実名を出してしまうが石黒くんという、歌を小山から、ギターと作曲は僕から習っている、ラヂデパの愛弟子としか云いようのない可愛い青年がいて、彼が「実践的な作曲の参考になる教則本やウェブサイトは無いですか」と問うので、ここにもコード進行のことなど書いています。リンクしてある南澤氏の連載はじつに素晴しいのだが、ライヴやCDでお客に接している彼のような人が、俺の曲作りはこう、と秘密を明かすのは稀有だ。勉強熱心な人が情報に飢えるのも無理はない。
さてラヂデパの〈メリ・ゴ・ラウンド〉という曲も、延々と1コードのバリエーション。二度めのサビまで来て、ようやく循環が出てくる。
僕は元々コードを使い過ぎる。たとえば〈モデラート・カンタービレ〉という曲でざっと数えると、Bb6add9、Am7、D7、G、FonA、A7、Dm7、Em、DonF#、G6、Abdim、Am6、E7、Bb7、G7、C6、Bdim、D9、GonB、BbM7――列挙していて自分で呆れた(列挙であって進行どおりではないので気をつけてください)。
よく太朗は怒らないなあ。本当は怒ってるのかなあ。
コード進行の細かい曲はノスタルジックな感触になり易い。〈モデラート・カンタービレ〉はまさにそれが狙いなのだが、ベースラインは付けにくいしソロも弾きにくい。自分で自分の首を絞めているのも事実。
それを反省して、なるべくコードを使わないように心掛けていた結果が、ほぼ1コードの曲が二曲の、一昨日のライヴであったという次第。両方とも小山リードの曲だといま気づいた。
ラヂデパの母体は僕と太朗が始めた3ピースバンドで、当初から僕が下手なりに歌っていた。四人めのメンバーは居たり居なかったり。ギタリストだった時期もあるし、ピアニストだったりパーカッションだったりもした。小山が入ってくれた時期の僕は、事情あってよく声が出なかったので、リードボーカルは完全に任せるつもりだった。しかし当たり前の話ながら、昔の曲はそれなりに歌えるわけで、なんとなく交替で歌うという体制が出来上がってしまった。
曲を作っている間は、どちら用の曲とも考えていない。凝ったギターを弾きたい時は移調して小山に歌ってもらう。結果として僕にはざっくりしたフォーキィな曲が残る。
閑話休題。本当に何分も一つのコードを弾き続けているとお客が倒れてしまうので、ギターは色々とバリエーションを付けている。b6thを付けてみたり6thを付けたり、A7の裏コードであるEb7を弾いたり。
7thコードで、ルートが隣の絃の1フレット上(低い絃だと下)のこの関係を「裏コード」と云います。物凄く遠い関係でありながら構成音が似ているので、なぜか代わりに使えてしまう。覚えとくといいよ。文字だけだと表現しにくいな。例えば、Am7/D7/Gという進行があるとする。ジャズでツー・ファイヴ・ワンという典型的なあれ。これはAm7/Ab7/Gにしても大丈夫ってこと。ベースが半音ずつ下がっていくので流麗に聞える。
〈メリ・ゴ・ラウンド〉は中盤までほぼ1コードで通した挙げ句、二度めのサビの途中で初めてA/F#m /D/E7という、恥ずかしいくらい有名な循環に入る。〈スタンド・バイ・ミー〉と同じ進行。ある意味それまで我慢を続けていた聴衆が、初めてほっとするという仕掛なのだよ石黒くん。
あ、それからね、あの曲のソロの始まりで、コードはA7なのに僕はなぜかGを弾いている。これはジミー・ペイジをコピーしていて気づいたんだけど、7thの時はときどき一音下のコードを弾くとかっこいいんだ。
もう一つ思い出した。〈亀と象と私〉のソロの時、あれはD7の1コードだから基本的にDmペンタトニックで弾いてるんだけど(なんでマイナーかといったら、そのほうがロックっぽく聞えるから。色々試してたんだけどね、太朗に迷惑がられてしまった)、僕はときどき短三度上のFmペンタトニックでも弾いてる。
お客は一瞬「こいつ向こうの世界に?」と感じる。そういう浮游感が得られる。3フレット上だよ。2フレット上はまた別の話だから間違うな。
さてラヂデパの〈メリ・ゴ・ラウンド〉という曲も、延々と1コードのバリエーション。二度めのサビまで来て、ようやく循環が出てくる。
僕は元々コードを使い過ぎる。たとえば〈モデラート・カンタービレ〉という曲でざっと数えると、Bb6add9、Am7、D7、G、FonA、A7、Dm7、Em、DonF#、G6、Abdim、Am6、E7、Bb7、G7、C6、Bdim、D9、GonB、BbM7――列挙していて自分で呆れた(列挙であって進行どおりではないので気をつけてください)。
よく太朗は怒らないなあ。本当は怒ってるのかなあ。
コード進行の細かい曲はノスタルジックな感触になり易い。〈モデラート・カンタービレ〉はまさにそれが狙いなのだが、ベースラインは付けにくいしソロも弾きにくい。自分で自分の首を絞めているのも事実。
それを反省して、なるべくコードを使わないように心掛けていた結果が、ほぼ1コードの曲が二曲の、一昨日のライヴであったという次第。両方とも小山リードの曲だといま気づいた。
ラヂデパの母体は僕と太朗が始めた3ピースバンドで、当初から僕が下手なりに歌っていた。四人めのメンバーは居たり居なかったり。ギタリストだった時期もあるし、ピアニストだったりパーカッションだったりもした。小山が入ってくれた時期の僕は、事情あってよく声が出なかったので、リードボーカルは完全に任せるつもりだった。しかし当たり前の話ながら、昔の曲はそれなりに歌えるわけで、なんとなく交替で歌うという体制が出来上がってしまった。
曲を作っている間は、どちら用の曲とも考えていない。凝ったギターを弾きたい時は移調して小山に歌ってもらう。結果として僕にはざっくりしたフォーキィな曲が残る。
閑話休題。本当に何分も一つのコードを弾き続けているとお客が倒れてしまうので、ギターは色々とバリエーションを付けている。b6thを付けてみたり6thを付けたり、A7の裏コードであるEb7を弾いたり。
7thコードで、ルートが隣の絃の1フレット上(低い絃だと下)のこの関係を「裏コード」と云います。物凄く遠い関係でありながら構成音が似ているので、なぜか代わりに使えてしまう。覚えとくといいよ。文字だけだと表現しにくいな。例えば、Am7/D7/Gという進行があるとする。ジャズでツー・ファイヴ・ワンという典型的なあれ。これはAm7/Ab7/Gにしても大丈夫ってこと。ベースが半音ずつ下がっていくので流麗に聞える。
〈メリ・ゴ・ラウンド〉は中盤までほぼ1コードで通した挙げ句、二度めのサビの途中で初めてA/F#m /D/E7という、恥ずかしいくらい有名な循環に入る。〈スタンド・バイ・ミー〉と同じ進行。ある意味それまで我慢を続けていた聴衆が、初めてほっとするという仕掛なのだよ石黒くん。
あ、それからね、あの曲のソロの始まりで、コードはA7なのに僕はなぜかGを弾いている。これはジミー・ペイジをコピーしていて気づいたんだけど、7thの時はときどき一音下のコードを弾くとかっこいいんだ。
もう一つ思い出した。〈亀と象と私〉のソロの時、あれはD7の1コードだから基本的にDmペンタトニックで弾いてるんだけど(なんでマイナーかといったら、そのほうがロックっぽく聞えるから。色々試してたんだけどね、太朗に迷惑がられてしまった)、僕はときどき短三度上のFmペンタトニックでも弾いてる。
お客は一瞬「こいつ向こうの世界に?」と感じる。そういう浮游感が得られる。3フレット上だよ。2フレット上はまた別の話だから間違うな。
特に、コードネームとゆーものは、ある音があって、それは何かと他人に説明するだけのモノ。「後づけ」である。
「A7の時、G~」の話ですが~。
A(コード) と G(コード)は、とても近い関係にあります。A、C(シャープ),E、G、B、D と連なるAのテンションコードと感じる事もできるからです。
例えば、ベーシストがA(単音)、ギタリストがG(コード)を弾けば、A 11th にも聞こえるし、A分のG にも聞こえます。
ボイシングによって、かなりイメージが変わったりする楽しい世界です。
そういえばHOT KUMAのヴォイシングには、ドローンが多用されますね? あの遊び心と、次にふっと場面が変わった瞬間の、開放感にはたまらないものがあります。
さて開放感といえば開放絃ですが、12絃のチューニングですが(笑)、キイの都合上、また12絃なのにいつの間にかチョーキングしてしまう体質上、悩んできたところではあります。追求中です。
リッケンバッカーって、GとかDに特化していますよね? あれはマッギンとのコラボの結果でしょうか。
ちなみに僕の赤いリッケンはByrdさんから買ったものだと、こないだ小山と話していて気づきました。大昔にf穴を特注した若僧だと云えば、ひょっとしたらわかるかも。