ラヂオデパートと私

ロックバンド“ラヂオデパート”におけるギタリストとしての津原泰水、その幾何学的な幻視と空耳。

ホワイトデイは三茶

2007-02-27 23:43:04 | ライヴ
 当面はライヴ予定なしと公言した舌の根もかわかぬうち、次のライヴが決まってしまい。三軒茶屋に新しくオープンする夢弦(Mugen)という「音楽食堂」のこけら落しシリーズの一夜。日取りは世に云うホワイトデイ。第一部は小山が所属する陽気なアカペラグループZircons、第二部がラヂオキオスクという塩梅。
 店のウェブサイトも仮オープンしていた。地図が載っています。
http://www.live-mugen.com/

 東京の西側で大学生活を送った僕のような人間にとって、三軒茶屋というのは親しみのある地名だが、そうでない人達にはどうなのだろう? 平然と世田谷線とか西太子堂なんて書いてあるけれど。
 三軒茶屋は渋谷駅の地下から乗る東急「田園都市線」の二つ目、世田谷線は三軒茶屋が起点のちんちん電車です。西太子堂はその最初の停留所(駅とは云わない)。所要時間は徒歩と変わらないような気もするが、あの異様に細い車内は体験する価値あり。

★ラヂオキオスク
 津原泰水(Vo,G)/稲葉太朗(B)/奥野芳幸(D)/小山亜紀(Vo)
【3/14 夢弦(三軒茶屋)】
 日時:3/14(水) 18:30open 19:30start
 場所:三軒茶屋「夢弦(Mugen)」 03-3421-0308
 チャージ:オープン記念の1,000円
 1st(50分):Zircons 19:30~20:20
 2nd(50分):ラヂオキオスク 21:00~21:50
 セッションタイム:21:50~22:00

ミキコアラマータに酔う

2007-02-26 02:22:38 | ライヴ
 24日、代々木ブーガル(http://www.bogaloo.net/main.html)に、ミキコアラマータ目当てに出掛ける。実はこういうのは常に、ラヂデパ向きのハコかどうか、というリサーチも兼ねているのだけれど。
 ハコの印象は好ましかった。場所もサイズもちょうど良いし、出音も(やや低音が薄い感はあったが)クリアだ。ミキコアラマータのような編成には打ってつけ。ラヂオキオスクにも、きっと。頭に置いておこう。

 CDでは愛聴してきたミキコアラマータの音楽だが、ライヴ中、期待を裏切られた瞬間は片時もなかった。ビアンコ氏の異様に冷静なギターワークもさることながら、ミキコ嬢のライヴ映えする声質、正確なブレスや、言葉の出し入れも大きく寄与している。ベースいづみ嬢、パーカッション新岡氏のサポートがまた的確で、大昔、フュージョンの強者たちが歌ものをサポートしていた姿を彷彿させる。

 道上いづみ嬢に興味津々なのは、その色香に惑わされたわけではない。と思う。
 コントラバスとエレキベースを折衷した楽器には、以前から興味があった。ホーム頁は以前からチェックしていた「ばすてく」という工房の、楽器にはボリュームすら付いていないプロトタイプをお使いで、その音がまた佳い。
 訊けば、元々チェロ奏者との事。ああ、わかるわかる。弓弾きできるエレキベースが、久々に欲しくて堪らなくなった。

 ビアンコ氏は、醒めているのか熱いのか、無邪気なのか老獪なのかわからない、なのに誠実な面白い人物で、機材について問えばとても親切に教えてくださる。ウワモノが、ミキコ嬢のトランペットを除けばギターしか無い編成で、曲中にビートルズの『リヴォルヴァー』に入っているような逆回転音が入ってくる。誰が何を操作しているのだろうと、きょろきょろしていたのだ。
 LINE6のディレイ・モデラー"DL-4"を使ったトリックだと教えてくれ、その緑色の筐体も見せてくださった。意外と軽い。これであんな事まで出来てしまうのか。単なる逆回転マシンとしてでも、お買得かもしれない。

またアンプに出逢う#2

2007-02-22 11:22:55 | ライヴ
 いろんな曲を演っているような、意外と変わり映えしないような。
 屋根裏は記録的に客が少なかったが、とても良い演奏が出来たと思う。モニターを通じて聴く自分たちの音が、まるで凝りに凝ったデモ音源のようで、要するに我々が出したい音とスタッフが提案する音とが合致しているのだろう。

 リハーサル時、ステージの隅にぴかぴかのLaneyのコンボアンプを発見。「別のバンドの持込み?」と訊ねると、「いえ使えます」と仰る。使います。以前からとても興味があった。VC30-212というモデル。明らかにヴォクスAC30を意識した外観に、セレッションの12インチ・スピーカーが二発。
 スタッフの話によれば、モニタリングテストのため代理店から借りているとか。ミュージシャンたちに好評なら購入もあり得るとの事。

 緑牛の内蔵ブースターを介して弾いたので、他のギタリストの所感とは異なるかもしれない。まずサイズが良い。今の渋谷屋根裏は(モニターシステムが壊れていた時を除き)モニター環境がたいへんクリアで、お客への出音も生々しい。いきおい大きなアンプは必要ない。
 出力30Wのそのレイニィの、CLEAN VOLUMEを5で弾いて充分だった。練習スタジオでの音量に等しい。AC30だとトーン類はぜんぶゼロで大丈夫なのだが、レイニィは回路が違うらしく、ゼロだと音が出ない。TREBLE、MIDDLE、BASSを、それぞれ2、1、1くらいまで上げた。
 僕がアンプに設定されている歪み(DRIVEチャンネル)を使わないのは、クリーン音に対応できなくなるからだ。ギターを音の上流、アンプのプリ回路を中流、メイン回路を下流としたら、僕はなるべく上流で音色をコントロールしたい。中流で音色を決めるシステムだと、手許での調整が効かなくなる。

 AC30やAC15と比べると、「精確に」造られているアンプだという気がした。ヴォクスやマーシャルがギタリストから好まれる理由の一つに、その構造の緩さによる、音色の甘さと残響感があろうかと思う。レイニィにそれらは乏しい。ヴォクスやマーシャルだと音の終わりに「じゅん――」という感触が残るのに、レイニィは「ぎゃん」や「りん」で終わる。すこしリヴァーブを掛けて弾けば良かったと、今にして後悔している。
 これまでに弾いてみたアンプのなかでは、オレンジに似ているような気がする。使い易いアンプであるのは間違いないので、次の屋根裏に残存している事を望む。

ウクレレで〈Something〉

2007-02-22 06:19:46 | ウクレレ
 20日は最後にダン・ヒックスの〈Walkin' One&Only〉を演ろうと思い、ウクレレを持参していたのだが、リハーサルで挫折した。ウクレレを大音量で鳴らすのは無理があるうえ、仕込み不足であった感も否めない。だったら別の曲を演ったほうが――という判断。
 この判断の段階で、演奏後の打上げでのウクレレの活躍を、誰に予想できたであろう。

 僕を遥かに凌ぐマッカートニィ好きである太朗は、当然のように彼が弾く〈Something〉に興味津々で、それが簡単に演奏できると知るや、ウクレレを買う気満々である。太朗のためにコード表を載せておくよ。もちろん太朗以外の方々も自由に御利用ください。

C        Cmaj7
+-+-+●+ +-+●+-+
+-+-+-+ +-+-+-+
+-+-+-+ +-+-+-+
+-+-+-+ +-+-+-+

C7       F
+●+-+-+ +-+-+-+
+-+-+-+ +●+-+-+
+-+-+-+ +-+-+-+
+-+-+-+ +-+●+-+

D7       G
+-+-+-+ +-+●+-+
+-+●+-+ +-+-+●+
+-+-+-+ +-+●+-+
+-+●+-+ +-+-+-+

Am       Am(+maj7)
+-+-+-+ +-+-+-+
+-+-+-+ +-+-+-+
+-+-+-+ +-+-+-+
+-+●+-+ +●+-+-+

Am7       D
+-+-+-+ +-+-+-+
+-+-+-+ +-+●+-+
+-+-+-+ +-+●+-+
+-+-+-+ +-+●+-+

F        Bb       B
+-+-+-+ +●+-+-+ +-+●+-+-+
+●+-+-+ +●+-+-+ +-+●+-+-+
+-+-+-+ +-+●+-+ +-+-+●+-+
+-+●+-+ +-+-+●+ +-+-+-+●+

 まずはここまでの繰り返し。ウクレレはC6(Am7)にチューニングされている楽器なので(ゆえにAm7では何も押さえなくていい)、BbやBでセーハ的になるのは避けられない。それでもギターのFに比べたら遥かに楽だ。あと押さえづらいのはDかな。第四絃と三絃を寝かせた中指、二絃を薬指で押さえる人が多いが、僕は指が反り返るので中指一本で押さえてしまう。好きに押さえればいいんだよ、音さえ出れば。
 大サビに行きましょう。Bb/Bのあと次のAに行く。同じAのままで大サビが始まる。

A        Amaj7
+-+-+-+ +-+-+-+
+-+-+-+ +-+-+-+
+●+-+-+ +●+-+-+
+-+●+-+ +●+-+-+

F#m       F#m7
+-+-+-+ +-+-+-+
+-+●+-+ +-+-+-+
+●+-+-+ +●+-+-+
+-+●+-+ +-+●+-+

D        G
+-+-+-+ +-+●+-+
+-+●+-+ +-+-+●+
+-+●+-+ +-+●+-+
+-+●+-+ +-+-+-+

A
+-+-+-+
+-+-+-+
+●+-+-+
+-+●+-+

 この繰り返し。二度めは最後のコードがAではなくC。で、いちばん最初に戻る。
 F#m7がAとまったく同じ形になってしまったが、もともと構成音が同じコードなので、音域の狭いウクレレではこの現象が頻繁に起きる。流れのなかではちゃんとマイナーに聞える。ご安心を。
 ウクレレという楽器のユーモラスなイメージが覆ること請合いの、本当にロマンティックで美しい進行なので、ウクレレをお持ちの皆さんは是非とも楽しんでほしい。

 ウクレレを持たない太朗から、幾らくらいの楽器を買えばいいかな、と相談を受けた。価格で楽器を決める訳ではないが、基本は「二万円以上」だと思う。安いと数千円の楽器だが、そのラインの楽器は(もともと音量の乏しい楽器だというのに、更に)音が小さいし、フレットの打ち方がいい加減である事が多い。
 ある程度の価格以上の楽器でも(クラシック的観点において)チューニングが悪いのは、民俗楽器であるウクレレの宿命だと僕は思っている。ただしこれはブリッジの底を削って絃高を低める事で、解決する場合も多い(このメカニズムにはいつか触れる)。
 ハワイ人にはパワフルなプレイヤーが多く、ゆえにばちばちというノイズが出ないよう、予め絃高を高めにしてあるウクレレが多い。しかし日本人は遥かに優しく弾く。相当に低めても、演奏にはまず支障ないと思う。

 コア材独特のルックス等に拘らなければ、The Magic Fluke CompanyのFlukeやFleaなんて、とっても良い楽器だと僕は思う。僕もフルークは一本持っている。凄く楽しい。サイドもバックもプラスティック、表板は合板、指板はフレットごとの樹脂成型だが、ウクレレというのは元々そういう、楽器らしからぬ構造をも許容できる、限りなく日常雑器に近い「道具」なのだ。フレットが金属ではないので、指や爪を傷つけないという利点もある。
 フルークの小型版、というか本来のソプラノウクレレのサイズであるフリーの売値は、まさに二万円程度。フルークも二万五千円程度で買える。

 もしギター等の経験があり、しかも工作が得意な人には、全音のウクレレキットをお薦めする。これは六千円程度で買え、上手く作れば、五、六万円級の音の楽器が出来上がる。僕も冗談で買って作って、本当に愕いた。

またアンプに出逢う#1

2007-02-22 04:12:15 | セットリスト
 まずセットリストを大放出。

「池袋"フリーフローランチ"2007/1/31」
第一部
1 Sweetheart
2 キャプテンとブラッキー
3 サヨナキ鳥
4 モデラート・カンタービレ
5 ぜんぜん
6 ハピネス?
7 真夜中が待ち遠しい
8 発明狂時代
9 タンカー'69
第二部
1 メリ・ゴ・ラウンド
2 陽炎
3 まひるの夢
4 タイムマシンにお願い
5 東京ローズ
6 君の神様、僕の神様
7 海へドライヴ
8 亀と象と私
9 Have You Ever Seen The Rain?(雨を見たかい?)
アンコール
1 I Saw Her Standing There

「渋谷"屋根裏"2007/2/20」
1 キャプテンとブラッキー
2 タンカー'69
3 雲雀よ雲雀(新曲)
4 陽炎
5 まひるの夢
6 亀と象と私
7 もう一度あいたい