ラヂオデパートと私

ロックバンド“ラヂオデパート”におけるギタリストとしての津原泰水、その幾何学的な幻視と空耳。

ガンマン気取り

2007-05-10 22:09:43 | 他の機材
 ブースターが好きだというのは何度も書いてきた。ほぼジャンクの状態からメイン器へと異例の躍進を遂げたバーンズ・スティアには、いちいち接続しなくてもいいよう内蔵してある程。この改造は本当に便利なので、自分に合ったブースターが入手できるなら是非。ブースターの回路なんて単純そのものであって、ウェブ上には幾らでも回路図がある。安価で優秀なキットも販売されている。僕は中学のとき鉱石ラジオが鳴らなかった人間なので、半田付けには及び腰だが。

 いちばん好きなブースターはクリスピィ・クリーム。しかし今は製作者が商売を辞めている。無くしたら最後という意識があり、持ち出すのが怖い。ゲイン調整とオンオフのみの潔いブースターで、基盤上の抵抗を交換する事で音質を変えられるが、僕は出荷時のセッティングが最良だと思う。
 FulltoneのFat-Boostは、極端なセッティングにするとクリスピィ・クリームに似た音が出ると感じ、買った。「自然な効果」が売りのエフェクターなので使い方としては邪道だし、家で冷静に聴き比べると、さして似てもいなかった。まだ試していないがレコーディングには便利かもしれない。
 僕の普段の使い方だと、改造チューブレイターの方が使い出がある。これまた改造者がサーヴィスを辞めてしまったので、もはや同等品は入手できない。市販品のまま、良い音を出せるこつが掴めるといいのだが。

 緑牛ことスティアに内蔵してあるTSC製ブースターは、積極的に歪ませる事も出来るタイプ。しかし周波数(フリケンシー)指定の幅が広いので、なんだかんだで最もクリスピィ・クリームに近い音が作れる。基盤が二枚だけ余っているというので、このたび他のギターにも使えるよう箱形を作成してもらった。もう一枚の基盤は石黒くんが確保し、買ったばかりのムスタングに内蔵した。
 曲によって微妙に音色を変えたいが、いちいちしゃがむのは厭。ギターストラップのお尻の方に固定できるサイズで、と我侭を云った。可能なかぎり小さく軽く、コントロールもスライド式にしてくださったが、煙草の箱より一回り大きいサイズが限界。ストラップへの装着にはやや無理がある。肩への負担も怖い。
 ガンベルト方式で腰から提げられないかと思いついた。モデルガンのホルスターなら銃身用の穴があるのでケーブルも下から通せる。ウェブで価格を調べた。
 高。
 サウンドハウスの格安ギター(興味津々)が十本買える。
 携帯電話用、バイカー用、様々なホルスターを調べたが、ぴったりな品は見つからない。特注すれば何万もかかるだろう。自作か? ついに革細工の世界に突入か?
 もしかして――と大手DIYショップに足を運ぶ。よくニッカボッカ姿の職人を見掛ける店だ。彼らはみな腰から工具を提げているじゃないか。といっても、そう簡単に――見つかりました。



 米CLC社のコードレス(充電式)ドリル・ホルスター。肉厚なぬめ革製で、なんと二千と八十円也。直方体の物を入れる事は想定していないので、開口部が弛いのだが、これまた怪我の功名、ちょうど指を突っ込んでスライダーを操作できる。下にケーブルが垂れ下がるのでブースターが飛び出す事もない。
 CLCという社名に見覚えがあると思ったら、かねてから愛用しているナイロンクロスの工具バッグがCLC製だった。武骨な代物ばかりの世界で、ここの製品は実用的で且つ洒落ている。しかも安い。

 ちなみにブースターには、Hot Red Pepperというシールが貼られている。いかしたネーミングだが、これで最後という製品にわざわざ名付けるかな普通。

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