雑記-白堂別館-

雑記なう
無職止めました。
出来ることからやってみよう

第十八節

2010-05-04 03:31:11 | Dear to me
頭の中で、必死に上手い理由を考える。
「私のお母さん、パティシエなんですよ!私もたまに家で作ってて、まだこんな簡単なものしか作れてないですけど・・・」
取って付けた様な理由だけれど、別に嘘を付いていない。
お母さんの働いてるお店はここよりもう少し市内の方にあって、地元のフリーペーパーとかにも紹介されるくらい評判の良いお店だ。
仕事中のお母さんは、お菓子作りが好きなんだなぁって感じるくらい輝いてて、その姿は見ててすごいカッコいい。

私にもその遺伝子が息づいているようで、自分でお菓子を作り始めてからどんどん興味が尽きない。
お母さんの時間がある時は色々と教えてもらっているけど、今の腕前だとまだまだ自慢にはならないかも。

「あぁ~あのお店ね。残念なことに私はまだ行った事無いけど、名前くらいは知ってるよ。なるほどねぇ、これは有名になるわけだわ」
お姉さんの言葉の流れに、私は「?」な顔になって、その理由をお姉さんに尋ねた。
「このクッキーの味と、かなちゃんがお母さんの事を話す顔を見てれば分かるよ・・・って、我ながらくさいセリフだねぇ」
お姉さんはまたひょいとクッキーを頬張る。
私も何だかそうかなと思いながら、褒められた嬉しさで聞き入ってしまった。
「ちょ、ちょっとかなちゃん黙らないでよ。なんか私、ものすごい一人で恥ずかしいじゃないの」
お姉さんは照れ隠しのように、私の肩をパシパシ叩いた。