goo blog サービス終了のお知らせ 

人生の階段ー日々の詩に託してー

ある老婆の日々ーー

楽隠居ーー

2018年07月04日 | 読書

水上勉の「凩」を読んでいたら

娘が実家の家を売ってほしいそのいいわけに

「父ちゃんも働きに働いてきたから

この際、アパートに来てひとりでのんびりして」

というような意味のことをしきりに言う

わけですね。自分たちは新居に移る。

今まで畑や山を見て暮らしてきた老人が

「アパートで一人のんびりして」

というのは

死刑宣告に等しいセリフですよ・・・

入院してくれ、というのと変わりません。

楽隠居、という言葉がありますが

これは知らない所に転居するでもなく

周りに友人がいて

趣味に没頭できるという身分のことでしょう。

まったく知らない土地に来て

一人、アパートで楽をしてくれとは

虫のいい言葉です。

こういう状況に置かれた老人が

あっというまに惚けてしまった例を

私、知っております。

「昨日まで畑をしていた老人」が

嫁の勧めで家を売って

知らない土地に来て一週間もたたないうちに

惚けてしまったのです。

こういう状況にやむなく置かれた老人の

進む道は二つ。

そのまま悲しく惚けていってしまうか

なにかしらの活路を見出そうと頑張るか・・・

って、どんな活路があるのかね、と

尋ねられても困ります、

あなたが自分で見つけてね、というほか

ないのです。

それにしても

息子や娘はときに

こんな残酷なことを親にいうのですねーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


新聞記事は・・・

2018年06月18日 | 読書

井上靖「あすなろ物語」では

新聞記者の時代の話もある。

そのなかで目を引いたのが

「敗戦の日の記事」ーー

それまでは「撃ちてしやまん」などの

国民を鼓舞するためのイデオロギーなくしては

書けなかったものが

この敗戦の日の記事は

記者として真実、ほんとうの「記事」

というものを書いた気がする

というものでした。

なるほど、新聞記事はやっぱりイデオローグ

なしでは書けない、書いちゃいけないものなんだ

と知りましたね。

ならば

改めてA新聞の社是が「反日」であると

するならばそれなくして「記事」は

書けないものなんだと知り

やーれやれと

思ったのでした。

 

 


最後の読書

2018年04月15日 | 読書

ひとは人生の最終期にどんな本を読むのでしょうか。

ふと思いました。

知り合いのある大学教授は

厚さ5センチもあるようなすごい研究書を

出された学者でしたが

最晩年、施設ではずっと

池波の本を読み続けていました。

そして老婆の私も

若い時はかなり思想的な本も愛読していたのに

今は寝床に入った時の楽しみに

内田康夫(訃報を聞いてがっくり)のものを

読んでいます。

年老いてなお寝床の中で

ヘーゲルやカントを読む人がいたら

すごいなあ・・・

思うけれど

すごすぎて怖いよーー

探偵ものなんかをたくさん書いて

人を楽しませることのできる作家は

ほんとにありがたい存在でございます。

がーー

中には手に取ってみて

あまりにも文章が拙劣すぎて

ーーテレビではドラマがずっとシリーズになっててもーー

数行で閉じたのもあることを思えば

やはり

池波正太郎や内田康夫の筆力

人物の描写力そして知性といったものが

読みてを満足させてくれたのだと

思うのでした。

 


小説の舞台

2018年02月20日 | 読書

ある小説を読んで、その舞台となったところへ

ぜひとも行ってみたい、と思わせる小説が

魅力的な小説ではないかと思ったのは

例えば「泥の河」もそうですし「家守綺譚」なども。

だから私にはそういう魅力が感じられない小説は

あまり興味が湧かない、と思ったら違いました。

例えば内田康夫などはそこへ行かなくても

行ったような気にさせられてしまうので行く必要も感じないのでした。

ただ、芥川や太宰などは「舞台」が精神のなかに含み込まれて

しまっているので、この話題とは別次元。

梶井の「檸檬」などは多くの人があの「軒の低い」八百屋さんを

訪ねて、今はその店の窓に張り紙がしてあります・・・

お向かいの和菓子屋「かぎや」はもうありません。

百万遍に移されたのでしょうか。

と言ったところでちょっと首を傾げたのが

梶井の「檸檬」の碑が大阪は土佐堀の近く

靭公園にあるってことでした・・・

京都・寺町にあってこそ、なんですけどね。

彼が大阪生まれとしても

ここにそれがあるのはちょっと・・・


辿りたい

2017年11月20日 | 読書

ある本を読むと

そこに行ってみたくなるようなのが

いくつもありますよね。

私の中ではトップは

「墨東奇譚」(ぼくの字はさんずいがある)

「夜明け前」そして「白秋詩集」

藤沢周平の下町もの

などなど・・・

でもねぇ

玉の井あたりはまだしも

馬籠はすっかり観光地になってるし

深川あたりは戦災で丸焼けの跡も悲しく・・・

やっぱり小説として

想像力を働かせながら読むのが

真っ当な読書なんでしょうかねぇ。

それでもやっぱり

白秋の生家を訪ねて柳川にいったりするのでした。