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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

年末調整をしなかったら

2017-10-27 20:00:30 | 源泉徴収と年末調整
年末調整の大切さは、年末調整が必要であるのに年末調整をされなくなって初めて気がつきます。ローンの申込み、各種公的申請(医療、福祉、教育など)の際、「あなたの所得がわかりませんので・・・」と告げられたときの衝撃は相当なものです。自らの存在を否定されたのですから。

経営者は社員を路頭に迷わせてはいけません。

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年末調整をしなければ年間給与収入に対する税額が確定しません。ですから、年末調整は必ずしなければなりません。給料や賞与からの源泉徴収は適当にするのではなく、「源泉徴収税額表」という税法が定めるルールに基づいて計算しますが、どうしても次のように最終的な税額とは隔たりが生じます。

◆扶養親族の増減
扶養親族の数が多いほうが税金は少なくなります。給料や賞与から源泉徴収したときと年末で扶養親族数が違えば、源泉徴収した税額と最終的な税額に違いが生じます。配偶者や子など扶養親族数の判定は年末時点でおこないます。

◆年末調整でしか考慮しないこと
生命保険や地震保険に加入している、住宅ローンがある人は税金が少なくなります。これらは年末調整でしか考慮しません。

やはり、給料や賞与からの源泉徴収だけでは不完全で、年末調整をしなければ最終的な税額は確定しないのです。

年末調整は国税である所得税の精算手続ですが、それは同時に地方税である住民税(都道府県民税+市町村民税)の手続でもあります。年末調整の結果は、給与をもらっている人の住所地の市町村に報告され、住民税はそれを基に市町村が計算します。年末調整をしなければ、この流れが途中で絶たれてしまいます。

★年末調整をしなくてもよい人

【退職者】
年度の途中で退職した人は退職した勤務先で年末調整をしません。年末に在籍していないからです。しかし、退職した人は次の勤務先で年末調整をしなければなりません。年末調整をしなくてよいのは、年末にどこにも勤務先がない人だけです。このような人は、自営業者と同じように自身で確定申告をして税額を確定しなければなりません。

【2か所以上からの給与をもらっている人】
同時に2か所以上から給与をもらっている人は、そのうち1か所でしか年末調整ができません。給与の税額は、全ての給与を合計しなければ計算できません。ですから、このような人は確定申告でこの計算をしなければならないのです。

★年末調整をしていても確定申告が必要な場合

おなじみの医療費控除、住宅ローン控除(初年度)は年末調整ではできません。自身で確定申告をしなければなりません。また、給与以外の所得がある、例えば、不動産を賃貸している、不動産を売却した場合にも確定申告が必要です。年末調整は給与のみの税額計算手続です。

★所得と所得税

わが国には様々な税があり、会社などの法人と個人が納税義務を負っています。多くの個人が納税義務を負っているのは所得税(国税)です。所得税は文字通り所得に課税される税です。所得税は個人の種々雑多な所得に課税されます。会社などの法人の所得である利益には法人税という法人固有の税が課税されます。

給与収入は給与所得として所得税が課税されます。給与所得の大部分が年末調整という手続で課税が完結します。しかし、年末調整という枠に収まらず、確定申告という申告手続を必要とする場合もあります。わが国の所得税は申告納税制を基本としています。申告は自主的に行わなければなりません。給与所得しかない人であっても自主的な申告をしなければならないこともあるのです。

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年末調整とは?

2017-10-27 20:00:00 | 源泉徴収と年末調整
給与計算が不正確であると社員は会社に対して不信感を抱きます。やがて、その不信感は不安へと変わり、最終的にはモラル低下につながります。そうなれば、「働き方改革」どころではないです。

正確な給与計算は経営者の義務です!年末調整は給与計算の集大成です。正確な年末調整をしてください。

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年末調整は、会社などから給与をもらっている人の年間を通しての給与に課税される税金の額を確定するために年末に行う手続です。自営業者や不動産を賃貸している人は自ら税金を計算し、それを確定申告して納付しなければなりません。それに対して年末調整の手続をするのは給与を支払っている会社などの勤務先です。サラリーマンは確定申告が不要で、自身で税金の計算をしなくてもいいといわれるのはこのためです。(わが国の税制では個人の税金は年度(暦年)単位で計算するという仕組みになっています。)

「給与をもらっている人」といえば、サラリーマン、それも正社員のように思われますが、パートやアルバイトの人も含まれます。また、会社の役員も給与をもらっていますので年末調整をしなければなりません。

給与をもらっている人は、毎月もらう給料、臨時にもらう賞与から税金を天引きされていますが、その税額は「仮の税額」です。最終的に確定した税額は1年が終わらなければ計算できないのです。その確定した税額と天引きしてきた仮の税額を精算するのが年末調整です。

◆源泉徴収とは?(会社は必ず源泉徴収義務者となる)

人を雇って給与を支払う者は、給与を支払う都度、支払金額に応じた所得税と復興特別所得税(いずれも国税)を給与から天引きしなければなりません。このことを源泉徴収義務といい、源泉徴収義務者は源泉徴収した税金を税務署に納めなければなりません。給与のほか税理士、弁護士、司法書士などに支払う報酬からも源泉徴収をしなければなりません。

個人(個人事業者や家主)は人を雇って給与を支払わなければ源泉徴収義務者とはなりません。源泉徴収義務者でなければ、給与以外の税理士、弁護士、司法書士などの報酬を支払ったとしても源泉徴収をする必要はありません。

源泉徴収しなければならない支払いは法律で定められています。その典型は上記の給与と税理士や弁護士の報酬です。源泉徴収義務者が法律で定められている支払いをしたならば、必ず源泉徴収をしなければなりません。支払いの相手先の意思とは関係ないのです。

◆源泉徴収と年末調整は国税の手続

忘れてはならないのは、源泉徴収と年末調整は国税である所得税(含む復興特別所得税、以下同じ)に関する手続であるということです。年末調整で確定するのは国税である所得税です。給与をもらっている人は地方税である住民税(都道府県民税と市町村民税)も納税しなければなりません。この住民税の納税は次の「特別徴収」という方法で行われます。

◆住民税の特別徴収

住民税は給与をもらう人の住所地の市町村が税額を計算し、その税額を勤務先に通知します。勤務先はその通知された税額を給与から天引きしなければなりません。これを「特別徴収」といいます。国税である所得税は給与から概算で天引きし年末調整で税額を確定するのに対して、住民税はあらかじめ確定した税額を天引きするのです。

「勤務先はどうやってその税額を知るのか?」

勤務先は所得税(国税)の確定手続である年末調整の結果を、給与をもらう人の住所地の市町村に報告する義務があります。市町村はこの報告された年間給与総額などを基に住民税を計算するのです。(住民税は1年遅れて課税されます。)

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国税庁作成・年末調整のしかた
国税庁がこのような手引きを発行しています。ネット上で情報を収集するのもいいですが、まずはこれをお読みになることをお薦めいたします。

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平成29年版 はじめての人にもよくわかる 年末調整の仕方と1月の源泉徴収事務
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源泉所得税納付書(納期特例用)の記載≪集計は慎重に!≫

2017-06-14 12:00:00 | 源泉徴収と年末調整
納付書の裏面で記載のしかたが説明されていますが、記載例が示されていませんのでこれだけでは不明なことが出てきます。さらに詳しい説明は、国税庁の下記の手引きでされています。

納付書の記載のしかた(給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書)

「年度」は、役所の年度ですので、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に納付する場合は「28」、平成29年4月1日以降に納付する場合は「29」と記載します。

税務署から送付されてくる納付書には「税務署名」「税務署番号」「整理番号」があらかじめ印字されています。

「納期等の区分」は、「平成29年1月から6月」は「自2901至2906」、「平成29年7月から12月」は「自2907至2912」と記載します。

「支払年月日」は、期間内に支払った最初の年月日と最後の月日を、それぞれが一桁の場合は頭にゼロを付けて記載します。1回しか支払っていない場合は最初の年月日だけ記載します。

「人員」は、期間内に支給した人員の合計数を記載します。

「支給額」は、期間内に支給した合計額を記載します。

「税額」は、期間内の合計額を記載します。「¥」は合計額にだけ付けます。

「俸給、給料等」とは、毎月の給料のことです。ボーナス(賞与)はここには記載しません。

「賞与(役員賞与を除く。)」は、従業員のボーナスです。

「税理士等の報酬」は、給料と賞与以外で源泉徴収が必要な職業の人の報酬の内「手引きで列挙されている」ものです。

「年末調整による不足税額」と「年末調整による超過税額」は、期間中に年末調整が行われる「7月から12月」は当然として、「1月から6月」でも記載が必要となるケースがあります。前年の「超過税額」が前年の「7月から12月」の税額から引ききれなかった場合には、その分を翌年の「1月から6月」から引くことができます(税務署から還付を受けている場合はできません)。前年の年末調整の「再調整」を1月にしている場合には、「不足税額」「超過税額」の両方が生じることもあります。ご注意ください。

納付書の作成は簡単です!

難しいのは、納期特例の場合には半年分を「集計」しなければならないことだけです。たとえ毎月の源泉徴収を正しく行っていても、この「集計」を間違ってしまえばどうにもなりません。十分確認してください。

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源泉所得税の納期の特例

2017-05-31 17:00:00 | 源泉徴収と年末調整
給与などから源泉徴収した所得税(および共に徴収した復興特別所得税、以下同じ)は、源泉徴収の対象となった給与などを支払った月の翌月10日までに納付しなければなりません。しかし、「特例」として、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は、源泉徴収した所得税を「半年分まとめて」納付することができます。これを「納期の特例」といいます。この特例の対象となるのは、給与や退職金から源泉徴収をした所得税と、税理士、弁護士、司法書士などの「一定の報酬」から源泉徴収をした所得税に限られています。

この特例を受けていると、1月から6月までに源泉徴収した所得税は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税は翌年1月20日(10日ではありませんよ!)が、それぞれ納付期限になります。

この特例を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出する必要があります。この申請書を提出すれば、提出した翌月以降に源泉徴収する所得税から特例の対象になります。例えば、7月から特例を受けたい場合には6月中に提出しなければなりません。

納期の特例を受けている場合には、「特例用の納付書」で納付しなければなりません。特例用の納付書は特例適用期間の税額を一括して納付する様式になっています。

給与の支給人員が常時10人超となって特例の要件に該当しなくなった場合は、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を提出しなければなりません。この場合、該当しなくなった月以降は特例が適用されませんので、原則どおり源泉徴収した翌月10日までに納付しなければなりません。例えば、4月に該当しなくなった場合には、「1月から3月」は特例が適用され、4月以降は原則どおりとなります。

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◆特例を受けるには給与の支給人員が常時10人未満でなければならない
◆全ての所得税が特例の対象になるのではない
◆特例の対象期間は任意の半年間ではなく1月から6月までと7月から12月までとなる
◆特例を受けるには特例を受ける前月までに申請しなければならない
◆特例を受けている場合には特例用の納付書で納付しなければならない
◆納期特例の要件に該当しなくなったならば届けをしなければならない
◆納期特例に該当しなくなった月から原則どおりの納付をしなければならない

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29年版 源泉徴収税額表とその見方
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日本法令


入力できる!扶養控除等(異動)申告書【国税庁サイトからダウンロードできます】

2016-11-28 20:00:00 | 源泉徴収と年末調整
国税庁は、平成29年分から「入力できる」扶養控除等(異動)申告書のファイルをPDF形式で提供しています。入手は下記の国税庁サイトからできます。

ホーム>申告・納税手続>税務手続の案内>源泉所得税関係>[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/h29_01_input.pdf

保険料控除申告書については平成28年分から提供しています。

ホーム>申告・納税手続>税務手続の案内>源泉所得税関係>[手続名]給与所得者の保険料控除及び配偶者特別控除の申告

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/h28_05_input.pdf

全社員にメールアドレスを割り当てている会社は是非ともこれを使うべきです。ただし、これを使う場合でも社員から会社に提出する際は、「印刷」「押印」、そして、紙の添付書類(保険料控除証明書など)は必要です。

もう、用紙を紙で配付した!
もっと早く教えてよ!

この件について、国税庁はあまり周知していないようです(笑)。