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自己啓発書への違和感への答え

2020-05-06 | 社会・政治のこと

自己啓発書の金字塔みたいになっている本の翻訳書を、私も以前読んでみたことがありますが

どうも、肌に合わなくて、辛抱して頑張って読んでみても、やっぱりダメで、途中で止めてしまいました。

 

その、言葉にできない違和感を、実に明瞭に解説してくださる年下の先生がいました。

その冴えわたる慧眼には敬服しきりです。彼は、世に出回っている尤もらしい論理の誤りを、

論理的に説き明かしてみせる詩人だと思います。こういう人は、ちょっといなくてびっくりです。




   こんなにしゃべる詩人、初めて見た。

 

  



彼は、世界的ベストセラー(世界で最も売れた自己啓発書)で、必読書的な自己啓発書である

「7つの習慣」スティーブン・R・コヴィー著 の誤りを語る中で

「終わりを思い浮かべる」:「こうなりたいという終わり=ゴールを設定してそこから

すべきことを逆算せよ」という項目について、こういう内容のことを言いました。

(スティーブン・R・コヴィー氏は、米国ユタ州ソルトレイクシティ生まれの作家、経営コンサルタントです。)


:::::聴き書き:::::::::::::::::::::::::::::::

 

彼の言う成功は、逆算できないとだめなものである  

つまり成功までのプロセスを計算できないといけない

そうでなくては他の習慣が形成できない

例えばwinwinになるとか、優先順位をつけるというのもここに紐づいていて

終わりから逆算できる、成功というのを定量化して、数値化して着地点を持たないといけない

こうなると コヴィーの意図したのとは裏腹に  成功というものが非常に薄っぺらくて

表層的なものになる 世俗的なものだったり 自己自体で完結するものになってしまう

逆算できることにこだわると目標自体がすごく下衆なものになる

コヴィーは人格主義と言っていたのにそこから飛び出して 自分の快楽的や即物的なものを満たすことに

終始して 非常に低レベルなものになってしまう

人格主義を求めた(成功するためには人格主義の回復が大事だ、小手先のテクニックではなく、

人格の形成が重要とコヴィーは説いた)のに 正反対の人格が醸成される

ゴールを明確にする 終わりを思い浮かべる ことの問題点は根本には1つだと思っていて

現状の自分の判断を盲信してしまうことになる

現時点での自分に認識可能なものを盲信しているところにある

ゴールを決めてしまうということは 今の価値判断を正しいと思わないといけなくて

価値判断の修正とかが許容されないというのが暗黙の前提になっている

 

今の自分の価値観で人生の着地点を決定していいのかと考えるべき

このゴール設定が正しいのかというのを根本的に考える必要がある



   



エマニエル・カントは理念(夢とか成功っていう言い方でもいいが)には2種類あると言った

このうち統制的理念こそが重要である

現時点でそれに向かうアプローチが明確なものよりも 崇高過ぎてめまいがするものであるほどいい

とカントは思っている 逆算不可能だが そのこと自体が良いのである

 

カントの統制的理念は こと細かな行動指針は与えない

カントは逆算するのではなくて それに向けてやるべきことを減らすどころか無限にすべきことがでてくる

これ自体をむしろポジティブに捉えていた

コヴィーの理念は我々にやることを絞り込ませる

コヴィーは優先順位を決める いかにやることを厳選して逆算していかに計画立ててやるか

みたいな主張をしていたがカントは全く逆で

崇高な理想を見る それを見ることで 無限にやるべきことがある それが生み出されていくことで

もし100%達成されるということはないかもしれないけども 無限に生み出していって

努力する過程に 例えば新しいイノベーションが起きたり 自分ができそうにもなかったことが

できるようになるっていう話をしている 

コヴィーの言うような時間軸で行くと すべきことが綿密に厳格化されて 計画立ててとか

自分たちが今認識の範囲でできることっていうのは結局 構成的理念という

彼(カント)が批判的に見たものであって、統制的理念とは正反対になってしまうんだ

という話を(カントは)している

 

人間は、他の人とは異なる唯一無二の人生を歩めた時に

人生をよかったと思えると(僕は)思っていて

誰かが歩いてきたレールとか誰かが成功って決めたものに乗っかって

レール上を歩いて行くっていうのは ただ空しいだけだし

仮にそれが達成されても 常につきまとうのは更なる空しさだと思う

 

現時点で自分が把握しうるものからは 予測不可能性という人生の醍醐味は得られない

自分が全部コントロールできてしまうっていうのは 人生としてすごく楽しくない 空しいものだ

逆算できるって 面白いですか?っていうすごい単純な話ですけど

 

:::::::::::::::::::::::::::解説は続く::::::::::

 

あの本(あの本に限らず、大半の自己啓発書)に書かれていることは、

前提からミスを犯していると直感的に感じるものの、説明することはできませんでした。

その感覚を、あの青年が紐解いてくれました。

 

スティーヴン・R・コヴィー『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』

エマニュエル・カント『純粋理性批判5』 

 

 

 

 

あんな人が食卓におったら、楽しかろうね~

 


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1 コメント

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Unknown (はな)
2022-10-23 06:12:09
確かに。何を見て何を信じるかは、自分次第だね。
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