人生の階段ー日々の詩に託してー

ある老婆の日々ーー

楽隠居ーー

2018年07月04日 | 読書

水上勉の「凩」を読んでいたら

娘が実家の家を売ってほしいそのいいわけに

「父ちゃんも働きに働いてきたから

この際、アパートに来てひとりでのんびりして」

というような意味のことをしきりに言う

わけですね。自分たちは新居に移る。

今まで畑や山を見て暮らしてきた老人が

「アパートで一人のんびりして」

というのは

死刑宣告に等しいセリフですよ・・・

入院してくれ、というのと変わりません。

楽隠居、という言葉がありますが

これは知らない所に転居するでもなく

周りに友人がいて

趣味に没頭できるという身分のことでしょう。

まったく知らない土地に来て

一人、アパートで楽をしてくれとは

虫のいい言葉です。

こういう状況に置かれた老人が

あっというまに惚けてしまった例を

私、知っております。

「昨日まで畑をしていた老人」が

嫁の勧めで家を売って

知らない土地に来て一週間もたたないうちに

惚けてしまったのです。

こういう状況にやむなく置かれた老人の

進む道は二つ。

そのまま悲しく惚けていってしまうか

なにかしらの活路を見出そうと頑張るか・・・

って、どんな活路があるのかね、と

尋ねられても困ります、

あなたが自分で見つけてね、というほか

ないのです。

それにしても

息子や娘はときに

こんな残酷なことを親にいうのですねーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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