今行っている古い木造家屋の改築は、今まで使ってきたものを大切に
使い続けながら、というコンセプトでやっています。間取りなどは大幅に変えています。
古い田舎家屋の我が家は土壁が内蔵されています。麻縄のようなもので結わえて
#型に編み込まれた竹の上に、土を塗った壁です。この上に下地と漆喰が施されています。
現在、土壁を内蔵しようとするととんでもなく高額になると本に書いてありました。
その著者は、それでも土壁で新築されています。自然素材の土壁から出る空気はきれいで体にいいです。
だから、私達もこの土壁をなるべく壊さないでこれからも使い続けようと思っています。
収納部屋の部分で、これまでの壁を潰して別々の空間同士を開通させて行き来できるようにする
予定だったのですが、工事に際して露出した立派な巨大な土壁を見て、潰すのが忍びなくて
間取りを変えようと思っています。昔の職人が丹念に作ったものは、いらったらいかん気がしました。
これより丹念な手造り仕事はこの時代にはなされません。
2階の縁側の古い床板も、気に入っているのでこのまま使いたいと思っています。
たいした木材ではなくても、歴史が刻まれていて愛着がある
建具屋さんが非常に苦戦しています。古い我が家は傾いていて、色々平行になっていなくて
建具をはめ込む四角形の空間でも、必ず左右の長さが違っています。2cmとか。
だから、鰹節削りのような道具(=鉋:かんな)ややすりで何度も微調整しています。
鉋
前に来ていた建具屋はそのように丁寧ではなく、短い方に合わせてごっそり切るので建具が
すかすかの隙間だらけになっていて、すでに建具金物(ラッチボルト)が噛まなくなって
ドアが空振りするようになっています。
ラッチボルト
木は湿気で膨張し乾燥すると収縮するから、ギッチリに作るのではなくその分の遊びは持たせて
おかねばなりませんが、すかすかなのは粗悪な造りです。何度もこそいで慎重に微調整してくれる
今度の建具屋さんは、いいです。 途中途中で施主に確認しながら進めてくれます。
あの建具屋とは全然違って仕事を丁寧に丹念にする職人さんは、安心です。 業者の姿勢の違い