昨日の続き。帰宅中の電車のなか、寄りかかってくる酔払いを睨み返している女性など眺めながら、また一節を思いついてメモする。
ゆうべ夢をみたよ
貴方も出てきたよ
私も出たらよかったかな
夢なら出ても許されたかな
なにか身も世もない感じだが、そうそう書けない言葉であって、嫌いになれない。よって採用とする。語調がこれまでと違うので、いわゆるBメロにはまるだろう。
歌詞においてアリかナシかの、僕のなかでの基準は、大正浪漫を感じるか否か、であったりする。大正文化はある種、恨みの文化であって、その表明の仕方に実に長けている。そういった気分になれるか否かを、いつも重く見る。
帰宅後、追酒で身を苛めつつ、最初に思いついた一節のもじりを思いつく。
一番の魔女は王子を殺し
二番めの魔女も王子を殺し
その次の魔女も王子を殺し
私のもとには蛙しかいない
いささか悪ふざけが過ぎるようにも思うが、「一番の美女は――」のリフレーンに乗せるには悪くない。ただ「殺し」という言葉の、前節との重なりが気になる。
ここでいったん放置。仕事に戻り、眠る。
翌日、ギターを弾きながら想定していたコード進行やメロディに乗せて歌ってみる。ここで初めて、イちばんの魔女、と歌うのか、いチばんの魔女、と歌うのかが決まる。一番のAメロと二番のAメロを、まったく同じにするという事を僕はしない。言葉本来のイントネーションに合わせて、最初はA、次はA'、とメロディを変えてしまう。
「昔の話」は「昔話」にしよう、といった細かな判断と同時に、意外に言葉を詰め込みすぎている事に気づき、ではAメロを分割しよう、などと思いつく。
もう一つ、二度目のAメロについては、色々と書いては消した挙句、擬音を使った以下を採用する方針。
ごとごとを客車は躯を
どこまで連れていくんだろう
かたかたと揺れる硝子には
何が映り、透けてるんだろう
擬音、を使いたかった。その歌唱における変形ぶりを見たかったと云うか――。
「躯を」は最初「私を」と思いついた。私、私、とうるさい歌詞だと思い、「心を」にしてみたが、違うと思い、対義に近い「躯を」とした。不思議とそのほうが意味が通った。
ほぼ同時に「殺し」の重なりすぎへの解決もついた。
一番の魔女は王子を盗み
二番めの魔女も王子を盗み
その次の魔女も王子を盗み
私のもとには蛙しかいない
「殺し」ほど直裁ではないし俗っぽい気もするけれど、なによりヌスミという語感が良い。
パーツが出揃った。
ゆうべ夢をみたよ
貴方も出てきたよ
私も出たらよかったかな
夢なら出ても許されたかな
なにか身も世もない感じだが、そうそう書けない言葉であって、嫌いになれない。よって採用とする。語調がこれまでと違うので、いわゆるBメロにはまるだろう。
歌詞においてアリかナシかの、僕のなかでの基準は、大正浪漫を感じるか否か、であったりする。大正文化はある種、恨みの文化であって、その表明の仕方に実に長けている。そういった気分になれるか否かを、いつも重く見る。
帰宅後、追酒で身を苛めつつ、最初に思いついた一節のもじりを思いつく。
一番の魔女は王子を殺し
二番めの魔女も王子を殺し
その次の魔女も王子を殺し
私のもとには蛙しかいない
いささか悪ふざけが過ぎるようにも思うが、「一番の美女は――」のリフレーンに乗せるには悪くない。ただ「殺し」という言葉の、前節との重なりが気になる。
ここでいったん放置。仕事に戻り、眠る。
翌日、ギターを弾きながら想定していたコード進行やメロディに乗せて歌ってみる。ここで初めて、イちばんの魔女、と歌うのか、いチばんの魔女、と歌うのかが決まる。一番のAメロと二番のAメロを、まったく同じにするという事を僕はしない。言葉本来のイントネーションに合わせて、最初はA、次はA'、とメロディを変えてしまう。
「昔の話」は「昔話」にしよう、といった細かな判断と同時に、意外に言葉を詰め込みすぎている事に気づき、ではAメロを分割しよう、などと思いつく。
もう一つ、二度目のAメロについては、色々と書いては消した挙句、擬音を使った以下を採用する方針。
ごとごとを客車は躯を
どこまで連れていくんだろう
かたかたと揺れる硝子には
何が映り、透けてるんだろう
擬音、を使いたかった。その歌唱における変形ぶりを見たかったと云うか――。
「躯を」は最初「私を」と思いついた。私、私、とうるさい歌詞だと思い、「心を」にしてみたが、違うと思い、対義に近い「躯を」とした。不思議とそのほうが意味が通った。
ほぼ同時に「殺し」の重なりすぎへの解決もついた。
一番の魔女は王子を盗み
二番めの魔女も王子を盗み
その次の魔女も王子を盗み
私のもとには蛙しかいない
「殺し」ほど直裁ではないし俗っぽい気もするけれど、なによりヌスミという語感が良い。
パーツが出揃った。
線路と硝子と羽のイメージはhydeの三大モチーフですから、私の戯言はお気になさらず。