[2019年 10月 31日 更新]
都立入試の過去問題から、正答率の低い難問をピックアップしていく。
「正解すればいい」ではなく、「なぜそれが正解なのか」を理解してもらいたい。
◆正答率20.3%
2019年度入試 社会 大問2(問3)
Ⅲ
フランスから1953年に独立し,その後に始まった内戦が1990年代に終結した後,1999年に東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟した。2000年代に入り,世界遺産に登録されているヒンドゥー教寺院などの遺跡群を活用した観光業に加え,工業化を推進している。
1990年代までのこの国からの日本の輸入品は木材などの一次産品が最も多く,日本の貿易黒字が継続する傾向であったが,この国の工業化の進展に伴って変化が見られた。2000年代からは日本の貿易赤字が継続する傾向に転じ,2016年における日本の最大の輸入品は衣類などであり,日本からこの国への輸出額は333億円,日本のこの国からの輸入額は1310億円であった。
ア. タイ
イ. カンボジア
ウ. ミャンマー
エ. ベトナム
正解は記事の最後にある。
まずは与えられた文章と資料を読む。
社会の入試問題は大きく分けて、
1. 資料を参考にしなくても、知識だけで解けるもの
2. 知識がなくても、文章や資料だけで解けるもの
3. 資料の理解も知識も必要なもの
2. 知識がなくても、文章や資料だけで解けるもの
3. 資料の理解も知識も必要なもの
の3タイプ。
今回の問題は「3」
与えられた資料を読み解き、地図を見て国名を当てねばならない。
東南アジア、中東、西ヨーロッパ、南米の国名と位置はある程度覚えれば、社会で80点以上を目指せるようになる。
覚えるべき国は、それぞれの地域で10もない。産業と一緒に覚えよう。
覚える時はただ覚えるのではなく、ネットで調べてみるといい。
写真を見ると抜群に印象に残りやすい。スマホはこうやって使うのだ。荒野行動をするための道具ではない。
◆ポイントは"文章と資料をリンクさせること"
では解説していく。
Ⅲの文章から、
・1953年にフランスから独立
これで気づけたらすばらしい。
1953年にフランスから独立したのはラオスとこの国だけだからだ。
・世界遺産に登録されているヒンドゥー教寺院などの遺跡群
宗教で見てみよう。
タイやミャンマーやカンボジアは仏教国。ヒンドゥー教ではない。
写真のようなオレンジ色の袈裟(けさ)をどこかで見たことがないだろうか。
なお、タイやミャンマーの僧侶は絶対に女性に触れてはならない。
飛行機や電車などでも女性が隣に座ってはならず、僧侶のために席を空けるのが普通。
私もタイのバンコクに行ったことがあるが、街のあちこちに僧侶を見かけた。仏教が生活に密着しているのだ。
ベトナムは大半の国民が無宗教である。
もし、ヒンドゥー教といえばインドと気づく。
地理的に近い国にもヒンドゥー教寺院があるのではないか、と目星をつける。その着眼点はマル。
しかしインドに近いミャンマーは仏教国だ。
カンボジアも仏教国。
しかし1000年近く昔はヒンドゥー教の国家だった。時代の流れの中で変化したという歴史がある。これを知っていれば解けるが、まず知らないだろう。高校で学びます。
難しいぞこの問題。
次に資料から考えよう。
2016年における日本の最大の輸入品は衣類などであり,日本からこの国への輸出額は333億円,日本のこの国からの輸入額は1310億円であった
「2016年における日本の最大の輸入品は衣類など」
と資料Ⅱから、タイとベトナムは電気機器だから除外される。
「日本からこの国への輸出額は333億円,日本のこの国からの輸入額は1310億円」
と資料Ⅰから、「日本の輸出額から日本の輸入額を引いた差を示したもの」は333億-1310億で0未満になる。
この2点から正解は導き出せる。
もっとも、国名と位置が分からなければ、絶対に分からない問題だ。
◆日本の47都道府県は大丈夫?
小学校で学んだことだから大丈夫だと思うが、都道府県の位置は完璧だろうか。
高校入試対策ではない。小学生の知識だ。
万一不安なら、今週中に覚えてしまおう。都立入試に絶対必要だからだ。
【正解】イ
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