結局、人はこの広大無辺の宇宙にただ一人なのだ。父と言い、母と言い、妻と言い、子供達と言い、親密で親しい、いつも自分の傍に居る、との思いは幻想に過ぎない。今こうして煌々と明るい明かりの下でキーを叩いているが天井灯のスイッチを切ってみれば自分の姿さえ見えない。五感がなければ【自分】と言う【想念】しかない。結局それは肉体を失った、いわばこの地上人類社会へのアクセスハードウェア、ID、パスワードを失った状態に等しい。
一連の恐ろしい夢は幻想・・・自分は何々家の誰それであって妻はこうで子供たちはこう、そういう親しい人々に囲まれて幸せに生きて居るとのおめでたい幻想に対する足払いであり警告ではなかろうか。
一応人のやることは同じようには出来たと思うが思い上がりに過ぎない。本当は底なしの暗闇の中に張られた綱の上を全くそれと気着かずに歩いて来たのだ。
若い頃、恐怖の経験がある。建造中の20万トンタンカーのタンクの中、幅30cm程度の足場板の上を懐中電灯で照らしながらスタスタ歩いて居た。途中で上からぶら下がっていた工事用電灯が点いた。瞬間、自分がとんでもないところに居る事に気が着き足が震えて坐りこんだ。人生とはそんなものかもしれない。
一連の恐ろしい夢は幻想・・・自分は何々家の誰それであって妻はこうで子供たちはこう、そういう親しい人々に囲まれて幸せに生きて居るとのおめでたい幻想に対する足払いであり警告ではなかろうか。
一応人のやることは同じようには出来たと思うが思い上がりに過ぎない。本当は底なしの暗闇の中に張られた綱の上を全くそれと気着かずに歩いて来たのだ。
若い頃、恐怖の経験がある。建造中の20万トンタンカーのタンクの中、幅30cm程度の足場板の上を懐中電灯で照らしながらスタスタ歩いて居た。途中で上からぶら下がっていた工事用電灯が点いた。瞬間、自分がとんでもないところに居る事に気が着き足が震えて坐りこんだ。人生とはそんなものかもしれない。