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詩と物語を紡ぎます

水の記憶

2017-10-29 16:58:00 | daily tsukasa


     水の記憶



波紋の写真を撮っていた。

先日とは違って、波が今ひとつ浅い気がする。
(雨粒が小さいのか、な……。)
(あと、雨が疎ら過ぎる?)

不意に、緑色感応、した。

【つかささん、かみなり、ちかいです】
【わかりました、もう、もどりますね】

長く低い音が腹に響いていた。

(雷鳴。と?)
大粒の雨滴が落ちてくる。


ひと粒、ふた粒み粒、……ぱら、ぱらぱら。
水溜りに。


深い波紋の、干渉格子。

頭の中心が熱を帯びて振動し、鼓膜を高周波に刺戟していた。
(好い、感じ)

また落ちてくる雨滴を、
水面の上にカメラを構えて、待った。

雷鳴、と共に。

ひと粒、ふた粒み粒、……ぱら、ぱらぱら。
水溜り、に。


(ワタシドモノ、キオクヲ、ヨミタマエ)

[君ノ記憶、拝見シマセウ]


僕は波紋を、連写した。



inspired:2017/10/17
written, elaborated:2017/10/29

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