昔、とても尊敬していたある学者がいました。
つつましく、温和で、それはそれは知性の人でした。
ついに治らぬガンと診断され入院
いよいよというとき
奥様にこう言われたというのです
「あなたはもう少し楽しんでからおいで」・・・
この言葉を
いまこの頃になって思い返し
励まされているのです。
そうか、やがて行くこの道を
「楽しんでから行く」(「行く」は「逝く」でもいい)
のもいいな。
ま、楽しめたら、の話ですがーー
しかし、楽しめるものなら
ただそれだけをあてにして
生きていくのも一つの手立て
ではないでしょうか。
と
行く道の終わりが見えてきた
老婆は慰められるのでございます。