つらねのため息@gooブログ

写真や少し長い文章を掲載していく予定。

総理辞任その3

2008-09-02 11:57:44 | 日本のこと
さらに思いついたことをつらつら書くと、福田総理辞任にいたる政治過程で個人的に興味深いのは以下の二点。

第一に、参議院がそれなりに存在感を発揮し始めたことである。安倍、福田と2代続けて国会の「ねじれ」を理由に総理が辞任したという意義は大きい。単なる衆議院の「カーボン・コピー」であることを越えて、参議院が独自性を発揮し始めた意義は大きい。

第二に、公明党の存在である。同党の強い立場が政権にまで辞任に影響を与えたとすれば、「自公」政権の本来の形としてよいことである。もっとも、小泉、安倍ではなく、おそらく同党の政策に最も近い福田総理の辞任をもたらしたことと、選挙が近づかないと影響力を発揮できないというのはいかがなものかと思うが。それでも、中道の政党がキャスティングボートを握るというのは国会の「ねじれ」を解決する手段として有効であろうし、ともすれば左右に分裂しがちな中道の政党でありながら団結力と組織力のある公明党の存在は大きい。「ねじれ」解決の鍵となろう。

それにしても、誰が後任になったって状況が変わるわけではない。有力視される麻生幹事長が後継総裁になれば対立が深まることはあっても、与野党間で何らかの協力が行われることはまず皆無であろう。福田氏はそれを百も承知で自民党総裁選に出馬したのだろうし、その意味で無責任のそしりは免れない。

しかし、この「ねじれ」はどう乗り越えられるのだろうか。衆参で対応が異なった際に答えを出していく一定の筋道がつけられればいいのだろうが、この国の政治がそういう知恵をつけていくのにはまだまだ時間がかかりそうだ。

選挙制度改革以来、「英国流の二大政党制」を目指してきた一連の流れの中で、「大連立」や「政策協議」を唱えたところで人気商売の政治家さんには無理な話だろう(逆に言えば自民党は良くも悪くも柔軟だといえるのかもしれない)。

かといって、ガラガラポンで政界再編というのも相当厳しいだろう。上記の問題にもかかわってくるが、小選挙区制の下で(選挙区に帰れば対立するということが明白にもかかわらず)与野党の協調や政界再編がはたして可能なのかといわれれば、かなり難しい気がする。

一院制にするとか、比例代表制にするとか、そういう制度変革を伴わない限り、永田町の文化はそう簡単に変わらないだろう。

しばらくの間、「政権が行き詰まって放り投げる」というパターンが続くことは、民主主義のコストとして国民が甘受するべきことなのかもしれない。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿