ラヂオデパートと私

ロックバンド“ラヂオデパート”におけるギタリストとしての津原泰水、その幾何学的な幻視と空耳。

屋根裏の音響

2006-11-21 15:17:44 | ライヴ
 演奏が駄目なバンドは、おおむね楽屋での態度も宜しくない。確固とした夢があり、日々練習を重ねていて、目標に至るまでには長い下積みも厭わないという気合の入ったバンドは、必ず礼儀正しい。またどこで誰と会うかわからないからね。
 うちは平均年齢が高く面構えもそれなりなので、若いバンドにとっては怖いらしい。にもかかわらず昨夜は、積極的に挨拶してくるバンドが多くて驚いた。緊張からか素っ気なかったバンドも、最後まで居残り食い入るように僕のギターを見つめていたりして、それはそれで昔の自分と役割交換したようで、奇妙に感じつつも微笑ましかった。

 待ち時間の長さには辟易した(CDを三枚も買ってしまった)ものの、ラヂデパの演奏は悪くなかったようだ。今までのベストだと称賛されもした。これまでそんなにひどかったのか。いや前向きに捉えよう。
 我々が屋根裏の音響に慣れてきたというのが、たぶん大きい。当初は期待していなかったので注文も付けなかったのだが、じつは屋根裏のモニタリングシステムは優秀。
 お客の聴く音と同等程度に、歌を強く返してもらっている。
 経験浅いバンドほどリハーサルが長引くのは悪い意味でのPA依存ゆえで、ギターやベースが聞えなかったらアンプのボリュームを上げればいいのだ。もしドラムが聞えなかったら、それはギターやベースが大きすぎるのだ。モニターから出すのは歌とキイボード類で充分。
 それから、楽器を目立たせようとしてリヴァーブを掛けるのは逆効果だよ。あれは音を引っ込める時に使うものだから。

 屋根裏のギターアンプはMarshallのスタックで、型番は興味が無いので忘れた。音色が明るい。歪みが荒く聞える。欧米人がノイジーという表現するタイプのアンプ。
 初め困った。歪まない側のチャンネルで、とりあえずメイン管を歪ませるためにマスターボリュームは全開。プリゲインは会場に合わせて4程度。プレゼンス、ベース、ミドル(効かない!)はゼロ。トレブルだけ5。ようやくヴォクス風の地味な音になったので、あとはケーブルの選択と、ギターに入れたブースターで乗り切った。
 下手にエフェクターを持ち歩くより、特性の違うケーブルを何種類か持ち歩いたほうがいいと、僕は思う。昨日は全般に音が引っ込むヴォクスのカールケーブルと、耳につく帯域に強いGeorge L'sの赤いケーブルを持っていた。後者を使った。
 ブースターの周波数設定がよく効くので、面白がって音色を変えすぎたかもしれない。セッティングの間にクイーンの〈We Will Rock You〉が流れていた。あの最後のギターはものすごく「こもって」いるのだ。ついそれを真似てしまった。

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