の概況を決算数値に基づいて説明したものです。当然、決算書とこれらの内容は矛盾してはいけませんが、作成の際にミスをしてしまうことがあります。

◆揺るぎのない事実との矛盾

登記事項である資本金、預金や金融機関からの借入金が決算書と矛盾してはいけないのは当然です。しかし、思いもよらないミスや勘違いで、このような揺るぎのない事実と矛盾した決算書を作成してしまうことがあります。

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決算書の矛盾点を税務署や金融機関に指摘された場合には次のような対応が必要となります。

◆どちらが正しいのか(過去の決算書は訂正できない)

決算書の数値に矛盾点が見つかった場合には、決算書と関連数値のいずれが正しいのかを明らかにしなければなりません。決算書が間違っていたとしても、過去の決算書は訂正できませんので、発見した「事業年度で」その訂正を反映しなければなりません。訂正が利益に影響する場合には「前期損益修正」とします。貸借対照表で繰り越された勘定科目が間違ってる場合には正しい科目に振り替えます。

◆矛盾の影響

矛盾がどのような影響を及ぼすのかが重要です。税額が変わる場合には修正申告あるいは更正の請求が必要です。財務内容が著しく変わる場合には、決算書はそのままで、正しい決算書を前提とした財務分析の諸数値を算出することになります。

◆矛盾の内容と金額によっては「悪質な改ざん」と扱われることもある

決算書に矛盾が生じた原因が悪意のないミスや勘違いであっても、悪質な改ざんとして扱われてしまうことがあります。税額の間違いの場合には重加算税、財務内容の間違いである場合には以後の融資は受けられない(信用失墜)ということもあります。

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★原案段階の書類は廃棄する
決算の諸数値は様々な「原案」を経て「確定」します。この原案を確定数値と勘違いして決算書を作成する、決算書の関連資料として外部者に見せてしまうというミスがあります。不要な原案は廃棄し、プロセスとして保管しておくべき原案はその旨を明記したうえで保管しておく必要があります。

★「締切」の徹底
決算作業には締切がありますが複数人で分担して作業している場合にはそれが徹底されず、締切後も決算書の関連数値が変動し、その変動した数値を決算終了後に外部者に見せてしまうことがあります。

★決算関連資料の管理
決算終了後、決算関連資料が決算書と矛盾がないことを確認したならば、それを特定の場所に保管しておき以後の変更や追加ができないようにしておくことが大切です。

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不良資産の処理(金融機関からの信用を取り戻す)

2020-03-17 10:55:00 | 起業(会社設立など)と経営
不良資産とはいつまで経っても現金になる見込みのない資産のことをいいます。販売できない在庫(商品、製品)、回収できない販売代金(売掛金)、稼働していない設備(建物、機械、備品など)です。不良資産は価値がありませんので貸借対照表から消す必要があります。

不良資産を貸借対照表から消すと資産が減って費用(損失)が生じますので利益は減ります。だから、不良資産の処理をためらう経営者がいるのです。苦し紛れの言い訳をするのです。

◆金融機関が不良資産を資産とは考えない理由

金融機関が不良資産を決算書から除外するのは、不良資産があると企業の本当の財務内容を判定できないからです。売掛金が入金されないのは過去の収益(売上)が過大であるということです。商品が売れないということは、その仕入代金が収益(売上)につながらないということです。

不良資産は利益を過大に表示しているだけでなく資金繰りも圧迫しています。ですから、金融機関はこれを決算書から除外して考えるのです。不良資産の存在は会社の返済能力を低下させているのです。

◆不良資産の判定

〇売掛金
相手先が破産するなど、もはや法律的に請求さえできなくなった場合には完全な不良資産です。そこまではいかなくても、そこに至ることが確実である、つまりそれに向けての手続を開始している場合もアウトです。また、相手先が行方をくらまして追跡不能な場合もアウトと考えるしかありません。

〇商品・製品
損傷により販売できない場合は不良資産です。物理的には問題はなくても陳腐化している(需要が全くない)場合も不良資産です。

◆不良資産の経理処理

不良資産を消すためには次の仕訳が必要となります。

≪借方≫費用≪貸方≫資産(売掛金、商品など)

費用が増加するので利益は減ります。借方の費用の勘定科目は、売掛金であれば貸倒損失、商品であれば商品廃棄損失となります。

◆不良資産の一部処理(暫定的な処理)

不良資産の全額を処理するのではなくその一部を処理することもあります。いわば、暫定的な処理です。売掛金の場合には貸倒れ見込み額(回収できそうにない金額)を、商品の場合には価値が下がった部分の金額を費用として処理します。

◆不良資産と架空資産の違い

不良資産と架空資産は全く違います。不良資産は、当初は正当な経理処理によって計上された資産であるけれども「事後的な原因で」価値を失ったものです。一方、架空資産は、当初から不当な経理処理(粉飾決算)によって計上された「根も葉もない」資産です。

販売はされたけれども回収できなくなった売掛金は不良資産です。販売もされていないのに売上計上したことによる売掛金は架空資産です。「回収できなくなった」と「最初から回収されるはずがない」では全く違います。

◆社長貸付金(不良資産か?架空資産か?)

中小零細企業における不良資産の典型は社長貸付金(役員貸付金)です。社長が会社から役員報酬以外に引き出したお金で、社長から返済されていない部分です。一般的に社長貸付金が完済されることはまれで、ほとんどの会社で不良資産と化しているのが実情です。

社長貸付金が架空資産である場合があります。利益を出すために、実際には生じている費用を、苦し紛れに社長貸付金で処理しているのです(不当に費用処理を繰り延べている)。また、他の架空資産を社長貸付金に振り替えていることもあります。

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★特別損失
不良資産を処理した場合の費用は、損益計算書の特別損失に表示することが通常です。特別損失とは、毎期継続するような状況で生じた利益である経常利益から減算する、文字どおり「特別、臨時、突発的に生じた費用」です。仕訳の分類では費用なのですが「損失」と呼んでいます。

★不良設備(減損処理)
稼働率が低く、その投資額を回収できそうにない設備も不良資産です。このまま保有し続けても損失(回収額<投資額)が生じるからです。このような場合には、資産として計上されている設備を回収可能額まで減額し費用計上しなければなりませんが、この処理を減損(げんそん)といいます。中小零細企業ではこの減損という処理をすることはほとんどありません。計算が複雑であるのと税務署がこれを認めないのがその理由です。

★税務署が認めない不良資産の処理も必要(申告書で利益に加算する)
不良資産の処理を税務署が認めない場合があります。課税所得の計算(益金-損金)における損金は、相当程度まで客観的な計算ができるようになるまで認められません。しかし、金融機関は金額が未確定であることよりも「不良資産であるという事実」を重視します。金融機関には「税務署が損失処理を認めないので不良資産ではない」という理屈は通用しないのです。この場合、決算書で生じた費用を法人税の申告書で利益に加算して(損金とはせずに)法人税の課税所得を計算します。つまり、不良資産の処理をしても法人税は減りません。ただし、この処理は次年度以降に損失額が明らかになった段階で認められることが通常です。

★費用と損失の違い
仕訳の分類では「費用」とされているものを、「損失」と呼ぶ場合があります。この場合の損失とは、文字通り「損(そん)」のことで、収益を生まない(見返りを伴わない)支出です。「損失処理」とは、収益を生まない支出を費用として計上し利益を減額するということです。

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